【最新版】スタートアップのセカンダリー取引の手続きと流れを徹底解説
スタートアップの成長過程において、創業者や初期投資家が保有する株式を第三者に売却する「セカンダリー取引」は、IPO以外の重要なExit戦略として急速に注目を集めています。特に2025年現在、日本のスタートアップエコシステムの成熟に伴い、セカンダリー市場は新たな流動性供給の場として機能し始めています。
しかし、セカンダリー取引は通常の株式売買とは大きく異なります。特にVC出資を受けているスタートアップでは、投資契約や株主間契約による複雑な制約が存在し、これらを適切にクリアしなければ取引自体が成立しません。

本記事では、数百件のセカンダリー取引を支援してきた実務経験を基に、手続きの全体像から実践的なノウハウまでを詳しく解説します。

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スタートアップのセカンダリー取引の全体フロー
セカンダリー取引を成功させるためには、6つの重要なステップを確実に実行する必要があります。各ステップは相互に関連しており、一つでも不備があると取引全体に影響を及ぼすため、全体像を理解した上で計画的に進めることが重要です。

以下、実務で必要となる具体的な手続きと注意点を詳しく解説していきます。
1. 売却対象株式と譲渡制限の徹底確認
セカンダリー取引を検討する際、最初に行うべきは保有株式の法的性質と制約条件の正確な把握です。この段階での見落としは、後の手続きを大幅に遅延させる最大の要因となるため、慎重な確認が求められます。
株式の種類と制約の確認

スタートアップの株式構成は、一般的な企業と比べて複雑です。
創業時の普通株式に加え、資金調達ラウンドごとにA種、B種といった優先株式が発行され、それぞれ異なる権利と制約が設定されています。
普通株式については、多くの場合定款による譲渡制限が設けられており、さらに株主間契約による追加的な制約が課されています。一方、VCが保有する優先株式は、投資契約書において厳格な譲渡制限と同意権条項が定められているケースがほとんどです。ストックオプションから転換された株式については、行使条件や権利確定スケジュールとの整合性も確認する必要があります。
確認すべき3つの法的文書
実務上、以下の3つの文書を階層的に確認することが不可欠です。まず定款で会社法に基づく基本的な譲渡制限を確認し、次に株主間契約書でROFR(Right of First Refusal:先買権)やTag-Along Rights(共売権)などの株主間での追加制約を把握します。そして最後に、VC投資時に締結された投資契約書で包括的な制約条項を確認します。
これらの制約は独立して存在するのではなく、階層的に重なり合っています。たとえ定款上の要件をクリアしても、株主間契約で制限される可能性があり、さらに投資契約の同意権条項を見落とせば取引は頓挫してしまいます。
取締役会承認の要件
譲渡制限付き株式の場合、会社法第139条に基づく取締役会承認が必須となります。ただし、承認要件は会社によって大きく異なり、単純な過半数決議で済む場合もあれば、特定のVC投資家に拒否権が付与されている場合もあります。
特に注意すべきは、VCが派遣している取締役の存在です。彼らは投資契約に基づく拒否権を背景に、実質的な決定権を持っているケースが多く、事前の調整なしに承認を得ることは困難です。

このため、取締役会承認を単なる形式的な手続きと考えず、戦略的な交渉プロセスとして捉える必要があります。
2. 戦略的事前準備(DD資料・バリュエーション)
買い手候補から信頼を獲得し、適正価格での取引を実現するためには、周到な事前準備が欠かせません。特に機関投資家やVCが買い手となる場合、上場企業のM&Aに匹敵する水準のデューデリジェンス資料が求められることもあります。
デューデリジェンス資料の準備
デューデリジェンス資料は、単なる財務諸表の羅列ではなく、買い手が投資判断を下すために必要な情報を体系的に整理したものでなければなりません。財務面では直近3期分の財務諸表に加え、月次試算表で足元の業績推移を示し、向こう3年の事業計画で将来性をアピールします。
事業面では、ビジネスモデルの説明、競合分析、市場ポジショニングといった基本情報に加え、ARR(年間経常収益)、CAC(顧客獲得コスト)、LTV(顧客生涯価値)などの重要KPIの推移を示すことが重要です。特にSaaS企業の場合、これらの指標は企業価値評価に直結するため、正確かつ詳細なデータ提供が求められます。
法務面では、株主構成の変遷、重要契約の概要、知的財産権の状況など、将来的なリスク要因となり得る事項を網羅的に開示します。過去のトラブルや係争中の案件がある場合は、隠さずに開示し、その対応策も含めて説明することで、むしろ信頼性を高めることができます。
バリュエーションの実施
スタートアップのバリュエーションは、成長段階や事業モデルによって適用すべき手法が大きく異なります。シード・アーリー期の企業では、収益基盤が確立していないため、直近の資金調達ラウンドの株価を基準に、その後の事業進捗を加味して調整する手法が一般的です。
グロース期の企業では、類似上場企業の売上高倍率やPERなどのマルチプルを適用しますが、非上場であることによる流動性ディスカウント(10-30%)を考慮する必要があります。

