ロゴ

M&A全般

M&A(売却)の流れを徹底解説!会社を売却する際の事前準備もあり!

「会社を売却するとなると、どのような流れで進めれば良いのだろう?

多くの経営者が抱く、この疑問に対する答えを探るために、当記事をご用意しました。M&A(売却)の流れは一見すると複雑に見えますが、しっかりと各ステップを理解し、事前準備を進めておけば、スムーズな売却が可能となります。

本記事では、M&A(売却)の流れを初期準備から最終的なクロージング、更には売却後の統合まで、6つのステップに分けて徹底解説します。また、売却の前に行うべき準備や、成功させるためのポイントについても詳しく説明します。一般的な疑問についても、Q&A形式でお答えします。

会社売却は企業にとって一大事。その流れを確認し、適切な準備を行い、最善の結果を引き出す手助けになれれば幸いです。

こちらの動画もチェック!

下記の動画では、会社売却のメリット・デメリットや流れについて詳しく解説されています。M&Aを検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

M&A(売却)の流れを6STEPで解説|スケジュールの目安付き!

M&A(売却)の流れを6STEPで解説|スケジュールの目安付き!

M&Aの売却プロセスは ①準備 ②売却先選定③交渉・基本合意 ④デューデリジェンス ⑤最終契約⑥PMI(経営統合) という流れで進行します。

ステップ期間(目安)主なタスク
① M&Aの準備約1~3か月目的整理・企業価値評価・財務整理
② 売却先の選定約2~6か月買い手候補のリストアップ・初期交渉
③ LOI(基本合意)約1~2か月条件交渉・独占交渉権の確定
④ デューデリジェンス約1~3か月財務・法務・事業調査・リスク対策
⑤ 最終契約・クロージング約1~2か月SPA締結・株式譲渡・登記変更
⑥ PMI(経営統合)約6か月~1年以上従業員・取引先対応・業務整理

売り手側の視点で、各ステップの詳細を やるべきこと」「注意点」「成功のポイントを交えて解説します。

① M&Aの準備(売却の検討・事前準備)|約1~3か月

M&Aの準備段階は、売却の成功を左右する最も重要な準備フェーズです。この段階では、売却の目的を明確にし、企業価値を高めるための対策を講じることが、交渉を有利に進めるポイントです。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

売却の目的を明確にする → 事業承継・資金調達・事業整理など
企業価値の評価(バリュエーション) → 財務状況・利益率・成長性を分析
デューデリジェンス(DD)対策 → 財務・法務・労務リスクを洗い出す
従業員・取引先への影響を考慮 → 売却後の雇用や取引継続を想定

注意点

・財務や契約の不備があると売却価格が下がる可能性
・M&A仲介会社やアドバイザーと連携し、交渉準備を整える

成功の
ポイント

・企業価値向上の施策(コスト削減・利益率改善)を行う
・早期に専門家(M&Aアドバイザー・弁護士・税理士)と連携し、売却準備を進める

② 売却先の選定・マッチング|約2~6か月

次に、売却先の選定とマッチングを行います。「誰に売るか?」がM&A成功のカギです。売却相手の選定を慎重に行い、事業継続シナジー効果を考慮して進めましょう。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

・M&A仲介会社やプラットフォームを活用し、買い手候補をリストアップ
・売却先の選定基準を決める(財務力・経営方針・事業シナジー)
・初期交渉を実施し、買い手の意向を確認

注意点

・価格だけでなく、売却後の事業の方向性や経営方針も考慮する
・買い手候補が複数いる場合は、競争入札を行い、適正な売却価格を引き出す

成功の
ポイント

・「売却後も従業員や取引先が安心できる相手」を選ぶ
・情報漏洩を防ぐため、買い手候補と秘密保持契約(NDA)を締結

③ LOI(基本合意書)の締結|約1~2か月

売却先候補との間で基本的な合意に達したら、LOI(基本合意書)を締結します。この段階は、価格交渉基本条件を詰める重要なフェーズです。

LOIには、売却価格や条件、今後のスケジュールなどが記載されます。法的拘束力を持つ条項と持たない条項があるので、内容をしっかりと確認することが重要です。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

