【2025年版】ベトナムM&Aの進め方と成功のポイント|手続き・リスク・税制まで徹底解説

ベトナムでのM&Aを検討しているけど、「どんな手続きが必要?」「日本と何が違う?」「リスクや税制面は大丈夫?」と不安や疑問を感じていませんか?
ベトナムは高い経済成長と若い労働力を背景に、日本企業からのM&Aニーズが年々高まっています。ただし、制度や文化の違い、現地との信頼関係構築など、注意すべきポイントも少なくありません。
この記事では、ベトナムM&Aの基本的な進め方から、気をつけたいリスク、手続きの流れ、税制の概要までを網羅的に解説します。
「初めてでも失敗しない」ための視点でまとめていますので、これからベトナム進出や買収を考えている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

下記の動画では、日本企業の東南アジア進出について解説されています。
【結論】ベトナムのM&Aは今がチャンス|進出・投資戦略として有望

ベトナムでのM&Aは、今まさに“チャンスのタイミング”だと言えます。その理由は、経済成長率の高さに加え、人口構成や外資受け入れの動きなど、複数のポジティブな要素が重なっているからです。

特に以下の点が、日本企業にとって魅力的なポイントです。
・高成長市場
GDP成長率は毎年6〜7%台で推移。中間層の拡大も著しい
・若年人口が多い
平均年齢は約32歳。労働力の安定供給と将来の内需成長が期待できる
・製造業だけでなくIT・教育・医療など非製造分野も注目され始めている
・日越の関係強化
EPAや投資協定の存在で、日本企業への信頼感がある
また、コロナ禍を経て、ベトナム企業側も「事業拡大のために資本を受け入れたい」「後継者問題をM&Aで解決したい」といったニーズが高まっています。
こうした背景から、「成長市場への進出」「既存事業の現地化」「コスト競争力の強化」といった目的でのM&Aが現実的な戦略として注目されています。
今後も競争が激しくなる前に、具体的な検討を始める価値は十分にあるでしょう。
なぜ今、ベトナムのM&Aが注目されているのか?

日本企業の間で、ベトナムM&Aへの関心が急速に高まっています。背景には、経済成長・人口動態・地政学的なリスク分散など、複数の要因があります。
ここでは、注目される理由を3つに分けて解説します。
若年人口と高い経済成長率で今後の市場拡大が見込める
ベトナムは東南アジアの中でも特に若年層が多い国で、平均年齢はおよそ32歳。将来的な内需の拡大が期待できる構造を持っています。
また、近年のGDP成長率は6〜7%前後と非常に高く、特に都市部では中間所得層の拡大も進んでいます。
このような人口ボーナスと成長性を背景に、日系企業が「将来のマーケット」を見据えて現地企業をM&Aで取り込む動きが加速しています。
中国依存リスクを避ける「チャイナ+1」の進出先として有望視されている
米中対立や中国の人件費高騰を受けて、サプライチェーンの分散がグローバルな潮流となっています。

その中で注目されているのが「チャイナ+1」という考え方。中国に次ぐ製造拠点・物流拠点をどこに置くかが企業の重要な戦略課題です。
ベトナムは、地理的に中国に近く、労働コストも割安、かつ政治的に安定している点が評価され、多くの製造業・インフラ系企業にとって魅力的な進出先となっています。現地企業の買収によって、生産・物流ネットワークを効率的に構築する事例も増えています。
IT・製造・物流など成長産業が多く投資先としての魅力が高い
近年のベトナムでは、伝統的な製造業だけでなく、IT・EC・教育・物流など新興産業の成長が著しく、スタートアップの数も年々増加しています。

特に以下の業種は、日系企業の買収・資本提携が活発です。
・IT・システム開発
オフショア開発企業のM&Aが増加
・食品・日用品製造
現地ブランドの買収による展開
・物流・倉庫業
都市部・工業団地周辺の需要拡大
・教育・医療
中間層拡大に伴い民間ニーズが増加
投資先の選択肢が広がっている今は、成長性と戦略的親和性を両立したM&Aが実現しやすいタイミングと言えるでしょう。
ベトナムM&Aの代表的なスキームと特徴

ベトナムでのM&Aは、日本と同様に複数のスキーム(取引形態)から選ぶことができます。
目的やリスク許容度、現地企業との関係性によって最適な手法は異なりますが、よく使われるのは次の3パターンです。

