【2025年最新】ベンチャーキャピタルのファンド満期とセカンダリー取引とは?出口戦略を徹底解説
ベンチャーキャピタル(VC)ファンドには、一般的に10年前後の運用期間が設けられています。しかし満期時点で、投資先スタートアップがIPOやM&Aに至っていないケースは少なくありません。
こうした課題の解決策として注目されているのが「セカンダリー取引」です。ファンド持分や未上場株式を第三者へ売却することで、満期前後でも柔軟に資金回収が可能になります。
本記事では、VCファンドの満期に伴う課題から、セカンダリー取引の仕組み、手続きの流れ、成功のポイントまで徹底解説します。LP(出資者)とGP(運営者)双方の視点で押さえるべき出口戦略を、2025年最新の市場動向とともにご紹介します。

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ベンチャーキャピタルにおけるファンド満期とセカンダリー取引の仕組み
ベンチャーキャピタル(VC)ファンドには運用期限があり、満期を迎えた際には投資先の状況に応じた対応が求められます。特に近年注目されているのが「セカンダリー取引」です。
ここでは、VCファンドの基本構造から満期時の課題、主な対応策までを解説します。
VCファンドの基本的な仕組みと運用期間
ベンチャーキャピタルファンドは、スタートアップ企業への投資を通じて高いリターンを目指す投資スキームです。
ファンドは以下の2者で構成されます。
・LP(リミテッド・パートナー):出資者。金融機関、事業会社、機関投資家など
・GP(ジェネラル・パートナー):運用者。投資先の選定、支援、EXIT戦略の実行を担う
運用期間は通常10年前後で、次のようなフェーズに分かれます。
| フェーズ | 期間の目安 | 主な活動内容 |
|---|---|---|
| 投資期間 | 1〜5年 | 有望なスタートアップへの出資 |
| 回収期間 | 6〜10年 | 成長支援・EXIT(IPO/M&A)によるリターン実現 |
| 満期 | 約10年 | 未回収案件の処理・ファンド清算 |
VCファンドは運用期限が定められた投資の仕組みであり、期間内にEXITできない場合は何らかの対応が必要になります。
ファンド満期に生じる課題
満期時点ですべての投資先がIPOやM&Aを完了しているケースは少数です。
近年は上場審査の厳格化や市場環境の変動により、想定以上に長期間の支援が必要となるケースが増えています。
満期時にVCが直面する主な課題は以下の通りです。
ファンド満期に生じる課題
・未上場株式の出口が見つからない
IPOやM&Aが実現していない投資先が残ると、満期時の処理方法が課題になります。企業価値が一時的に下がっている場合は売却が困難で、資産が塩漬け状態になることもあります。
・LPへの現金分配が困難になる
EXITが遅れるとLP(出資者)へのキャッシュ分配も先送りになり、資金のロックアップ期間が延びます。結果として、LPが次の投資機会を逃すリスクや資金管理上の制約が生じます。
・ファンド延長のコストと制約
運用期間を延長する場合、管理報酬や人件費、報告業務などのコストが増加します。また、LP全員の同意が必要になるなど、契約上の制約もあります。
こうした課題に対する柔軟な解決策として、「セカンダリー取引」が注目されています。
ファンド満期を迎えた際の主な選択肢:延長・セカンダリー・解散
ファンド満期時には、主に次の3つの対応策が検討されます。
| 選択肢 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ① ファンド延長 | 運用期間を数年延長してEXITを待つ | 投資先の価値最大化を狙える | コスト増・LP全員の同意が必要 |
| ② セカンダリー取引 | ファンド持分や株式を第三者に売却 | 流動性確保・迅速な資金回収 | 売却価格がディスカウントされる場合も |
| ③ ファンド解散 | 満期で清算し、残余資産を分配 | スムーズな終了が可能 | 未EXIT案件は損失計上の可能性 |
この中でもセカンダリー取引は近年特に注目度が高まっています。未上場株式の流動化を促すだけでなく、LP・GP双方にとって柔軟な資金運用を可能にする手段として、市場規模も拡大しています。
ファンド満期にセカンダリー取引が注目される理由
ファンド満期時の課題を解消する手段として、近年急速に注目を集めているのが「セカンダリー取引」です。
