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M&A全般

「M&A」と「子会社化」の違いとは?双方のメリット・デメリットも解説!

「M&Aと子会社化って、  名前は似てるけど何が違うの?」 企業の成長戦略として注目されるM&Aと子会社化。 どちらも企業買収に関わる言葉ですが、 その目的や手法、そして結果は大きく異なります。

この記事では、M&Aと子会社化の基本的な違いから、 それぞれのメリット・デメリット、 そしてどのようなケースで使い分けるべきかを徹底解説します。

さらに、給料や社長の処遇など、 気になる疑問にもQ&A形式でお答えします。 M&Aと子会社化の違いを理解し、 あなたのビジネス戦略に役立てましょう。

下記の動画もチェック!

下記の動画では、子会社化について詳しく解説されています。こちらの動画もぜひ参考にしてみてください。

「M&A」と「子会社化」基本的な違いを解説

「M&A」と「子会社化」基本的な違いを解説

M&Aと子会社化は、どちらも企業の買収戦略ですが、その目的と手法には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの定義と概要、そして決定的な違いについて解説します。

M&Aの定義と概要(企業の買収・合併)

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の合併・買収を指す総称 です。M&Aにはさまざまな手法がありますが、主に以下のような形態に分類されます。

M&Aの手法

合併(Merger):2つの企業を統合し、1つの企業として存続(例:A社+B社=A社)
買収(Acquisition): 企業の株式や事業を取得し、支配権を持つ(例:A社がB社を完全買収)
事業譲渡:会社の一部の事業のみを売却(例:A社がB社の一部事業を買収)
株式交換・株式移転:株式を用いた買収手法で、親会社化や完全子会社化を目的とする

M&Aの目的は、事業規模の拡大新規事業への参入コスト削減競争力強化など多岐にわたります。目的が様々なM&Aを成功させるためには、以下のポイントが重要です。

Success

・対象企業を完全に統合するケースが多い(特に合併の場合)
・買収企業の意向により、経営体制やブランドが変わることがある
・事業拡大・競争力強化・シナジー効果の最大化を目的とする

「M&A」は、企業の合併・買収を広く指す言葉で、完全買収や事業譲渡などさまざまな形態があります。

子会社化の定義と概要(企業の株式を取得し、支配権を持つが独立性を維持)

子会社化とは、企業の株式を50%以上取得し、支配権を持つが、法人としての独立性は維持するM&Aの一形態 です。買収された企業は「子会社」となり、買収企業(親会社)の傘下に入ります。

子会社には、以下のようにいくつかの特徴があります。

子会社の特徴

・親会社が50%以上の株式を保有 して支配権を持つ
・企業としての独立性を維持 しながら、親会社の影響を受ける
・親会社の資本力やノウハウを活用できるが、意思決定の自由度は低下する

子会社化された企業は、親会社の経営方針に従う必要がありますが、一定の独立性を維持することができます。これは、M&Aと大きく異なる点です。

子会社化と言っても、その手法は以下の二通りがあります。

子会社化の種類

完全子会社(100%親会社が所有):完全に親会社の支配下にあるが、法人格は残る
部分子会社(50%以上の株式を親会社が保有):経営の独立性を一定程度維持できる

いくつかの特徴や種類がある子会社化ですが、これを成功させるためには以下のポイントを意識してみてください。

Success

・買収企業のブランドや経営体制を維持したまま、グループの一員となる
・親会社の資本やノウハウを活用しながら、独自の経営を続けることが可能
・業界再編や新規市場参入の手段として活用されるケースが多い

「子会社化」は、M&Aの一形態であり、企業の独立性を維持しつつ、親会社の支配下に入る手法です。

M&Aと子会社化の決定的な違いとは?

