【売上別・業種別】会社売却の相場は?目安・計算方法・高く売るコツまで解説
会社売却を検討する際、最初に気になるのが「自社はいくらで売れるのか」という相場感です。

前提として押さえておきたいのは、売上の金額だけで企業価値が決まるわけではないということ。
EBITDA(調整後利益)や事業の再現性・継続性など、いくつもの要素が複雑に絡んでおり、業界によっても相場は変動します。
そこで本記事では、基本的な算定ロジックから業種別・企業規模別の相場観までをまとめて解説します。
企業価値を最大化するための準備ポイントや買い手から見た魅力の伝え方など、事業承継をご検討中の方が押さえておきたいポイントを集約していますので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】売上だけでは会社の売却額は決まらない

企業の売却価値を算出する際、「年商がいくらか」という点だけに着目するのは危険です。
買い手が評価するのは売上規模ではなく、その売上からどれだけ利益を生み出しているか、そしてそれが今後も継続可能かどうかです。

たとえ10億円の売上があっても、利益が出ていなければ企業価値は低く見積もられます。
一方で、規模は小さくとも安定した利益を出している企業には、高い評価がつくこともあります。
つまり、企業の「収益性」「持続性」「再現性」が売却価値の本質です。
本章では、売上では測れない本当の企業価値に焦点を当て、なぜ経営者が収益力に注目すべきなのかを紐解いていきましょう。
売上が高くても“利益がなければ売れない”理由
売上が高い企業でも、利益が伴わなければ売却額は伸びません。
M&Aにおいては、買い手企業は現金収支や将来利益を重視するため、利益が出ていない企業にはリスクを感じやすいものです。
売上が高くても営業赤字が続いていれば、買い手は繰越損失を嫌い、売却価格は大きく下がる傾向にあります。

このようなケースでは時価純資産法やDCF法が採用されることもありますが、中小企業では実務上、価値評価に利益指標を用いるのが一般的です。
そのため、売上だけで会社が高く売れるとは限らないことをまずは十分に理解しておきましょう。
買い手は「利益・継続性・再現性」を重視している
買い手が企業を評価する際は、単純な利益水準だけでなく、利益の安定性や将来の継続性、そして経営パフォーマンスを再現できる体制が整っているかどうかにも注目します。

利益が一時的に高くとも、過去数年の推移が不安定であれば評価は下がります。
逆に、小さくとも安定した利益が3〜5年継続している企業には、業界平均よりやや高めの倍率が付くこともあります。
「実質利益」の継続性を示すことで、買い手に「安心できる」「将来価値がある」と思ってもらうことが売却のポイントです。

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売上別|会社売却の相場目安を一覧で紹介【参考表あり】

先ほどの前提を踏まえたうえで、会社売却の相場を業界別に見ていきましょう。

売却価格については、利益や業種によって大きくブレが出ます。
相場よりはるかに低い価格しかつかない場合も、逆に相場を大きく上回った評価額がつく場合もあります。
| 売上規模 | 売却相場の目安 | 特徴・前提条件 |
|---|---|---|
| 売上1億円未満 | 数百万円〜数千万円 | 赤字や負債があると評価額は低くなる 黒字なら売却可能性あり |
| 売上1〜5億円 | 1,000万円〜1億円程度 | 継続性のある黒字経営なら評価されやすく、買い手も見つかりやすい |
| 売上5〜10億円 | 数億円台の売却も現実的 | 成長性や業種次第で大きく評価が変動 DD対応が重要 |
| 売上10〜50億円 | 5億〜20億円以上 | ファンドや上場企業が買収を検討するゾーン 監査・法務体制も評価対象 |
会社売却の“ざっくり相場”はこう決まる|売上×EBITDA×業界倍率の考え方

会社の売却額は売上高によってではなく、利益と業界における評価倍率(マルチプル)によって算出されるのが一般的です。

特に中小企業のM&Aでは、営業利益や純利益ではなく、EBITDA(利払い・税金・減価償却控除前利益)を基準とした評価が主流です。
さらに、業界や事業モデルごとに“掛け率”となるマルチプルは異なります。
自社の属する業界や利益体質を踏まえたうえで、適切な評価方法をざっくりと把握しておきましょう。
会社の価値=売上ではなく、利益(EBITDA)が基準になる
M&A評価において企業価値は、売上ベースよりも利益ベース、特にEBITDA(Interest, Tax, Depreciation, Amortization除前利益)が重視されます。
EV/EBITDA倍率は企業規模や業種に応じて設定され、中小企業M&Aでは3倍〜5倍程度が一般的です(2025年時点)。