国内外でセカンダリー市場の整備が進み、VCやLP双方にとって現実的な出口戦略として選ばれるケースが増えています。
理由1:未上場株式市場(プライベートエクイティ市場)の流動性確保
未上場株式は上場株式のように自由に売買できないため、「資金が動かしにくい」という課題があります。
これによりプライベートエクイティ市場全体の流動性が向上し、ファンドの柔軟な運用が実現します。投資家にとっても、資金の塩漬け期間を短縮できるメリットがあります。
理由2:LPの資金ニーズへの迅速な対応が可能
LP(出資者)は、満期後も未EXIT案件が残っていると資金をすぐに回収できません。しかしセカンダリー取引を利用すれば、LPが自らのファンド持分を他の投資家へ売却し、早期に資金を回収できます。
これにより、次の投資機会への迅速な対応や、ポートフォリオの再構築がしやすくなります。特に機関投資家にとっては、資産配分の最適化を図る上で重要な選択肢です。
理由3:GPの運用負担軽減とリソース集中
ファンド延長や未EXIT銘柄の管理は、GP(運用者)にとって大きな負担です。特に複数ファンドを運営するVCでは、限られた人材リソースの配分が重要になります。
セカンダリー取引を活用することで、満期を迎えたファンドの運営負担を軽減し、新しい投資や有望なポートフォリオ企業の支援活動にリソースを集中できます。結果として、ファンド全体のパフォーマンス向上にもつながります。
理由4:セカンダリーファンドの台頭と市場拡大
近年、セカンダリー取引を専門に行う「セカンダリーファンド」が増加しています。
市場の成熟に伴い、取引の透明性や価格算定の合理性が向上し、セカンダリー市場は独立した投資カテゴリーとして確立しつつあります。買い手の選択肢が広がることで、売却条件も改善傾向にあります。
理由5:延長コスト(管理報酬・パフォーマンスフィー)の回避
ファンドを延長する場合、管理報酬や運営コスト、法務・会計などの追加負担が発生します。
また、LPにとっては延長期間中のパフォーマンスフィー(成功報酬)の発生がネガティブに映ることもあります。
特に延長期間が長期化する見込みの場合、コスト面でのメリットは大きくなります。
このように、セカンダリー取引は「資金の流動化」「関係者の負担軽減」「市場全体の効率化」という3つの側面から、ファンド満期の課題を解決する有効な手段として注目されています。

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ファンド満期とセカンダリー取引の手続きの流れ
セカンダリー取引は、単に「持分を売却する」だけの単発イベントではありません。LP(出資者)とGP(運営者)がそれぞれの立場で慎重にプロセスを踏み、投資資産の評価や契約条件の調整を行う必要があります。
ここでは、満期を迎えたファンドにおけるセカンダリー取引の一般的な流れを解説します。
LP(出資者)の流れ
投資先の評価と出口戦略の確認
まずLPは、ファンド内の投資先企業の現状を把握し、どの銘柄がEXIT済みで、どの銘柄が未上場のまま残っているかを確認します。そのうえで、残存資産をそのまま保有し続けるのか、セカンダリー市場で売却するのかといった出口戦略を検討します。
この段階では、各投資先の成長見込みやIPO予定時期、市場環境などを総合的に評価し、最適な判断を下すことが重要です。
セカンダリー売却の検討と条件交渉
セカンダリー売却を選ぶ場合、LPはセカンダリーファンドや買い手候補と接触し、価格や契約条件を交渉します。このとき重要になるのが「ディスカウント率(割引率)」です。
一般的なディスカウント率は10〜30%程度ですが、投資先の状況や市場環境により変動します。
価格交渉だけでなく、以下の点についても整理が必要です。
- 売却後の権利関係(情報開示義務、残余債務の扱い)
- 表明保証の範囲
- クロージング条件
分配・税務対応
売却完了後、LPは受け取った資金をもとに分配処理や税務対応を行います。セカンダリー取引による譲渡所得の課税タイミングや税率について、事前に税理士や専門家に相談しておくことが重要です。
早期のキャッシュ化が実現すれば、LPは新たな投資機会に迅速に再投資できる点も大きなメリットです。
GP(運営者)の流れ
ファンド資産の状況把握と報告
GPはまず、ファンド全体の資産状況を整理し、未EXIT銘柄の評価を行います。
評価にあたっては、以下の要素を総合的に判断します。
- 直近の資金調達状況と企業価値
- 事業成長率と収益性
- IPOやM&Aの実現可能性