M&Aと子会社化はどちらも企業の買収・統合に関わる手法ですが、企業の存続・経営の支配権・独立性の観点で大きな違いがあります。ここでは、M&Aと子会社化の決定的な違い を解説します。

M&Aと子会社化の決定的な違い

1. 企業の存続に関する違い

  • M&A(合併・完全買収):買収された企業は吸収されることが多く、法人格が消滅するケースがある。
  • 子会社化:企業の法人格はそのまま存続し、独立した経営が続けられる。

完全統合を目指すならM&A、会社を存続させたいなら子会社化がおすすめです。

2. 経営の支配権に関する違い

  • M&A(完全買収):買収企業が100%経営権を持ち、事業戦略・組織編成を自由に決定できる。
  • 子会社化:親会社が支配権を持つが、50〜100%の範囲で持ち株比率が異なり、完全な支配権を持たないケースもある。

M&Aは完全支配、子会社化は一定の独立性を維持できるのが特徴です。

3. ブランドや社名の扱いの違い

  • M&A(完全買収):買収後に社名やブランドが変更されることが多い。
  • 子会社化:ブランドや社名を維持し、買収前のイメージを残すことが可能。

ブランド価値を活かしたいなら子会社化、統一したいならM&Aがおすすめです。

4. 意思決定の自由度の違い

  • M&A(完全買収):買収企業が意思決定を完全にコントロールする。
  • 子会社化:独自の経営判断が可能だが、親会社の方針に従う必要がある。

自由な経営を残したいなら子会社化、完全統合を目指すならM&Aを選びましょう。

M&Aと子会社化の違いをわかりやすく表にもまとめましたので、こちらも参考にしてみてください。

項目M&A(合併・完全買収)子会社化
企業の存続買収された企業は消滅することが多い法人格が残り、独立性を維持
経営の支配権買収企業が100%所有し、完全支配親会社が50〜100%の株式を保有し、支配する
ブランド・社名買収後に統一されることが多い既存のブランドや社名を維持しやすい
意思決定の自由度買収企業が完全にコントロール一定の独立性があるが、親会社の影響を受ける

M&Aは「完全統合」、子会社化は「独立性を維持した支配」が特徴なので、目的に応じて適切な方法を選択しましょう。

「M&A」のメリット・デメリット

「M&A」のメリット・デメリット

M&Aは、企業が成長を加速させるための有効な手段ですが、同時にリスクも伴います。ここでは、M&Aの売り手側と買い手側、それぞれの立場からメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

下記の動画もチェック!

下記の動画でも、M&Aの概要やメリット・デメリットが解説されているので、ぜひ参考にしてみてください。

「M&A」メリット・デメリット(売り手側)

M&Aは、事業の存続や成長、経営者の出口戦略として有効な手段 ですが、一方でデメリットも存在します。ここでは、M&Aの売り手側にとってのメリットとデメリットを簡潔にまとめます。

メリット詳細
事業承継の解決後継者がいなくても会社を存続できる。
キャピタルゲイン(売却益)を得られる会社を売却し、現金資産化できる。
従業員の雇用を守れる廃業と違い、社員がそのまま働ける。
買収企業の資本力・ノウハウを活用できる事業拡大や経営効率化が可能。
市場競争の激化に対応できる大手の傘下に入ることで、経営基盤が安定する。
経営リスクから解放されるプレッシャーや負債から解放され、新たな人生設計が可能。
デメリット詳細
売却価格が期待より低くなる可能性業績や市場環境により、想定より安値での売却になることも。
買収後の経営方針が変わる可能性買収先の方針次第で、事業や従業員の待遇が変わることがある。
従業員や取引先の反発リスクM&Aによる組織変更で、不安を感じる社員や取引先が離れる可能性。
売却プロセスが複雑で時間がかかる交渉・契約・デューデリジェンスなど、完了まで半年〜1年以上かかることも。
秘密保持の管理が必要M&Aの交渉情報が漏れると、社内や取引先の混乱を招くリスクがある。

「M&A」メリット・デメリット(買い手側)