一方、上場企業においては平均13.9倍、中央値7.5倍と高めの水準で推移しており、業界による違いが明確に表れています。
ここからも分かるように、売上よりも利益=手元に残るキャッシュに着目するという視点は、M&A評価における基本なのです。
中小企業では“実質利益(調整後利益)”を使うのが一般的
中小企業では、役員チームの過大報酬やオーナーが運営する不透明な賃貸家賃等が利益に反映されているケースが多く、EBITDAをそのまま用いると過小評価されるリスクがあります。

そこで用いるのがAdjusted EBITDA(調整後利益)です。
これは税引前利益に利息・減価償却・一過性費用などを調整し、「通常の経営状態で継続的に生じる利益」に補正したものを指します。
Adjusted EBITDAを倍率に当てることで、業種・収益構造に応じた公正かつ再現性のある評価につながり、結果として企業価値の増加も図れます。
簡易シミュレーション例:売上5億円×利益10%×業界倍率4倍=2億円

解説ばかりではイメージが掴みにくいと思いますので、ここで簡易的にシミュレーションしてみましょう。
売上5億円、Adjusted EBITDA率10%(利益5000万円)、業界平均EBITDA倍率4倍の場合、企業価値(EV)は5000万円 × 4=2億円となります。
▼簡易シミュレーション
| 売上規模 | EBITDA率 | EBITDA額 | 業界倍率 | 想定企業価値(EV) |
|---|---|---|---|---|
| 5億円 | 10% | 5000万円 | 4倍 | 約2億円 |
| 3億円 | 8% | 2400万円 | 3.5倍 | 約8400万円 |
| 10億円 | 12% | 1.2億円 | 5倍 | 約6億円 |
実際の企業評価では、借入金や現預金、非事業用資産などを調整し、企業価値(EV)から純粋な株主価値(エクイティ・バリュー)を算出するのが一般的です。
【業種別】会社売却の相場はどう変わる?売上との関係を解説

業種ごとにEBITDA倍率には大きな差があります。

日本国内の中小企業M&A実績では、平均してEBITDA倍率は5〜6倍程度ですが、業種によって2~10倍以上まで幅があります。
以下の表で、それぞれ業種別の特徴と評価に影響する要因を整理しました。
| 業種 | 特徴と評価ポイント | EBITDA 倍率(目安) |
|---|---|---|
| 製造業 | 設備投資・人件費など固定費負担が重く、利益率が変動 維持コストが評価に影響 | 約4〜6倍 |
| IT(SaaS含む) | 安定した収益モデルと高い利益率 Rule of 40達成企業などは高評価 | 約8〜12倍 |
| 飲食業 | 店舗立地、ブランド、客数の安定性が価値を左右 利益率は低め | 約3〜4倍程度 |
| 専門サービス業 (士業含む) | 代表依存度が高い 顧客継続性の観点で評価が分かれる | 約5〜7倍 |
製造業:設備・人材の維持コストが評価に影響
製造業のM&Aでは、固定資産としての設備や熟練技術者の維持コストが企業価値に大きな影響を与えます。
2023年、日本国内の製造業M&A件数は前年比11%増の240件、取引総額は約8.6兆円に達し、3年連続の上昇を示しました (参照:M&A Online)。

しかし取引額が大きくても、買い手は対象企業の生産設備の稼働状況やメンテナンスの履歴、老朽具合などを詳細に確認します。
さらに、「熟練工の技術が属人的になっていないかどうか」「技能継承の仕組みが整っているか」も重要です。
上記のようなリスクが明らかにある場合、EBITDA倍率が業界平均の4〜6倍よりも低めになることもあります。
つまり、製造業の売却準備においては「財務情報+現場の実態整備」がカギとなるのです。
IT企業:利益率・SaaSモデルかどうかがカギ
IT企業、とくにサブスクリプション型のSaaS(Software as a Service)ビジネスは、M&A市場では極めて高い評価を受けています。
買い手が重視するのは、安定的な収益構造と顧客離脱率の低さ(チャーン率)の維持です。

たとえば日本のIT大手企業であるFuji Soft(富士ソフト)をめぐって、2024年11月にアメリカの2大ファンドの間で数十億ドル規模の買収競争が起きました。
その背景にあったのは、同社が保有する不動産と、システムエンジニア派遣やクラウドサービスといった継続収益を創出するIT資産でした。
▶参照:富士ソフト争奪戦、カギを握る「不動産」の評価 | 東洋経済
このように、IT企業ではSaaSモデルによる安定収益と将来的成長性が重視され、EBITDA倍率が8〜12倍と他業種より高めに設定される傾向があります。
ただし主力エンジニアへの依存や広告モデル中心の収益構造では、信頼性に疑問符がつき、評価が抑えられるケースもあります。
飲食業:売上だけでなく立地・ブランド力も評価される
飲食業は売上や利益に加えて、店舗の立地条件やブランド力、顧客の固定率、標準化されたオペレーション体制などが評価を左右します。