- マクロ経済環境や業界動向
そのうえで、LPに対して透明性のある報告を行い、満期対応方針のベースを共有します。
LPとの協議と満期対応の意思決定
LPとの協議を通じて、ファンドを延長するのか、セカンダリー売却を進めるのか、あるいは解散に向けて清算を進めるのかを判断します。この段階では、リターンの最大化と流動性確保のバランスをどう取るかが大きな論点になります。
特にLP間で意見が分かれる場合は、多数決の条件や反対LPへの対応(バイアウト権の行使など)についても検討が必要です。
セカンダリーファンドや仲介業者との調整
実際にセカンダリー取引を進める際は、GPが中心となってセカンダリーファンドや仲介業者との調整を行います。
主な調整事項は以下の通りです。
- デューデリジェンスへの対応(資料提供、Q&A対応)
- 価格交渉とストラクチャーの設計
- 契約書のドラフティングとレビュー
- クロージング手続きの管理
ファンドの持分構造や契約上の制約によっては、交渉に数ヶ月を要することも少なくありません。しかし、こうしたプロセスを適切に進めることで、LP・GP双方にとって納得感のある満期対応が実現できます。
ファンド満期におけるセカンダリー活用の成功ポイント
セカンダリー取引は、ファンド満期時の有効な選択肢ですが、準備不足のまま進めると、想定よりも低い価格での売却やLPとの調整トラブルにつながる可能性があります。
ここでは、セカンダリーを効果的に活用するための実務上のポイントを紹介します。
満期前から出口戦略を検討し、延長とセカンダリーの比較を行う
セカンダリー取引の成否は「タイミング」で決まることが多いです。
そのため、少なくとも満期の1〜2年前には、以下の点を比較検討しておくことが重要です。
- 延長によるリターン最大化の可能性
- セカンダリーによる早期換金のメリット
- 延長コスト(管理報酬、人件費)とセカンダリーのディスカウントの比較
- 投資先企業のIPO予定時期と市場環境
早期の検討により、より有利な条件での交渉が可能になります。
買い手候補を早期に確保する(満期案件はディスカウントされやすいため)
満期直前の案件は「時間的制約がある売り手」として見られやすく、ディスカウント率が高くなる傾向があります。一般的に、満期後の案件は通常より5〜10%程度追加のディスカウントが適用されることもあります。
そのため、以下の対策が有効です。
- 満期の6ヶ月〜1年前からセカンダリーファンドやファミリーオフィスとの関係構築を開始
- 複数の買い手候補をリストアップし、競争環境を作る
- 投資先企業の成長ストーリーや強みを整理したティーザー資料を準備
- 仲介業者(セカンダリー専門のアドバイザー)の早期活用も検討
事前に買い手候補を把握しておけば、複数のオファーを比較でき、より有利な条件で取引を進められます。
LPとGPの利害を調整し、セカンダリー条件を合意形成しておく
セカンダリー取引では、LP(出資者)とGP(運営者)の合意形成が不可欠です。以下のような論点について、あらかじめ整理しておく必要があります。
主な調整事項
・どの資産を売却対象とするか(全体 or 一部)
・売却益の配分方法(ウォーターフォールの適用)
・GPのキャリードインタレスト(成功報酬)の取扱い
・セカンダリー取引に伴うコスト(仲介手数料、法務費用)の負担
また、LP間でも保有期間や投資目的が異なるため、早めに協議を行うことで後々のトラブルを防げます。一部のLPのみがセカンダリー売却を希望する場合の対応についても、事前に検討が必要です。
税務上の取扱い(譲渡益課税や配分方法)を事前に確認する
セカンダリー取引では、税務面の確認も見落とせないポイントです。
ファンド持分を譲渡した場合、譲渡益に対して課税されるケースがあり、その取扱いはファンドの設計や所在地によって異なります。
主な確認事項
・譲渡所得の課税タイミングと税率(所得税、法人税)
・源泉徴収の要否と税率
・ファンドの組成地(国内 or 海外)による税務上の違い
・GP側の報酬や分配に関する会計・税務処理
専門の税理士やアドバイザーと連携し、事前にシミュレーションを行っておくことで、想定外のコストや手取額の減少を避けられます。
特にクロスボーダー案件では、二重課税の回避や租税条約の適用についても確認が必要です。
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ベンチャーキャピタルのファンド満期とセカンダリーに関するよくある質問