特にSaaS企業では、ARRの5-10倍という評価が相場となっていますが、成長率や収益性によって大きく変動します。
レイター期の企業では、DCF法による理論価値の算出も可能になりますが、将来キャッシュフローの予測には高い不確実性が伴うため、マルチプル法との併用によるクロスチェックが重要です。
3. 取締役会承認プロセスの戦略的進行
取締役会承認は、セカンダリー取引における最も重要な関門の一つです。形式的には会社法に基づく手続きですが、実態は既存株主・経営陣との利害調整を図る高度な交渉プロセスです。
事前根回しの重要性
承認を確実に取得するためには、取締役会開催前の入念な根回しが不可欠です。各取締役の立場と懸念事項を個別にヒアリングし、反対理由を事前に解消しておく必要があります。
創業者取締役は、支配権への影響や将来の資金調達への影響を懸念することが多いため、譲渡後も経営の安定性が保たれることを丁寧に説明します。VC派遣取締役は、ポートフォリオ全体への影響やLP(ファンド出資者)への説明責任を重視するため、価格の妥当性や譲受人の適格性について客観的なデータを提示することが重要です。
社外取締役に対しては、ガバナンスの観点から取引の適正性を説明し、少数株主の利益が損なわれないことを明確に示す必要があります。
承認条件の調整
無条件での承認が難しい場合は、条件付承認による合意形成を図ることも重要な選択肢です。譲渡先を既存投資家や事業シナジーのある企業に限定する、譲渡価格に下限を設ける、譲渡株数に上限を設けるなど、既存株主の懸念を緩和する条件を提示することで、承認の可能性を高めることができます。
また、譲渡のタイミングを次回資金調達後や特定のマイルストーン達成後に設定することで、会社価値への影響を最小化し、承認を得やすくすることも可能です。
4. 株主総会承認(必要な場合)
大規模な株式譲渡や定款に特別な規定がある場合、株主総会の承認が必要となることがあります。

特に支配権が移動するような大規模譲渡では、会社法上も株主総会の特別決議が必要となります。
承認が必要なケース
株主総会承認が必要となる典型的なケースは、譲渡により議決権の過半数が移動する場合です。また、定款に「重要な株式譲渡については株主総会の承認を要する」といった特別条項が設けられている場合もあります。さらに、会社法上の重要財産の譲渡に該当する場合(総資産の20%以上など)も、株主総会決議が必要となります。
スケジュールと手続き
株主総会の開催には法定の手続き期間があり、招集通知は原則として開催日の2週間前に発送する必要があります。定款により短縮することも可能ですが、最短でも1週間前となります。議題の詳細や参考書類の準備にも時間を要するため、全体として約1ヶ月の期間を見込む必要があります。
スタートアップの場合、株主数が限定的であることが多いため、事前に議決権行使書面で合意を取り付けておくことが実務的です。