M&Aは、新規事業の拡大や市場シェアの獲得、競争力強化に有効な手段ですが、買い手側にはリスクも伴います。ここでは、M&Aを行う際のメリットとデメリット を簡潔に解説します。

メリット詳細
事業拡大がスピーディーにできるゼロからの立ち上げよりも、既存の事業基盤を活用できる。
市場シェアを一気に拡大できる競合企業を買収することで、市場での優位性を確保。
新しい技術・ノウハウを獲得できる研究開発よりも早く、即戦力の技術や人材を取り込める。
新規市場に参入しやすい地域や業界の壁を超えて、成長機会を広げられる。
売上・利益を即座に増加できる既存の収益モデルをそのまま活用し、安定した収益を確保。
人材不足を解消できる採用が難しい業種でも、経験豊富な人材を確保できる。
デメリット詳細
買収コストが高い企業評価次第では、高額な買収費用が発生する。
負債・簿外債務を引き継ぐリスクがある事前調査(デューデリジェンス)を怠ると、思わぬ負債を背負う可能性。
企業文化の統合が難しい買収先との経営方針や社風の違いにより、組織内の摩擦が生じやすい。
従業員の離職リスクがある買収後の不安から、優秀な人材が流出するケースも。
シナジー効果が期待どおりに出ない可能性思ったように収益やコスト削減の効果が得られないこともある。
M&Aプロセスが長期化する可能性交渉・調査・契約などに時間がかかり、スムーズに進まない場合も。

「子会社化」のメリット・デメリット

「子会社化」のメリット・デメリット

子会社化は、企業がM&Aによって買収される形のひとつで、独立性を維持しつつ、大企業や親会社の支援を受けられるのが特徴です。

売り手にとっては、完全買収とは異なり、経営の継続やブランドの存続が可能になる一方で、親会社の影響を受けるデメリットもあります。ここでは、子会社化のメリット・デメリット を簡潔に解説します。

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下記の動画では、子会社を作るメリット・デメリットについて解説されています。こちらの動画もぜひ見てみてください。

「子会社化」メリット・デメリット(売り手側)

メリット詳細
事業の独立性を維持できる完全買収と異なり、ブランドや経営体制を残しながら運営できる。
親会社の資本力を活用できる資金面の支援を受け、設備投資や新規事業展開がしやすくなる。
販路・顧客基盤を拡大できる親会社のネットワークを活かし、新たな市場に参入できる。
従業員の雇用を守りやすい買収後も経営体制が大きく変わらないため、従業員の安心感がある。
経営リスクを軽減できる経営の責任を一部親会社に委ねることで、経営者の負担が軽減される。
資金調達がしやすくなる親会社の信用力を活かし、金融機関からの融資が受けやすくなる。
デメリット詳細
親会社の意向に左右される独立性は維持できるが、最終的な意思決定は親会社に依存することが多い。
経営の自由度が下がる事業戦略や投資判断において、親会社の承認が必要になる場合がある。
買収後に組織文化の衝突が起こる可能性親会社との企業文化の違いが、従業員の不満や離職につながることも。
利益の分配が変わる親会社の意向で、利益の再投資や配当のルールが変わる可能性がある。
完全買収よりも売却価格が低くなるケースがある100%買収(M&A)に比べ、部分的な買収となるため、売却額が下がる可能性もある
親会社の経営不振の影響を受ける社が経営難に陥った場合、子会社の事業にも影響が及ぶリスクがある。

「子会社化」メリット・デメリット(買い手側)

子会社化はM&Aの一形態であり、買収した企業を独立法人として存続させつつ、支配権を持つ手法です。完全買収とは異なり、経営の自由度をある程度残しながら事業を拡大できる点が特徴ですが、買い手側には統合リスクや管理負担も発生します。