基本合意書(LOI:Letter of Intent)の作成・締結
・売却価格・支払い方法・独占交渉権の設定
・主要な契約条件(譲渡範囲・雇用継続・競業避止義務)を確認

注意点

・LOIは法的拘束力がない場合もあるが、交渉の方向性を明確にする重要な書類
・不利な条件が含まれていないか、弁護士と確認

成功の
ポイント

・売却価格だけでなく、事業継続に関する条件も明確にする
・独占交渉期間を設定し、他社への情報流出を防ぐ

④ デューデリジェンス(DD)の実施|約1~3か月

LOI締結後、買い手側はデューデリジェンス(DD)を実施し、企業精査を行います。これは、企業の価値リスクを詳細に調査するプロセスです。

財務法務税務など、様々な側面から企業の状況を分析し、M&Aの最終的な判断材料とします。売り手側は、DDに必要な資料を準備し、買い手側の質問に誠実に対応する必要があります。DDの結果によっては、売却価格や条件が変更されることもあります。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

・財務・法務・事業デューデリジェンス(DD)に対応
・過去の契約書・税務申告書・人事データなどを整理し、開示準備
・買い手の質問やリスク指摘に対し、適切に対応する

注意点

・隠れた負債や法的リスクがあると、価格引き下げや契約破談の可能性あり
・情報提供の範囲を慎重に管理し、交渉が不利にならないようにする

成功の
ポイント

事前に財務や契約の整理をし、DD時にリスクを指摘されないように準備しましょう!

⑤ 最終契約(SPA)の締結とクロージング|約1~2か月

DDの結果を踏まえ、最終的な合意に達したら、最終契約(SPA)を締結します。

SPAには、売却価格や支払い条件、契約解除条件など、M&Aに関するすべての条件が詳細に記載されています。契約内容を十分に理解し、慎重に署名することが重要です。SPA締結後、クロージングと呼ばれる手続きを経て、株式の譲渡や代金の支払いが行われ、M&Aが完了します。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

・最終契約(SPA:株式譲渡契約)を締結
・支払い方法(前払い・分割・エスクロー)を確定
・株式・資産の譲渡手続き(登記変更など)を実施

注意点

・売却後のトラブルを防ぐため、契約条件(表明保証、競業避止義務)を慎重に確認
・取引先や従業員への通知・説明を行い、売却後の混乱を防ぐ

成功の
ポイント

弁護士とともに契約内容を最終チェックし、不利な条件がないか確認しましょう!

⑥ PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の実施|約6か月~1年以上

M&A完了後、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)と呼ばれる統合プロセスを実施します。これは、両社の組織、システム、文化などを統合し、M&A後の事業引継ぎをスムーズに進めるためのフェーズです。

PMIは、M&Aの成否を左右する重要な要素であり、長期的な視点で計画的に進める必要があります。従業員のモチベーション維持や顧客への影響を最小限に抑えることも重要です。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

・従業員・取引先への説明と対応策の実施
・業務プロセスの整理・統合計画の策定
・買い手企業との協力体制を確立

注意点

PMIが適切に行われないと、従業員の離職や取引先の信頼低下につながる!

成功の
ポイント

売却後の移行期間を設定し、円滑な統合をサポートしましょう!

M&Aは複雑なプロセスですが、各ステップを理解し、適切な準備を行うことで、スムーズなM&Aを実現することができます。M&Aを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

売却完了までの流れを徹底サポート!M&A仲介は「弊社」にお任せください!

弊社MA Frontierでは、スタートアップ型・成長戦略型・事業承継型など、さまざまな目的に応じて最適なM&Aの戦略をご提案しています。

弁護士や公認会計士、戦略コンサルタントなどの専門家チームを擁し、企業の売却をご検討の経営者様を徹底的にサポートいたします!