株式譲渡|経営権の取得に向いた一般的な手法
最もスタンダードなのが、株式譲渡です。相手企業の株式を一部または全部取得し、経営権や議決権を手に入れることが目的になります。
株式譲渡の特徴
・企業全体の買収に向いている
・ブランド・従業員・契約などを一括で承継できる
・デューデリジェンスが重要(簿外債務・訴訟リスクなど)
特に、ベトナムでは非上場企業が大半を占めており、少数株主の同意や登記の手間など、実務面で時間がかかることもあります。
資産譲渡|リスクの切り分けがしやすい限定的取得手法
次によく使われるのが、資産譲渡です。会社そのものではなく、工場・設備・在庫・事業部門など一部の資産だけを取得する方法です。
事業譲渡の特徴
・不採算部門を避けて、優良資産のみ取得できる
・過去の債務や訴訟などを回避しやすい
・対象資産の特定や契約移転に手間がかかることも
「とりあえず収益部門だけ取り込みたい」「余計なリスクは避けたい」というケースでは、資産譲渡が有効な選択肢になります。
出資・合弁|段階的に関係を深める柔軟な進出手段
いきなり買収するのではなく、まずは出資や合弁という形で関係を築く企業も多いです。
出資や合弁の特徴
・比較的少ないリスクで現地市場に参入できる
・相手企業との信頼関係を深めながら様子を見られる
・出資比率や意思決定権に注意が必要
特に文化や経営スタイルに違いがあるベトナムでは、「まずは提携から始める」というステップを踏むことで、信頼構築・スムーズな統合につながるケースも増えています。
どのスキームを選ぶかによって、進め方や必要な法的対応も大きく変わってきます。事前の目的整理と、現地の実情に即した戦略設計がカギになります。
ベトナムM&Aの主なメリットとは?日本企業が進出する3つの理由

日本企業がベトナムでのM&Aを検討する背景には、明確な“勝ち筋”があります。
コスト面・人材面・成長性など、戦略的に見てもメリットが多いため、製造業だけでなく、IT・小売・サービス業まで幅広い業種で注目されています。
低コストで成長市場にアクセスできる
まず大きな魅力は、圧倒的なコスト競争力です。ベトナムは日本と比べて、人件費・地代・税制面のコストが大きく抑えられる上に、消費市場としての成長余地も大きいのが特長です。

具体的なメリットとしては、以下の通りです。
・製造業なら、低コストで現地工場やラインを獲得できる
・サービス業なら、現地のブランドや店舗網を活用してスピード展開が可能
・税制優遇(一定条件下で法人税免除など)も進出を後押しできる
このように、投資額に対するリターンの期待値が高いことが、日本国内での成長が鈍化している企業にとって魅力的な要素となっています。
労働力・拠点・顧客基盤を一括で獲得できる
M&Aによる進出では、ゼロからの立ち上げに比べてスピードと効率が段違いです。既存の企業を買収することで、すでに構築された人材・拠点・顧客ネットワークをそのまま引き継ぐことができます。

具体的なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・採用や人材育成にかかる時間・コストを削減できる
・法人設立や行政手続きの手間を省ける
・既存顧客を活用して早期の売上化が可能
新興国への展開では「軌道に乗るまでに時間がかかる」のがネックですが、M&Aならすでに走っている車に乗るイメージでスタートできます。
中長期的な海外収益基盤を確保できる
日本国内市場が縮小傾向にある中で、中長期的な成長を見据えた“第二の収益柱”づくりとして、ベトナム進出を選ぶ企業も増えています。

特に次のようなケースでM&Aが活用されています。
・海外売上比率を高めて経営を安定化したい
・為替や国内景気に依存しないリスク分散をしたい
・海外子会社を“育成型”で育ててグループ全体を成長させたい
M&Aによって現地法人を傘下に持つことで、海外収益が定常的に入ってくる体制を築くことができます。これは、持続的な成長戦略にとって大きなアドバンテージとなります。
ベトナムM&Aの主なリスク①|制度・商習慣・会計の違いに要注意


ベトナムでM&Aを行う際、日本とは異なる制度や慣習に直面することが少なくありません。
「何となく東南アジアだから親しみやすいだろう」と軽く考えると、交渉や統合作業で大きなギャップを感じることになります。
ここでは、特に注意したい代表的なリスクを4つ紹介します。
商習慣や契約文化の違いで交渉が難航する
ベトナムでは、「契約よりも信頼関係」が重視される傾向があり、日本のように書面ベースですべてを細かく詰める文化とは大きく異なります。