特にVCは投資委員会の承認プロセスがあるため、早めの情報提供と調整が重要となります。
5. 株式譲渡契約書の締結
株式譲渡契約書は、取引条件を法的に確定させる重要な文書です。スタートアップのセカンダリー取引では、通常の株式売買契約に加えて、特有の条項を盛り込む必要があります。
基本条項の設計
譲渡対象となる株式の種類、数量、価格を明確に規定することは当然ですが、支払方法や支払期限、クロージング条件なども詳細に定める必要があります。特に価格については、クロージング時点での業績や株主構成の変動に応じて調整する条項を設けることもあります。
クロージング条件としては、取締役会・株主総会の承認取得、デューデリジェンスの完了、重要な悪影響事象(MAC: Material Adverse Change)の不発生などを規定します。また、外為法や競争法上の届出が必要な場合は、当局承認もクロージング条件に含めます。
表明保証と補償条項
表明保証は、売り手が買い手に対して一定の事実を保証するもので、違反した場合は損害賠償責任を負います。株式の適法な保有、第三者との契約による制約の不存在、インサイダー情報の不保有など、基本的な事項に加え、会社の事業継続性や知的財産権の適法性なども保証の対象となることがあります。
補償条項では、表明保証違反が発覚した場合の損害賠償について定めます。補償期間は通常1-3年(税務関係は5-7年)、補償上限は譲渡価格の10-30%程度が一般的です。また、軽微な違反を除外するため、一定の免責額(譲渡価格の1-5%)を設定することも多くあります。

大口取引では、譲渡価格の一部(10-20%程度)をエスクロー口座に留保し、補償請求に備えることもあります。
6. 決済・株主名簿変更の実行
すべての条件が整った段階で、いよいよ決済と株式の移転を実行します。この段階でのミスは取引全体を台無しにする可能性があるため、細心の注意が必要です。
同時決済の実施
資金決済と株式譲渡は同時に行うことが原則です。決済当日は、まず最終的な条件確認を行い、表明保証事項に変更がないこと、クロージング条件がすべて充足されていることを確認します。その上で、株式譲渡証書への署名・押印、資金の振込実行、株主名簿の変更手続きを順次進めます。
株券発行会社の場合は株券の引渡しも必要となりますが、多くのスタートアップは株券不発行会社となっているため、株主名簿の記載変更が株式移転の効力発生要件となります。
大口取引でのエスクロー活用
数億円を超える大型案件では、取引の安全性を高めるためにエスクロー口座を活用することがあります。買い手は事前に購入代金をエスクロー口座(信託銀行や弁護士事務所が管理)に預託し、売り手が株式譲渡手続きを完了した段階で、エスクロー機関が売り手に送金します。

この仕組みにより、「代金を支払ったのに株式が移転されない」「株式を譲渡したのに代金が支払われない」といったリスクを回避することができます。
セカンダリー取引で必要となる書類一覧
セカンダリー取引では、法的要件を満たすための必須書類から、買い手の投資判断を支援するための任意書類まで、多岐にわたる書類の準備が必要です。書類の不備は取引の遅延や中止の原因となるため、早期から体系的に準備を進めることが重要です。

以下、実務で必要となる書類を種類別に詳しく解説します。
法定必要書類
セカンダリー取引を適法に実行するためには、会社法で定められた書類を正確に作成する必要があります。
株式譲渡承認請求書は、譲渡制限付き株式を譲渡する際に必須となる書類です。譲渡する株式の種類と数量、譲渡人と譲受人の情報、譲渡予定日と価格などを記載し、会社に対して承認を求めます。実務上は、承認を得やすくするため、譲渡理由や譲受人の適格性に関する説明資料も添付することが一般的です。
株式譲渡契約書は、売買条件を確定させる最も重要な契約書です。基本的な売買条項に加え、競業避止義務、秘密保持義務、経営陣の場合は一定期間の関与継続義務など、スタートアップ特有の条項を盛り込むことが重要です。
デューデリジェンス関連書類