ここでは、買い手側にとっての子会社化のメリット・デメリット を解説します。

メリット詳細
リスクを抑えながら事業を拡大できる100%買収ではなく、出資比率を調整できるため、リスクをコントロールしながら成長機会を得られる。
ブランドや事業の強みを活かせる買収先のブランド価値・ノウハウを維持しながら、グループのシナジーを高められる。
経営の独立性を維持できる完全統合しないため、既存の経営陣や企業文化を尊重しながら事業を成長させやすい。
市場参入がスムーズになる異業種や新規市場に参入する際、子会社を活用することでスムーズな展開が可能。
スピーディーに買収を進められる完全買収と比べ、経営統合やPMI(Post-Merger Integration)が比較的容易で、早期に買収効果を得られる。
税務メリットがある連結決算による税務優遇を活用できる場合がある。
デメリット詳細
意思決定のスピードが遅くなる経営の独立性を残す分、親会社の方針と異なる動きが発生しやすく、意思決定が遅くなることがある。
ガバナンス管理の負担が増える独立法人として運営されるため、監査・法務・コンプライアンス管理の負担が増加する。
組織文化の統合が難しい買収後も既存の経営体制が残るため、企業文化の違いが長期的な課題となることがある。
利益の最適配分が難しくなる子会社の利益配分や投資判断をめぐり、親会社との調整が必要になる。
親会社の業績に依存するリスクがある親会社の経営が悪化すると、子会社の事業戦略にも影響を受ける可能性がある。
将来的な完全買収・整理の判断が必要になる子会社としての運営を続けるか、完全買収するか、売却するかなど、長期的な戦略を考える必要がある。

子会社化は、リスクを抑えながら事業を拡大し、買収先のブランドや強みを活かせる戦略的なM&A手法ですが、経営管理の負担や組織統合の課題も伴います。短期的な成長と長期的な運営戦略をしっかり設計することが、子会社化を成功させるカギ となります。

どのようなケースでM&Aと子会社化を使い分けるべきか?

どのようなケースでM&Aと子会社化を使い分けるべきか?

M&Aと子会社化は、どちらも企業の買収・統合の手法ですが、目的や経営方針によって適した選択肢が異なります。ここでは、M&A(完全買収)と子会社化のどちらを選ぶべきかについて、具体的なケースごとに解説します。

M&Aが適しているケース(完全統合・競争力強化)

M&A(完全買収・合併)は、対象企業を完全に統合し、経営権を100%取得する手法 です。特に、以下のようなケースでは、M&Aの方が適しています。

M&Aを選ぶべきケース

  • 完全統合して、シナジー効果を最大化したい場合

事業の統合によって、コスト削減・経営効率化・技術革新 を進めたいとき。
例:同業他社のM&Aで、仕入れや流通コストを削減する。

  • 競争力を高め、市場シェアを拡大したい場合

競合企業を買収することで、業界内での優位性を確保したいとき。
例:A社がB社を完全買収し、両社の顧客基盤を統合してシェアを伸ばす。

  • 既存のブランドや経営方針を変更し、新たな経営戦略を導入したい場合

企業買収後に、新しいブランド戦略や経営方針を適用したいとき。
例:買収した企業のブランドを廃止し、親会社のブランド名で統一する。

  • 業績不振の企業を立て直し、再生を図りたい場合

赤字企業や経営危機の企業を買収し、経営体制を刷新して立て直したいとき。
例:大手企業が経営不振の中小企業を買収し、新たな経営陣を派遣して再生を図る。

子会社化が適しているケース(ブランド維持・経営の独立性)

子会社化は、対象企業の経営権を握りつつも、独立した法人として存続させる手法です。特に、以下のようなケースでは、M&Aではなく子会社化の方が適しています。

子会社化を選ぶべきケース

  • 買収企業のブランドや事業の強みを活かしたい場合

企業のブランド価値が高く、既存の顧客基盤をそのまま活かしたいとき。
例:A社がB社の株式を80%取得し、B社のブランド名を維持したまま子会社化する。

  • 買収企業の経営陣や従業員を維持したい場合

経営者や従業員がそのまま残ることで、既存のノウハウや組織文化を継続できる。
例:老舗企業を買収し、創業者や幹部が引き続き経営を行う形で子会社化する。

  • 異業種・新規市場への参入をスムーズに進めたい場合

新しい業界や地域に進出する際、現地の市場や文化に適応するために、既存の経営体制を維持したいとき。
例:海外企業を買収し、現地法人として子会社化することで、国ごとの商習慣に対応する。