特に以下のようなポイントを注意しましょう。
・契約書よりも口頭の約束が優先される場面もある
・クロージング後に合意内容が解釈違いで揉めることも
・一族経営の会社では、経営判断に家族の意向が影響するケースも多い
文化的背景を理解したうえで、現地パートナーと信頼を築きながら進める姿勢が重要です。
名義貸しや口座開設など制度面で障壁がある
ベトナムでは、一部の業種や土地所有に関して外資規制が存在し、「ベトナム人の名義を借りて企業を運営する」といったグレーな手法が過去には使われていました。

現在は制度整備が進んできたものの、以下のようなハードルは残っています。
・外資企業は不動産を直接保有できないケースがある
・銀行口座開設や登記で煩雑な手続きが必要
・出資比率によっては追加認可が必要になることも
事前に規制業種の確認や法務アドバイザーの活用が必須です。

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会計・税務の不透明さでリスクを見落とす可能性
ベトナム企業では、会計処理のばらつきや現金管理の曖昧さが依然として見受けられます。特に非公開企業の場合、「財務諸表は整っていても、実態と合っていない」というケースもあります。

実際に起こりがちな問題を以下にまとめました。
・売上の一部が現金で処理され、帳簿に反映されていない
・仕入れ先との取引に未記帳や水増しがある
・税務上の繰延処理や未認識債務の存在
デューデリジェンスで徹底的に洗い出すことが重要ですが、現地の専門家の協力がないと実態把握は困難です。
移転価格など税務処理で想定外の課税を受ける
ベトナムの税務当局は、外資系企業に対して移転価格課税のチェックを強化しています。日本本社との取引価格に対して「不当に安い(または高い)」と判断されると、追加で課税されるリスクがあります。

具体的に以下のような処理には、注意が必要です。
・親会社へのロイヤリティ支払い
・本社からの人材派遣費・管理手数料の請求
・グループ内での部材仕入れ価格設定
事前に「移転価格文書の作成」を進めておく、または税理士と連携して正当性のある価格設定を残すことが、不要なトラブルを防ぐポイントです。
制度・商習慣・税務の違いは、ベトナムM&Aにおいて“落とし穴”になりがちな部分です。形式だけでなく、実務レベルでどこまで対策を取れるかが成功のカギを握ります。
ベトナムM&Aの主なリスク②|PMIや経営体制の違いによる失敗

ベトナムでのM&Aは「買ったら終わり」ではありません。むしろ、クロージング後のPMI(統合プロセス)こそが、成功するかどうかの分かれ道になります。
ここでは、統合段階で起こりやすいトラブルや経営スタイルの違いからくる注意点を紹介します。
PMIで文化・人材の統合に失敗する
買収後の最も大きなハードルが、人と文化の統合(PMI)です。書面上は買収完了でも、現場レベルでの温度差や反発が放置されると、組織が機能しなくなるケースもあります。

PMIにおけるよくある失敗例を以下にまとめました。
・日本側が細かく管理しすぎて現地社員の士気が低下
・“指示待ち文化”と“柔軟な現場判断”の衝突
・M&Aを「吸収」ではなく「敵対」と受け取られる
PMIの初期段階では、現地責任者との信頼関係づくりとボトムアップを意識した巻き込みが成功のカギです。
属人的な経営や人材流動性の高さに注意
ベトナムの中小企業では、経営が創業者や幹部に大きく依存しているケースが少なくありません。買収後にキーマンが離脱すると、事業そのものが立ちゆかなくなることもあります。
また、ベトナムは若年層の多い労働市場で、転職への心理的ハードルが低い傾向にあります。

トラブルを避けるために以下のようなポイントは、事前に確認しておきましょう。
・創業者が「退任後も協力してくれるか」
・幹部人材がどれだけ定着するかの見通し
・従業員に対するインセンティブ制度の設計有無
M&A前から「人材の継続確保」の視点を持ち、リテンション施策(報酬・地位・成長機会)を準備しておくことが求められます。
文化・経営スタイルの違いが摩擦を生む
日本企業とベトナム企業では、価値観や仕事の進め方に大きなギャップがあります。これを理解せずに一方的に日本式を押し付けると、現地社員の不満・反発・離職につながることも。
【主な文化・経営スタイルの違い】
| 項目 | 日本企業 | ベトナム企業 |
|---|---|---|
| 意思決定 | 合意形成重視・慎重 | スピード重視・柔軟 |
| コミュニケーション | 曖昧な表現・空気を読む | 率直で明確な指示を好む |
| 組織文化 | 年功序列・役職重視 | 実力主義・若手の起用も多い |
「違いを埋める」のではなく、「違いを前提にすり合わせる」姿勢が、長期的な信頼と成果につながります。
ベトナムM&Aでは、買収後のPMIフェーズが成否を大きく左右します。
成功のカギは、“ローカルの強みを活かしながら、日本企業としての価値をどう融合させるか”にあります。短期目線ではなく、中長期視点での統合設計が重要です。
ベトナムM&Aを検討する際の相談先とは?