「新しいビジネスモデルを考えたい」「停滞している企業の経営を変えたい」「独自の技術やノウハウを継承したい」など、背景は企業様によってさまざまです。

弊社では法務・財務・税務の各側面から、M&Aの複雑な手続きを安全に進められるようお手伝いいたします。 

なお、売主様に対しては着手金・中間報酬・月額報酬が一切発生しない完全成功報酬制を採用しており、成約後の売却代金から報酬をお支払いいただくフローとなっているため安心です!

M&Aの流れ

さらに、弁護士や公認会計士などが財務面でのリスクをしっかりと検証するため、M&A取引に必要な各種書式や契約書の準備も円滑に進めていただけます

この他にも、以下のようにさまざまなご依頼を承っておりますので、まずは無料相談にてお気軽にご相談ください。

M&A Frontierで対応しているサービス

候補先企業の探索・選定
株式譲渡・事業譲渡などのスキームに関するご提案
各種書式・契約書の準備
・株式価値の無料算定
・デューデリジェンスのサポート
・伴走型コンサルティング
(企業の状況や成長戦略に関する知見の提供)

M&A(売却)の前にしておくべき準備

M&A(売却)の前にしておくべき準備

M&Aで企業を売却する際、事前準備が不十分だと、売却価格の低下交渉の長期化につながる可能性があります。売却をスムーズに進め、買い手にとって魅力的な案件とするために、必要な準備を徹底しましょう。

ここでは、M&A(売却)の前にしておくべき準備について解説していきます。

準備項目目的ポイント
財務・税務の整理企業価値向上・価格交渉を有利に進める財務データを整備し、利益率を改善
M&Aの目的・売却計画の策定最適な売却先・スキームの選定売却後のビジョンを明確にし、戦略的に進める
資料準備とデューデリジェンス対策買い手の信頼獲得・スムーズな交渉取引契約・財務データ・知的財産の整理

こちらの動画もチェック!

下記の動画では、会社売却のための事前準備について解説されていますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

財務・税務の整理と企業価値の向上

まず、会社の財務・税務状況を整理し、正確な情報を把握することが大切です。財務・税務の整理を行うことで、会社の現状を客観的に把握し、M&Aの交渉において有利な立場を築くことができます。

また、企業価値の向上も重要な準備です。企業価値は、将来の収益性や成長性、ブランド力、技術力など、様々な要素によって評価されます。

これらの取り組みを通じて企業価値を高め、売却価格に直結する「企業の見せ方」を最適化しましょう。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

財務諸表の整理 → 過去3〜5年分の財務データを整備し、透明性を確保
利益率の改善 → 不採算部門の見直し、コスト削減で利益率を向上
未払い債務・リスク要因の解消 → 買い手にとっての不安要素を排除
税務対策 → キャピタルゲイン税や譲渡益税の影響を考慮し、最適な売却方法を選定

注意点

不自然な財務調整はリスク要因と見なされる可能性がある → 短期的な数値改善ではなく、持続的な成長を示すことが重要

成功の
ポイント

・EBITDA倍率などの評価指標を意識し、買い手にとって魅力的な財務状況を作る
・税理士・会計士と連携し、売却後の税負担を最小限に抑える計画を立てる

M&Aの目的を明確化し、売却計画を策定

M&Aを行う目的を明確にすることも、非常に重要です。「なぜ売るのか?」を明確にして最適な売却先と条件を選定すると、M&Aの戦略や交渉の方向性が定まります。

目的を明確にした上で、具体的な売却計画を策定します。売却計画には、売却の時期や希望売却価格、売却先のターゲット、交渉戦略などを盛り込みます。計画的にM&Aを進めることで、より良い条件で売却できる可能性が高まります。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

売却の目的を整理 → 事業承継・資金調達・事業再編など
売却後のビジョンを明確にする → 買い手の経営方針と合致するかを確認
売却方法の選定 → 株式譲渡・事業譲渡・合併のどれが適切か検討
売却のスケジュール策定 → M&Aの流れを理解し、スムーズな進行計画を立てる