  • 親会社の資本力やノウハウを活用しながら、買収企業の成長を促進したい場合

買収企業に対して、資金援助や経営支援を行いながら、事業成長をサポートしたいとき。
例:親会社のリソースを活用しながら、子会社として独立性を保ちつつ事業拡大する。

  • 買収リスクを分散し、柔軟な経営判断を行いたい場合

完全買収よりも、段階的な経営統合を進めながら、リスクを抑えたいとき。
例:最初は50%の株式を取得し、段階的に出資比率を増やして最終的に完全買収する。

Information

実際に子会社化を選択した例として、下記のニュースを参考にしてみてください。

参照:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250305/k10014740371000.html

M&Aと子会社化は、それぞれ異なる特性を持つため、企業の戦略や目的に合わせて適切な選択肢を選ぶことが重要です。

M&A(売却)なら弊社にお任せください!

弊社MA Frontierでは、スタートアップ型・成長戦略型・事業承継型など、さまざまな目的に応じて最適なM&Aの戦略をご提案しています。

弁護士や公認会計士、戦略コンサルタントなどの専門家チームを擁し、企業の売却をご検討の経営者様を徹底的にサポートいたします!

「新しいビジネスモデルを考えたい」「停滞している企業の経営を変えたい」「独自の技術やノウハウを継承したい」など、背景は企業様によってさまざまです。

弊社では法務・財務・税務の各側面から、M&Aの複雑な手続きを安全に進められるようお手伝いいたします。 

なお、売主様に対しては着手金・中間報酬・月額報酬が一切発生しない完全成功報酬制を採用しており、成約後の売却代金から報酬をお支払いいただくフローとなっているため安心です!

M&Aの流れ

さらに、弁護士や公認会計士などが財務面でのリスクをしっかりと検証するため、M&A取引に必要な各種書式や契約書の準備も円滑に進めていただけます

この他にも、以下のようにさまざまなご依頼を承っておりますので、まずは無料相談にてお気軽にご相談ください。

M&A Frontierで対応しているサービス

候補先企業の探索・選定
株式譲渡・事業譲渡などのスキームに関するご提案
各種書式・契約書の準備
・株式価値の無料算定
・デューデリジェンスのサポート
・伴走型コンサルティング
(企業の状況や成長戦略に関する知見の提供)

「M&A」や「子会社化」に関するよくある質問

「M&A」や「子会社化」に関するよくある質問

Q.子会社化と合併にはどのような違いがありますか?

A. 子会社化と合併の違いは、「企業の存続」「経営の独立性」にあります。それぞれの手法の特徴は、以下の通りです。

子会社化の特徴

・買収されても企業は存続し、法人格を維持する。
・親会社が支配権を持つが、一定の独立性が保たれる。
・既存の経営体制やブランドが維持されることが多い。

合併の特徴

・2つ以上の企業が統合し、1つの会社に生まれ変わる。
・吸収合併の場合、買収された企業は消滅する。
・経営方針・組織・ブランドが統一される。

つまり、子会社化は、親会社が子会社の経営をコントロールしつつも、子会社自身の法人格や事業を維持したい場合に選択されます。一方、合併は、企業間の重複事業を整理・統合し、経営効率を高めたい場合に選択されることが多いです。

「子会社化」企業の存続が前提、「合併」企業の統合が前提として進められます。それぞれの企業の目的に合った手法を選びましょう。

Q.子会社化とグループ会社化にはどのような違いがありますか?