Q. ファンド満期を迎えた場合、未上場株式はどう処理されますか?
未上場株式は、原則としてファンドの資産として残るため、IPOやM&AなどのEXITが完了していない場合は、主に以下の3つの選択肢があります。
・ファンド延長
運用期間を延長してEXITを待つ(追加の管理コストや報告義務が発生)
・セカンダリー取引
ファンド持分や株式を第三者に売却して流動化
・ファンド解散
現物分配や損失計上を行い清算する
このうちセカンダリー取引を活用すれば、満期後も柔軟に資金回収が可能になります。
Q. セカンダリー取引で売却した場合の税金はどうなりますか?
セカンダリー取引によって発生する利益は、譲渡所得として扱われるのが一般的です。
- 法人LPの場合:法人税の課税対象(売却益が益金算入)
- 個人投資家の場合:譲渡所得税が適用(原則20.315%の申告分離課税)
特に海外ファンドへの出資の場合は、源泉徴収や租税条約の適用も関係するため、実際の取引前には税理士や専門家への確認が不可欠です。
Q. セカンダリー取引は個人投資家でも利用できますか?
基本的には、セカンダリー市場は機関投資家や富裕層、事業会社などのプロ投資家向けです。最低投資金額が数千万円〜数億円規模に設定されているケースが多く、個人投資家にとってハードルは高い傾向があります。
取引金額やリスク特性(流動性の低さ、評価の難しさ、ディスカウント幅)を十分に理解したうえで参加することが重要です。
Q. セカンダリー取引ではどのくらいのディスカウントが一般的ですか?
ディスカウント率は、市場環境や投資先企業の成長ステージによって大きく異なりますが、一般的には10〜30%程度の値引きで取引されるケースが多いです。
ディスカウント率が大きくなる要因
・ファンド満期を迎えている、または満期直前である
・投資先企業のIPOやM&Aまでの期間が長い(3年以上)
・市場環境が悪化している(金利上昇、IPO市場の冷え込み)
・投資先企業の成長が鈍化している
一方、有望なユニコーン企業や近々のIPOが見込まれる案件では、ディスカウント率が10%未満になることもあります。
Q. GP(ファンド運営者)がセカンダリーを活用するメリットは何ですか?
GPにとっての主なメリットは、以下の通りです。
① リソースの再配分が可能
満期を過ぎた資産を整理することで、管理コストを削減し、新しいファンド運営や有望な投資先への支援に集中できます。
② LPへの早期分配を実現
セカンダリーで売却することで、LPに現金を早期に分配できるため、LP満足度の向上や次回ファンド組成時の資金調達がスムーズになります。
③ 延長コストの削減
ファンド延長に伴う管理報酬、人件費、監査費用などを回避できます。
④ ポートフォリオの最適化
パフォーマンスの低い案件や流動化が難しい案件を整理し、ファンド全体の効率性を高められます。
これらのメリットにより、GPとLPの信頼関係維持にもつながります。