ベトナムでM&Aを進めるには、多くの専門知識と現地とのネットワークが必要です。自社だけで全てを対応するのは難しいため、信頼できる外部パートナーとの連携が不可欠です。
ここでは、目的別に代表的な相談先を紹介します。

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日系のM&A仲介会社|現地案件の紹介や交渉サポートに強い
M&Aを具体的に進める際には、仲介会社の力が非常に大きな助けになります。特に、ベトナム市場に強い日系のM&A仲介会社であれば、日本企業の視点と現地事情の両方を理解して対応してくれます。

M&A仲介会社からは、以下のような支援を受けられます。
・現地企業の売却案件紹介(非公開含む)
・バリュエーション(企業価値評価)
・交渉・契約書作成のサポート
・DD(デューデリジェンス)やPMI支援
「ベトナムM&Aに強い仲介会社を選ぶ」ことは、成功への第一歩と言っても過言ではありません。
日系・現地コンサル会社|市場調査や戦略設計を支援
M&Aを実行する前に、「そもそもベトナム市場に自社が合うのか?」を確認する段階では、戦略系・業界特化型のコンサル会社の活用が有効です。

コンサル会社からは、以下のような支援を受けられます。
・ベトナム市場の調査・競合分析
・自社に合った業界・地域の選定
・M&A後の成長戦略立案(マーケティング・販路構築)
日系コンサルであれば本社との連携がしやすく、戦略→実行フェーズまで一貫サポートしてくれるケースもあります。
法律事務所・会計事務所|契約・法規制・税務に対応
実務面では、法務・会計・税務のプロフェッショナルのサポートが不可欠です。特にベトナムでは、制度の運用が日本とは異なるため、現地事情に詳しい事務所と組むことが重要です。

法律事務所や会計事務所からは、以下のような支援を受けられます。
・契約書(売買契約・株主契約など)の作成・レビュー
・外資規制・認可手続きの対応
・税務リスクの整理と対策(移転価格・のれん処理など)
・会計監査や財務デューデリジェンスの実施
日系大手の弁護士・会計士が提携する現地法人を活用すれば、言語・文化面のギャップもカバーできます。
JETRO・JICAなど公的機関|無料情報・支援制度の提供が充実
M&Aや海外進出の初期段階では、JETROやJICAなどの公的機関のサポートも心強い存在です。無料で活用できる資料・セミナー・マッチング支援などが充実しており、リスクの少ない情報収集が可能です。
【代表的な公的機関】
| 機関名 | 主なサポート内容 |
|---|---|
| JETRO(日本貿易振興機構) | ベトナム市場情報、進出事例、マッチング支援など |
| JICA(国際協力機構) | インフラ・公共分野での連携や投資支援プロジェクト |
| 中小企業基盤整備機構 | 中小企業向けの海外展開支援メニュー(補助金等) |
情報収集〜パートナー選定まで、早めに複数のルートをあたるのがおすすめです。最適な専門家と連携しながら進めることで、ベトナムM&Aの成功確率は格段に高まります。
ベトナムM&Aを検討している方は「Camphor Tree」にご相談ください
弊社Camphor Treeでは、弁護士や公認会計士、戦略コンサルタントなどの専門家チームを擁し、企業の買収をご検討の経営者様に向けて戦略的なM&Aサポートをお届けしています。

スタートアップに特化したM&Aアドバイザリーサービスをはじめ、資本政策や資金調達支援など幅広いサービスを提供します。弁護士主導による高度なリーガル対応と、公認会計士・税理士・戦略コンサルタントが連携するワンストップ支援体制により、成長戦略からEXIT、セカンダリー取引まで一貫したサポートを実現します。
豊富な投資家・CVCネットワークを活かし、企業と資本を最適につなぐことで、スタートアップの持続的な成長とイノベーションの加速を支援しています。
買主企業様に対しては着手金・月額報酬無料の成功報酬制を採用しているため、確度の低い案件へのコスト負担を回避していただけるのも強みです。