注意点

・目的が曖昧だと、交渉で不利になる可能性がある
・売却後の経営関与についても早い段階で整理し、交渉材料にする

成功の
ポイント

・売却時期を見極め、最適なタイミングで交渉を進める
・専門家(M&Aアドバイザー・弁護士)と連携し、事業の売却戦略を立てる

必要な資料の準備とデューデリジェンス(DD)対策

M&Aのプロセスでは、買い手企業によるデューデリジェンス(DD)が実施されます。デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業の財務、法務、税務、事業などの状況を詳細に調査することです。

デューデリジェンスの結果は、売却価格や契約条件に大きな影響を与えるため、買い手の信頼を得るために、スムーズな情報開示を準備しましょう。

この段階の「やるべきこと」「注意点」「成功のポイント」は、それぞれ以下の通りです。

やるべきこと

財務資料の整備 → 過去の決算書・納税証明書・キャッシュフロー計算書
契約関係の整理 → 取引先・リース契約・従業員の雇用契約の確認
知的財産権の管理 → 商標・特許・ブランド価値の整理
法務リスクの洗い出し → 訴訟リスクや規制違反の有無を確認

注意点

・DD(デューデリジェンス)の結果次第で価格交渉が変わるため、リスク要因は事前に把握
・開示する情報の範囲を慎重に管理し、交渉の段階に応じた情報提供を行う

成功の
ポイント

・財務・法務の専門家と協力し、買い手にとって安心できる企業価値を提示する
・リスク要因を先回りして対策し、DDでのネガティブ要素を最小限に抑える

M&A(売却)を成功させるためのポイント

M&A(売却)を成功させるためのポイント

M&Aの売却を成功させるためには、単に企業を「売る」だけでなく、企業価値の向上適切な交渉トラブルの回避策 など、多面的な戦略が必要です。

ここでは、売却を有利に進めるための具体的な方法を解説します。

こちらの動画もチェック!

下記の動画では、M&Aの売却を成功させるポイントについて解説されています。会社売却の成功率を高めたい方は、ぜひご覧ください。

適切な売却戦略を立てる

M&Aにおいて、企業価値を最大化することが売却成功の鍵です。売却価格は単なる利益額だけでなく、成長性・リスク管理・市場環境なども評価に影響を与えます。

売却前に企業価値を向上させる施策を実行することで、買い手にとって魅力的な案件となり、より高額な売却が可能になります。

企業価値を高めるための具体的な施策は、以下の通りです。

利益率改善 → 不採算部門の整理、コスト削減、価格戦略の見直し
財務整理 → 貸借対照表のスリム化、負債削減、未払い債務の整理
成長戦略の策定 → 今後の事業展開プランの明確化、成長性を示す指標の強化

また売却計画を立てる際に、注意すべきポイントもいくつかあります。ぜひ、下記を参考にしてみてください。

注意点

・売却直前の急な業績改善はリスクと見なされる
→ 短期的な数字合わせではなく、継続的な成長戦略 を示すことが重要。
・財務上の問題点を整理し、買い手に安心感を与える準備をする。

買い手企業にとって魅力的なポイントを明確にする

M&Aの売却を成功させるためには、「なぜこの企業を買収すべきなのか?」 という買い手の視点を意識することが重要です。

買い手企業は、売上高や利益だけでなく、技術力、人材、顧客基盤、ブランド力など、様々な要素を総合的に評価します。自社の強みを明確にし、それが買い手企業にとってどのようなメリットをもたらすのかを示すことができれば、より有利な条件で売却を進めることができるでしょう。

買い手が特に重視するポイントは、主に以下の4つです。

競争優位性 → 他社にはない強み(特許技術・ブランド力・販路)
安定したキャッシュフロー → 継続的に利益を生み出せるか
シナジー効果 → 買い手企業との統合でどのようなメリットがあるか
経営リスクの少なさ → 訴訟・未払い債務・契約問題などの有無