最近の事例では、今年6月にヨシックスフーズが株式会社甲羅の飲食事業「海老どて食堂」を事業譲渡で買収したケースがあります。
甲羅の店舗が持つブランド力と既存顧客基盤が、買収の際に高く評価されました。
▶参照:ヨシックス:連結子会社の事業譲受に関するお知らせ | 日本経済新聞
飲食業界では、利益率が低くとも立地と認知度が強ければEBITDA倍率が3〜4倍で評価されることがあります。
一方で、オーナーの技術や接客に依存する店舗は事業継続の再現性に疑義が生じるため、評価が下がることもしばしば。複数店舗展開や本部体制が整っている場合、経営の標準化が進み、交渉での評価アップにつながります。
専門サービス業:代表依存度が高いと売却額が下がる
専門サービス業(士業、コンサル、BPO、技術サービスなど)は、他業種と異なり代表者の知見・人脈・スキルに依存する傾向が強く、評価額を左右する重大要因となります。
譲渡・買収が同地域内の事務所間で頻繁に行われるケースもあり、継承体制の整備状況は交渉価格に直結していると言っても過言ではありません。

利益そのものよりも、「代表交代後も同水準のサービス提供体制が維持できるか」が判断材料となり、引き継ぎリスクを懸念されると評価倍率が3倍以下に抑えられることもあります。
重要なのは、顧客管理の共有化、スタッフ育成やマニュアル整備、業務体制の構築などが順調に進んでいるかどうかです。
事務所経営の継続可能性と属人性の排除こそ、専門サービス業の売却前に最優先で整備すべき経営基盤といえるでしょう。
売上規模別|会社売却前にやるべき準備と対策

売却を成功させるには、売上規模に応じた準備と対策が欠かせません。
本章では、売上額が小さい企業から成長企業まで、売却前に取り組むべきステップを企業規模別にまとめました。
売上が小さい会社:「財務整理」と「事業の継続性」がカギ
売上規模が小さい企業では、買い手の関心が「どれだけ安定した事業を引き継げるか」に集まります。
利益の水準もさることながら、それがどのように創出されているか、どのような業務体制で維持されているかといった、事業の“中身”が評価の中心です。

特に中小企業の場合、帳簿上の利益ではなく、実質的なキャッシュフローや経営の健全性に基づいて価値が判断されることが一般的です。
したがって、事業の継続性を裏付ける体制整備と、キャッシュベースの収益構造を明確にすることが最優先事項と言えます。
決算書の整備とキャッシュフローの健全化
売上が小さい企業の場合、税理士任せで会計処理が雑になっているケースも多く、役員報酬や交際費の扱いが恣意的で、実態がつかみにくいと判断されてしまいます。

売上と利益の整合性が取れていなかったり、貸借対照表に不明瞭な資産が計上されていたりすると、デューデリジェンス段階で指摘を受けるリスクが高まります。
加えて、営業キャッシュフローのマイナスが継続している場合は「将来的に持続可能なビジネスか」という懸念を抱かれるため、日常的な資金繰りの見直しも不可欠です。
不要資産・不採算事業の整理
企業価値を高めるうえで、買い手から敬遠されやすいのが「収益に貢献していない資産」や「慢性的に赤字を出している事業部門」です。
売上規模の小さい企業においては、事業と関係のない遊休不動産やオーナーの私物に近い社用車などが計上されている場合があり、不要と見なされる資産が最終的な売却価格を押し下げる要因となります。
不採算事業についても同様で、改善の見込みがない赤字部門は買い手にとってはリスク資産と見なされるため、事前に撤退や分離を検討しましょう。

整理をすることで事業の「見える化」にもつながり、コア事業の収益性をより際立たせる効果もあります。
買収後に負債となり得るリスクを排除するという観点からも、必要なプロセスです。
売却前に資産と事業の棚卸しを行い、「シンプルで健全な会社」というイメージを持ってもらえるようにしましょう。
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代表依存の業務をマニュアル化・引き継ぎ体制を構築
小規模企業によく見られる構造として、「代表者の経営ノウハウやカリスマ性に依存している」という状況がありますが、正直これはマイナス要素です。