さらに、弁護士や公認会計士などが財務面でのリスクをしっかりと検証するため、M&A取引に必要な各種書式や契約書の準備も円滑に進めていただけます。
この他にも、以下のようにさまざまなご依頼を承っておりますので、まずは無料相談にてお気軽にご相談ください。
提供サービス内容
スタートアップ向けサービス
・M&Aによる成長戦略・エグジット支援
・セカンダリー取引支援
・資本政策支援
・資金調達支援
事業会社・CVC向けサービス
・M&Aアドバイザリー
・セカンダリー取引支援
VC向けサービス
・セカンダリー取引支援
・M&Aアドバイザリー
ベトナムM&Aに関してよくある質問

Q. ベトナムで外資企業が買収できない業種はありますか?
はい、一部の業種には外資規制が存在します。たとえば、不動産取引・新聞出版・放送・一部の農林水産業などは、外資の出資制限や禁止が設けられています。

具体的には、以下のような制限を受ける可能性があります。
・外資が51%以上を保有できない業種
・ベトナム人との合弁が義務付けられている業種
・外資参入自体が不可な業種(国家安全保障に関わるもの等)
事前に「ネガティブリスト(禁止業種)」を確認し、専門家にチェックしてもらうのが安全です。
Q. 現地企業の財務情報やオーナー情報はどの程度開示されますか?
基本的に非上場企業が多いため、情報開示は限定的です。財務諸表や登記情報などは取得可能ですが、正確性や網羅性にはばらつきがあります。

情報の正確性や網羅性のばらつきによって、以下のようなケースもあるので、注意しましょう。
・財務は外部監査されていない場合が多い
・実質的支配者(UBO)の情報が不透明なケースも
・デューデリジェンスで初めて明らかになる項目もある
信頼性のある情報を得るには、現地会計士や法律事務所と連携したDD(調査)が重要です。
Q. 買収後に現地経営陣や従業員は残りますか?
ケースバイケースですが、多くの場合は一定期間残る契約を結びます。特に創業者や幹部社員のノウハウ・人脈は貴重なため、「譲渡後も〇年間は顧問として在籍」といった取り決めをするのが一般的です。

現地経営陣や従業員に対しては、以下のような対応することが一般的です。
・キーマンにはリテンションボーナス(残留報酬)を支給
・従業員への条件維持・待遇保証を交渉の中で明示
・PMI(統合)段階でのコミュニケーションが鍵になる
早期の離脱リスクを防ぐためには、「信頼関係の構築と報酬設計」が欠かせません。
Q. ベトナムM&Aの平均的な期間や手続きの流れは?
案件の規模やスキームにもよりますが、平均で6ヶ月〜12ヶ月程度が目安です。制度上の手続きや文化的なやり取りで、日本国内のM&Aよりやや時間がかかる傾向にあります。

ベトナムM&Aの大まかな流れは、以下の通りです。
1.ターゲット企業の選定・打診
2.基本合意(LOI)の締結
3.デューデリジェンス(財務・法務・税務調査)
4.最終契約書(SPA)の締結
5.クロージング(引渡し)・PMIの開始
途中で認可や登記の行政手続きに時間を要することもあるため、余裕を持ったスケジューリングが重要です。
Q. 現地に行かずにM&Aを進めることはできますか?
可能ではありますが、一度も現地に訪れずに進めるのはおすすめしません。オンラインで情報交換や交渉はできますが、現場確認・信頼関係構築・法的手続きの観点から、最低でも一度は訪問する企業がほとんどです。

現地を訪問する目的は、主に以下の通りです。
・対象企業の実態(工場・オフィス・従業員)を確認
・オーナーや経営陣との直接対話で信頼構築
・ローカル法務・行政手続きのための署名・面談
M&Aは「人と人との信頼」で成り立つ取引なので、デジタル完結には限界があるという前提で進めると良いでしょう。
Q. ベトナムM&Aで特に多いトラブルは何ですか?
ベトナムM&Aでは、日本国内とは異なる環境・慣習があるため、特有のトラブルが起こりやすいのが実情です。

以下は、実務で特に多く見られる代表的なトラブル例です。
・外資規制や制度への理解不足による認可の遅れ
・現地マネジメント層や従業員との信頼関係の構築に時間がかかること
・財務・税務の透明性不足から、想定外の負債や課税が後から発覚する
特に多いのが、「事前に合意した内容と、クロージング後の運用にギャップが生じる」というケースです。これは、文化・商習慣の違いや、契約理解のズレに起因することが多いため、契約書の明確化と現地との丁寧なすり合わせが欠かせません。
また、買収対象が“名義上は他人の所有”だったというような法務的なリスクも一部で報告されており、しっかりとしたデューデリジェンスと現地弁護士の活用がトラブル回避のカギになります。