A. 子会社化とグループ会社化は似ていますが、親会社との資本関係に違いがあります。子会社化とグループ会社化の特徴は、それぞれ以下の通りです。

子会社化の特徴

・親会社が50%以上の株式を保有し、経営権を持つ。
・親会社の影響を受けるが、独立した法人として存続。
・「完全子会社化」すると、親会社が100%株式を保有する。

グループ会社化の特徴

・企業同士が提携関係を結び、グループ全体で事業を推進する。
・資本関係がないケースもあり、ブランドの統一のみを行う場合も。
・経営の独立性が比較的高く、グループ内でのシナジー効果を重視する。

したがって、子会社化はグループ会社化の一つの形態と言えます。「子会社化」は資本関係を伴い、グループ会社化は提携関係も含む概念です。

Q.子会社化されると給料は下がりますか?

A. 子会社化されても、すぐに給料が下がるとは限りませんが、変動の可能性はあります。

給料が変わらないケース給料が下がってしまう可能性があるケースは、それぞれ以下の通りです。

給料が変わらないケース

・買収後も既存の雇用契約や給与体系が維持される場合。
・買収企業の待遇が良く、グループ全体の賃金水準が上がる場合。
・人材流出を防ぐために、一定期間は給与を保証する場合。

給料が下がる可能性があるケース

・買収後に給与体系が見直され、待遇が親会社基準に統一される場合。
・経営再建のためにコスト削減策が取られる場合。
・ボーナスや福利厚生が変更され、実質的な年収が下がる場合。

「子会社化=給料が下がる」とは限らないが、待遇が変わる可能性はあります。そのため子会社化される際には、人事制度や給与体系について会社からの説明をしっかりと確認することが重要です。

Q.完全子会社化するとどうなりますか?

A. 完全子会社化とは、親会社が100%株式を取得し、完全支配下に置くことです。完全子会社化されると、子会社は親会社の意向をより強く反映した経営を行うことになります。具体的には、以下のような影響を受けます。

完全子会社化の影響

・子会社の意思決定はすべて親会社が行うようになる。
・上場子会社であれば、株式市場からの上場廃止となる。
・親会社の経営方針に従う必要があり、独自の経営判断がしにくくなる。
・企業ブランドは存続する場合もあれば、親会社ブランドに統一される場合もある。

完全子会社化は、親会社にとってはグループ全体の経営効率を高める効果が期待できますが、子会社は経営の自由度が低下する可能性があることを理解しておきましょう。

「完全子会社化=親会社の完全支配」ですが、経営の自由度がどこまで保たれるかはケースバイケースです。

Q.子会社化されると社長はどうなりますか?

A. 子会社化された後の社長の処遇は、M&Aの条件や親会社の経営方針によって異なります。

社長が継続するケースや退任するケースは、それぞれ以下のパターンが挙げられます。

社長が継続するケース

・既存の経営陣を維持する契約になっている場合。
・会社のブランドやノウハウを活かす目的で、経営者がそのまま残る場合。
・親会社の支援を受けながら、引き続き経営を行う場合。

社長が退任するケース

・親会社が新たな経営陣を派遣し、経営体制を刷新する場合。
・M&Aの契約で、一定期間の引継ぎ後に退任する取り決めがある場合。
・経営方針が合わず、自主的に辞任する場合。

社長が続投する場合でも、親会社からの経営方針や指示に従う必要があり、経営の自由度は低下する可能性があります。また、親会社から新たな社長が派遣された場合、子会社の経営戦略や組織体制が大きく変わることもあります。

いずれにせよ、子会社化後の社長の去就は、M&Aの契約次第で大きく変わるでしょう。

M&Aや子会社化は、企業戦略の一環として重要な手法ですが、経営の独立性・従業員の待遇・経営者の去就など、影響が大きい要素も多くあります。具体的なM&Aの内容や条件次第で、影響の度合いが変わるため、事前の情報収集や契約内容の確認が重要です。

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