ただし、買い手企業に自社の魅力を伝える際には以下のポイントを注意しましょう。

注意点

売却時に「良い点」だけをアピールするのは逆効果

→ 「課題もあるが、それを乗り越えた際の成長可能性が高い」 というストーリーを提示するのが効果的。

競争入札を活用して適正な売却価格を引き出す

M&Aでは、1社の買い手に絞るよりも、複数の買い手候補を集め、競争入札を行うことで適正な価格を引き出す ことが可能です。競争環境を作ることで、各買い手企業はより高い価格を提示するインセンティブが働くためです。

競争入札を行うメリットは、以下の通りです。

高額売却が期待できる → 買い手同士が競争し、価格が上昇
売却条件の交渉力が高まる → 価格だけでなく、売却後の経営方針や雇用条件なども有利に進めやすい

ただし、競争入札を行う際には、情報管理を徹底し、機密情報の漏洩に注意しなければなりません。競争入札を行う上での注意点は以下の通りです。

注意点

情報漏洩のリスク → 買い手候補には秘密保持契約(NDA)を締結する
買い手の質を見極めることが重要 → 価格だけでなく、長期的な経営の安定性を考慮

また価格だけでなく、買い手企業の経営方針従業員の待遇なども考慮し、総合的に判断することが重要です。

売却価格だけでなく、買い手のビジョンや経営戦略も考慮する

M&Aの売却は単なる「価格交渉」ではなく、「売却後にどのように事業が継続されるか?」が重要です。売却後の事業の成長や従業員の雇用維持など、長期的な視点で判断しましょう。

M&Aについて検討する際に考慮すべきポイントは以下の通りです。

・買い手企業の経営戦略と一致しているか?
・従業員の雇用はどうなるか?
・事業ブランドは維持されるのか?

注意点

価格だけで決めると、売却後に従業員の離職経営方針の大幅変更が起こる可能性があります。

適切なタイミングで売却交渉をする(景気・業界の動向を見極める)

M&Aのタイミングは、景気や業界の動向によって大きく左右されます。

M&Aに最適なタイミングは、主に以下のような場合です。M&Aを行う際には参考にしてみてください。

業績が好調なとき → 企業価値が高まり、売却価格が上がる
業界が成長期にあるとき → 買い手の関心が高く、売却がスムーズに進む
競合他社がM&Aを活発に行っているとき → 競争入札が期待できる

注意点

逆に景気が低迷している時期は、買い手が慎重になり、売却価格が下がる傾向がある

M&Aを検討する際には、専門家のアドバイスを受けながら、最適なタイミングを見極めることが重要です。

M&A(売却)の流れに関するよくある質問

M&A(売却)の流れに関するよくある質問

M&Aの売却プロセスは複雑で、多くの売り手企業が疑問を持つポイントがいくつかあります。

ここでは、売却時に最もよく聞かれる質問とその回答 をまとめました。

Q. 会社を売却する際に必要な書類は?

A. M&Aでは、買い手企業が財務・法務・人事・取引先情報を詳細にチェックするため、事前に書類を整理しておくことが重要です。

会社売却に必要な書類は多岐に渡りますが、主なものとして以下のものが挙げられます。

カテゴリ必要書類ポイント
財務関連財務諸表(過去3〜5年分)、税務申告書、資産・負債明細企業の財務健全性を示すため、正確なデータが求められる
法務関連定款、商業登記簿謄本、契約書(取引先・リース・融資契約)契約の有効性や訴訟リスクをチェックするための重要書類
人事関連従業員名簿、雇用契約書、給与データ、退職金規定買い手が従業員の処遇を検討する際に使用
事業関連主要取引先リスト、業務フロー、知的財産権(商標・特許)事業の継続性や強みを把握するための情報
注意点

財務・法務デューデリジェンス(DD)の際に、整備不十分な書類があると交渉が長期化する可能性がある

M&A仲介会社などの専門家と連携し、必要な書類を事前に準備しておくことが重要です。

Q. M&Aの売却相場はどれくらい?

A. M&Aの売却価格は、企業の業界・規模・成長率によって異なり、「市場の評価」「企業の価値」によって決まります。

一般的にはEBITDA倍率PBR(株価純資産倍率) を基準に評価されることが多いです。

売却価格の指標や計算方法、ポイントについて下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

指標計算方法ポイント
EBITDA倍率企業価値 ÷ EBITDA(税引前利益+減価償却費)成長性の高い企業ほど高い倍率が適用される
PBR(株価純資産倍率)企業価値 ÷ 純資産資産価値が大きい企業に適用される
PER(株価収益率)企業価値 ÷ 当期純利益成長企業において評価の指標となる
DCF法(割引キャッシュフロー法)未来のキャッシュフローを割引計算将来の利益を見越した企業評価に活用される