買い手の投資判断を支援するため、以下の資料を体系的に準備する必要があります。
財務関連では、過去3期分の財務諸表(できれば監査済み)、直近12-24ヶ月の月次試算表、キャッシュフロー計算書などが必須です。これらの数値の裏付けとなる主要取引先別の売上明細や債権債務の状況も重要な情報となります。
法務関連では、定款、株主名簿、投資契約書、株主間契約書といった基本文書に加え、重要な取引契約、雇用契約、知的財産権に関する資料なども必要です。過去の取締役会議事録も、意思決定プロセスを理解する上で重要な資料となります。
本人確認書類
マネーロンダリング防止の観点から、取引当事者の本人確認は厳格に行われます。個人の場合は運転免許証などの写真付き身分証明書に加え、発行から3ヶ月以内の住民票と印鑑証明書が必要です。法人の場合は、登記事項証明書と印鑑証明書に加え、実質的支配者(UBO)の確認資料も求められることが増えています。
スタートアップのセカンダリー手続きで注意すべき重要ポイント
ここまで基本的な手続きの流れを解説してきましたが、実際のセカンダリー取引では、スタートアップ特有の複雑な問題に直面することが少なくありません。特に契約関係の整合性、企業価値評価の妥当性、税務の最適化、買い手選定の戦略は、取引の成否を左右する重要な要素です。

以下、実務経験から得られた重要な注意点を詳しく解説します。
契約整合性の徹底チェック
スタートアップの株式には、複数の契約による制約が階層的に存在しています。これらの制約を一つでも見落とすと、取引自体が無効となったり、損害賠償請求を受けるリスクがあります。
**ROFR(Right of First Refusal:先買権)**は、既存株主に優先購入権を与える条項です。売り手が第三者への譲渡を希望する場合、まず既存株主に同じ条件での購入機会を提供する必要があり、通常30-60日の回答期限が設定されています。この手続きを省略すると、契約違反として取引が無効となる可能性があります。
**Tag-Along Rights(共売権)**は、大株主が株式を売却する際に、少数株主も同じ条件で比例的に売却に参加できる権利です。創業者が保有株式の大部分を売却する場合、VCなどの既存投資家もこの権利を行使する可能性があることを考慮する必要があります。
**Drag-Along Rights(強制売却権)**は、多数株主が会社全体の売却を決定した場合、少数株主も同じ条件での売却を強制される条項です。この条項の存在により、個別のセカンダリー取引が制限される場合もあります。
バリュエーション算定の精緻化
スタートアップの企業価値評価は、上場企業と比べて格段に難しく、買い手と売り手の間で大きな認識の差が生じやすい領域です。
SaaS企業の場合、ARR(年間経常収益)を基準とした評価が一般的で、成長率が高い企業では10-15倍、成熟期の企業では5-8倍程度が相場となっています。ただし、Rule of 40(売上成長率+利益率が40%以上)を満たしているか、Net Revenue Retention(既存顧客からの収益成長率)が120%を超えているかなど、質的な要素も評価に大きく影響します。
非上場株式であることによる流動性ディスカウントは避けられませんが、その水準は10-30%と幅があり、株主構成、Exit戦略の明確さ、市場環境などによって変動します。

また、支配権の有無による価値の差も考慮する必要があり、経営支配権を伴う株式には10-50%のプレミアムが付くこともあります。
税務最適化戦略
セカンダリー取引では多額の譲渡益が発生することが多く、税務面での最適化は取引の成否を左右する重要な要素です。
個人株主の場合、株式譲渡益は申告分離課税の対象となり、20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率が適用されます。他の株式投資で損失が出ている場合は損益通算が可能であり、過去3年以内の繰越損失も活用できます。
法人株主の場合は、実効税率約30%が適用されますが、繰越欠損金がある場合はこれと相殺することで大幅な節税が可能です。また、組織再編スキームを活用することで、課税の繰延べを図ることも検討に値します。
海外投資家への譲渡の場合、租税条約により源泉税が軽減される可能性があります。米国やシンガポールなど、日本と租税条約を締結している国の投資家への譲渡では、一定の条件を満たせば源泉税が0%となることもあります。
買い手選定の戦略的考慮事項