営業・取引先対応・経理処理・現場マネジメントなど、あらゆる業務が社長個人に集中していると、買い手には「この人がいなくなったら会社が機能しないのでは?」と懸念されてしまいます。
M&A交渉の場においては、実際に「引き継ぎ体制が不明確」という理由で破談になった事例も存在します。
こうした事態を避けるには、各業務のフローを文書化し、誰でも再現可能な体制を整備する必要があります。
後継者や管理職候補がすでに決まっているのであれば、実際の業務を段階的に移管し、代表者抜きでも回る体制を実証することをおすすめします。
売上が大きい会社:「法務・労務・契約面のリスク可視化」が重要
売上規模が大きい企業では、ビジネスのスケールに比例して法務・労務・契約周りのリスクも複雑化します。
利益面ではクリアできている以上、買い手にとっては「その利益が安定的かつ法的にリスクの少ない状態で得られているか」が評価の焦点となります。

中でも重要なのが、雇用契約や重要取引契約の内容が法令に則っているか、未払い残業や不当な業務委託契約などがないかといった、労務・法務リスクの点検です。
加えて、株主構成や議決権比率、過去の株主間契約など、ガバナンスに関する整備が不十分だと取引の障害になり得ます。
このように、売上が大きい企業ほど、企業内部の目に見えないリスクが取引の決定打になります。
売却準備の初期段階から専門家に参加してもらい、是正すべき点を明確化しておくことがポイントです。
雇用契約・取引契約の確認と整備
・従業員との契約において就業規則が整備されていない
・雇用形態が曖昧なまま
・残業代が未払いになっている
といった状況は、買い手企業の企業価値評価においてマイナス要因となります。

実際、未払い残業代は簿外債務という扱いになり、M&A交渉で価格交渉の際の減額要素になる例も少なくありません。
さらに、経済産業省が公開しているM&Aに関するガイドラインでも、労務管理状況や契約の整備がM&A前提条件とされており、労務DD(デューデリジェンス)による確認が求められています。
雇用契約や主要取引契約を整理し、不備や曖昧な部分が無いクリアな体制を整えておくことで、買い手候補との交渉をスムーズに進められます。
株主構成や議事録、各種許認可の整理
株主構成が複雑であったり、取締役会・株主総会の正式な議事録が欠如している場合、買い手側から「取引後に訴訟や紛争リスクがある」と判断され、評価額が厳しくなることがあります。

また、建設業や医療など許認可が必要な業種の場合、許認可の名義変更や保持条件のクリア要件がそのままM&Aの条件として影響することも。
リスクを未然に排除するためには、事前に株主一覧を整備したり、許認可の有効性を確認しておきましょう。
労務リスク(未払い残業、規程整備等)の点検
従業員数の多い企業で特に重要なのが、労務関連リスクの可視化です。
未払い残業代、就業規則の不備、社会保険加入漏れなどがあると、M&Aの段階で偶発債務として買い手に懸念され、売却価格が大きく削られるケースがあります。
事前に就業規則を整備し、未払いの残業代がある場合はただちに適正支払いを済ませるようにしましょう。

厚生労働省が公開しているモデル就業規則を参照して、自社の就業規則にリスクが潜んでいないか、今一度チェックしてみるのも良いかもしれませんね。
売上成長中の会社:「売却タイミング」と「将来性」がポイント
成長フェーズにある企業は、現在の業績よりも「これからどこまで伸びるか」が買い手の最大の関心事となります。
そのため、売却額も将来の利益やマーケットの可能性を織り込んだ“先行評価”となる傾向があります。

とはいえ成長中の企業はリスクも伴うため、将来性を裏づける合理的な情報をどれだけ整備できるかが、評価額を左右するポイントです。
事業計画書、KPIの実績推移、ユーザー数の成長率、資金調達履歴など、過去から未来にかけて一貫した成長ストーリーを可視化することで、買い手にとっての投資魅力が高まります。
いわゆる「伸びしろ」を可視化し、説得力のある将来像を提示できるかどうかが、成長企業における売却成功の分岐点になるということです。
事業計画書・KPI推移・資金調達実績の可視化
事業計画書におけるKPI(ユーザー数、継続率、利益率など)の推移と資金調達実績は、成長基盤の証明となり、M&A評価額に直結します。
過去の資金調達実績やKPIの成長がM&A価格の根拠として重視されている事例もあり、成長ストーリーを可視化することが求められているのです。
いつ売るべきかの判断基準(利益率/競争優位性など)
利益率が地に足をついた水準に達しており、競争優位性が明確な時期に売却を検討することで、評価額の最大化が可能になります。