これらの方法を組み合わせて、総合的に売却価格を決定することが一般的です。業種や市場環境によって、評価方法が異なるため、自社に適した方法を選択しましょう。

また売却価格を高めるためには、財務の透明性を高め、成長戦略を明確に示すことが必要です。

Q. 売却後の経営者の役割はどうなる?

A. M&A後の経営者の役割は、買い手と事前にどのような合意をするかによって決まります。買い手との合意内容によって異なるが、基本的には経営権を譲渡することになります。

売却後の経営者の役割としては、主に以下のようなものが挙げられます。

ケース内容
売却後すぐに退任買い手がすぐに新しい経営陣を配置し、事業を引き継ぐ
一定期間、経営に残る(アーンアウト)買い手と合意のもと、一定期間(1〜3年)経営に関与する
顧問・アドバイザーとして関与経営から退くが、事業の円滑な引き継ぎのため、アドバイザーとして協力

売却後も経営に関与する場合、契約時に役割や条件を明確にしておくことが重要です。従業員の雇用維持のためにも、経営者が一定期間残留することを買い手企業が望むケースも多く見られます。

ただしアーンアウト(業績連動型報酬)を設定する場合、目標値の設定方法に注意しましょう。

こちらの動画もチェック!

下記の動画ではアーンアウトのメリット・デメリットなどについて詳しく解説されています。アーンアウトを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 売却時に従業員の雇用はどうなる?

A. M&Aでは、従業員の雇用維持が重要な課題となります。基本的には、契約内容によって買い手が雇用を継続するケースが多いですが、売却条件に応じて異なります。

従業員の雇用継続に関する選択肢は、主に以下の通りです。

ケース内容
全従業員の雇用を維持企業の継続性を重視し、買い手が雇用を保証
一部の従業員のみ引き継ぎ業務内容や役割に応じて、引き継ぐ従業員を選定
リストラが実施される可能性あり買い手の経営方針によって、整理・統合が行われることも

ただし、M&Aの条件によっては、人員削減が行われる可能性もゼロではありません。M&A契約の際には、従業員の雇用条件(給与、待遇、勤務地など)について明確に定めましょう。

事業譲渡の場合、新たな雇用契約が必要になることがあるため、労務手続きに注意してください。またM&A成立前に十分な説明を行い、従業員の不安を解消することも成功のカギです。

Q. M&Aの売却にかかる期間は?

A. M&Aの売却プロセスは、準備段階からクロージングまで通常6か月〜1年以上かかることが一般的です。ただ案件の規模交渉の進展状況によって、さらに長期化するケースもあります。

M&Aにかかる期間について、各段階ごとにまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

フェーズ期間主なタスク
売却準備(事前整理)約1〜3か月企業価値評価、財務整理、売却戦略策定
売却先の選定・交渉約2〜6か月買い手探し、交渉、基本合意書締結
デューデリジェンス(DD)約1〜3か月財務・法務・事業調査、リスク管理
最終契約・クロージング約1〜2か月契約締結、株式譲渡、引継ぎ準備
PMI(経営統合)約6か月〜1年以上組織統合、業務フローの統一

これらの段階を全て踏まえると、全体で6ヶ月~1年程度の期間を要することが一般的です。

ただし、これはあくまで目安であり、売却準備を早めに始めることで、スムーズに進んでより短期間で完了することもあります。買い手との交渉次第で期間が変動するため、スケジュールに柔軟性を持たせることも重要です。

M&Aは準備と戦略次第で成功確率が大きく変わるので、事前に可能な限り念入りに準備して進めましょう。

  • タグなし