セカンダリー取引では、価格だけでなく、買い手の属性も重要な検討要素となります。
戦略的投資家(事業会社やCVC)は、事業シナジーを期待して高いバリュエーションを提示することが多い反面、経営への関与度が高く、競合情報の管理など慎重な対応が必要です。一方、財務的投資家(VCやPEファンド)は、純投資目的のため経営の独立性は保たれやすいものの、Exit戦略に対する期待が明確で、短期的な収益改善圧力がかかることもあります。
買い手の選定にあたっては、資金力の確認はもちろん、過去の投資実績、既存株主との相性、株主としての行動パターンなどを総合的に評価することが重要です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. セカンダリー取引の標準的な期間と費用はどの程度ですか?
取引規模や複雑さによって大きく異なりますが、小規模取引(5,000万円未満)では1.5-3ヶ月、中規模取引(5,000万円-5億円)では3-6ヶ月、大規模取引(5億円以上)では6-12ヶ月程度が標準的です。
費用面では、専門家費用として譲渡価格の2-5%程度を見込む必要があります。内訳としては、M&Aアドバイザーが1-3%(最低500万円程度)、弁護士費用が300-1,000万円、税理士費用が100-500万円程度となることが一般的です。
Q2. 株式譲渡承認が拒否されるリスクを最小化する方法は?
承認拒否の主な理由は、競合企業への譲渡懸念、株主構成バランスへの悪影響、譲渡価格の妥当性への疑義などです。これらのリスクを最小化するためには、譲受人の事業内容と競合関係を詳細に説明し、必要に応じて秘密保持条項を強化すること、譲渡後の株主構成をシミュレーションして既存株主への影響を最小化すること、第三者機関による価格査定を取得して客観性を担保することなどが有効です。
最も重要なのは、取締役会での正式な承認請求前に、各取締役と個別に面談して懸念事項を把握し、事前に解消しておくことです。
Q3. セカンダリー取引の税務処理の計算方法は?
個人株主が取得価額500万円の株式を5,000万円で譲渡した場合を例に説明します。譲渡所得は、譲渡価額5,000万円から取得価額500万円と譲渡費用(仮に200万円)を差し引いた4,300万円となります。これに20.315%の税率を適用すると、約873万円の税額となります。
他の株式投資で300万円の損失がある場合は損益通算により課税所得を4,000万円に圧縮でき、約61万円の節税効果が得られます。
Q4. 既存投資家(VC)との調整で注意すべき点は?
VCの協力を得るためには、そのファンドのライフサイクルを理解することが重要です。運用初期(1-3年目)のファンドは追加投資余力があるためセカンダリーに消極的ですが、運用後期(7-10年目)になるとExit圧力が高まり、むしろセカンダリーに積極的になります。
効果的な交渉のためには、VCも一部売却に参加できる共売提案や、売却資金の一部を会社の成長投資に充てる提案など、Win-Winの条件を提示することが重要です。
Q5. 海外投資家への譲渡時の規制は?
外為法上、AI・バイオテクノロジーなどの指定業種では、外国投資家が1%以上の株式を取得する場合、事前届出が必要です。届出から承認まで標準30日(最大4ヶ月)かかるため、スケジュールに余裕を持つ必要があります。
税務面では、租税条約を活用することで源泉税を軽減できる可能性があります。米国やシンガポールの投資家への譲渡では、一定の条件を満たせば源泉税が0%となることもあるため、事前に税理士に確認することをお勧めします。
Q6. セカンダリー専門アドバイザーの選定基準は?
優良なアドバイザーを選ぶポイントは、年間10件以上の実績があること、対象業種での専門性を有していること、法務・税務の専門家と連携した統合的なサポートが可能なこと、多様な投資家ネットワークを持っていることなどです。
手数料体系については、成功報酬型(譲渡価格の1-3%)が一般的で、着手金や最低手数料の水準も確認しておくことが重要です。

初回相談を無料で行っているアドバイザーも多いので、まずは相談してみることをお勧めします。
まとめ:成功するセカンダリー取引のポイント
スタートアップのセカンダリー取引は、単なる株式の売買を超えた複雑なプロジェクトです。成功のためには、早期から戦略を立て、最低6ヶ月前から準備を開始することが重要です。法務・税務面の制約を徹底的に確認し、既存投資家や経営陣との利害調整を丁寧に行い、複数の評価手法による客観的なバリュエーションを準備することで、スムーズな取引が可能となります。
日本のセカンダリー市場は今後も拡大が見込まれており、特にAI、ESG、ヘルスケア分野での取引が活発化すると予想されます。適切な手続きと戦略により、創業者・投資家双方にとって価値のある取引を実現することができるでしょう。
専門家のサポートを受けながら、本記事で解説した手続きとポイントを押さえることで、セカンダリー取引を成功に導くことができます。
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