最近では、成長軌道にある企業が利益ピーク期や競争優位の確立期にM&Aを仕掛け、高い価格での取引に成功した事例が数多く挙がっています。
また金融庁が2025年6月に公開した報告書にも、中小企業向け事業性融資や企業価値担保権制度整備が進む中で、事業の成長性を基に計画的に出口を設計する重要性が示されています。
▶参照:金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート | 金融庁
このような動向を踏まえると、利益構造と業界内でのポジションを客観的に把握し、「今が最適な売却タイミングか」を判断する指標を持つことがきわめて重要と言えるでしょう。
買い手候補に刺さる“成長ストーリー”を整理
成長段階にある企業を売却する際、数字だけでなく「なぜ今後も成長し続けるのか」「どこに競争優位性があるのか」をストーリーとしてまとめることが極めて重要です。
技術的な差別化やニッチ市場での強固なポジション、再現性のある収益構造などが明示できれば、買い手は将来価値に納得しやすく、交渉でも優位に立つことが可能です。

M&Aを活用した事業戦略に成功した企業が、実際にどのようなストーリーを構築していたのか、書籍やYouTubeなどで調べてみるのもおすすめですよ。
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会社売却の相場に関してよくある質問

最後に、売却を検討されている経営者の方から多く寄せられる質問について回答をまとめました。
Q. 売上が大きければ高く売れますか?

売上が大きいからといって、必ずしも高く売れるとは限りません。
企業価値は売上よりもAdjusted EBITDA(調整後利益)を基準に評価され、利益率や継続性が重視されます。
たとえば年商50億円でも利益が薄ければ、相場よりも低い倍率(3〜4倍)が適用されるケースもあります。
売上規模単独ではなく将来の収益性、つまり利益やキャッシュフローの質に基づいて意思決定をしている買い手が多いのが実情です。
Q. 売上が伸びている途中でも売却できますか?

はい、売上成長中でも売却は可能です。
ただし、「成長が持続可能か」「利益に転換されるか」を示す証拠資料を揃えているかどうかがカギとなります。
KPIの推移や資金調達の実績、事業計画書などを整備し、買い手に将来利益の根拠を示す必要があります。
▶参照:【M&Aに関する意識調査】~会社を売却する意向のある経営者255人が回答~|PR TIMES
つまり、成長戦略をしっかりとアピールするための準備次第で、高評価を得られる可能性が高くなるということです。
Q. 赤字や利益が少ない会社でも売却できますか?

黒字でなくとも売却できるケースはあります。
重要なのは、赤字の背景に合理性があるか、成長見込み・ノウハウ・資産性・ブランド性など買い手にとって価値ある要素があるかどうかです
たとえ赤字続きであっても、成長投資中のフェーズにある場合や資産価値のある不動産を保有している場合などは、買い手が将来性を見込んで契約するケースもあります。
Q. 一部の事業だけを売却することもできますか?

一部事業の売却(事業譲渡)も可能です。
企業全体を手放さずに、不要な事業や非中核事業だけを切り離す戦略として用いられています。
事業譲渡では、譲渡対象の資産や負債を選択できるため、必要な資産だけを買い手に提供できるというメリットがあります。
一方で税務上の扱いや対価の受け手など、通常の売却とは異なる部分が多いため、準備段階でスキームの整理が必要です。
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Q. 売上が特定の顧客に偏っていても売却できますか?

買い手が契約喪失や将来的なキャッシュフローを懸念し、リスクがあるとして評価が下がる可能性があることは念頭に置きましょう。
それでも売却を成功させるには、顧客分散の状況や主要契約の継続性、契約形態(長期契約かどうか)などを整理して示すことが重要です。
顧客の構造を明確にし、リスク対応策を整えたうえで、買い手に安心してもらえるまで丁寧に説明しましょう。
Q. 少しでも高く会社を売るためにはどうすればいいですか?

高く売却するには、利益が出ていることはもちろん、継続的に稼げる仕組みを整えることで評価を上げる必要があります。
具体的には以下のようなポイントを見直すとよいでしょう。
- 利益率の改善とコスト構造の見直し
⇒利益が出やすい体質にすることで、評価倍率が上がる傾向がある - 属人性の排除
⇒経営者や特定社員に依存していると、買い手は継続性に不安を持つ。業務マニュアル化や権限移譲などが有効。 - バリュエーション(企業価値)を客観的に把握する
⇒現時点の企業価値を知ることで、価格交渉や準備の方向性が明確に。