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M&A全般

M&Aが増加している5つの理由とは?今後さらに増加すると考えられる業種も考察!

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近年、企業のM&Aが増加傾向にあるというニュースを耳にする機会が増えていませんか?

成長戦略の一環として、あるいは事業承継の手段として、M&Aは今やきわめて有効な選択肢とされています。

しかし、「M&Aが増えているのはなんとなくわかるけど、具体的に何が起こっているのか?」といった疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、M&A増加の背景にある5つの主要な要因を徹底解説します。

建設業や製造業など業界別の動向も分析し、M&A増加が各業界に与える影響についても考察していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

M&Aが増加している5つの理由

M&Aが増加している5つの理由

M&Aが増加している背景には以下のように、後継者不足の深刻化、企業の成長戦略、DX推進、海外進出、支援制度の拡充などが影響しています。

特に中小企業では、廃業を避ける手段としてM&Aを選択する企業が増えているのが特徴です。

M&Aが増加している理由を説明した画像

それぞれどのような背景があるのか、詳しく掘り下げてみましょう。

1.少子高齢化と後継者不足

昨今では少子高齢化の深刻化により、地方を中心として多くの企業が後継者不足に悩まされています。

特に中小企業においては、創業者の高齢化に伴い、事業承継が大きな課題となっているのが現状です。

 

以下は東京商工リサーチが2021年に実施した休廃業・解散企業の動向調査のなかで、代表者年齢の構成比を年ごとにまとめたものです。

中小企業庁 休廃業・解散企業の損益別構成比 
引用:中小企業庁 休廃業・解散企業の損益別構成比 

こちらを見ると、2014年~2021年までの8年間で事業代表者の高齢化が年々進んでおり、おそらく2022~2024年も後継者不足に悩まされていることが見て取れます。

創業者やオーナーが引退を考えるタイミングで、後任を任せられる年代の従業員や家族がいないという状況になっているのでしょう。

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特に建設業や製造業、長年続いてきた地域密着型の中小企業などでは、事業をなんとか次の世代に引き継ぐためにM&Aを選ぶケースも多いようです。

2.企業の成長戦略としての活用

M&Aは、企業の成長戦略において重要な役割を果たしています。

既存事業の強化新規事業への参入市場シェアの拡大など、さまざまな効果が見込めるからこそ昨今これほどまでにM&Aが注目されているのです。

info

中でも、成長市場への進出や競争優位性の確立を図るために、同業種や隣接する企業と積極的にM&Aを行う企業が増加しています。

買収によって技術やノウハウ、顧客基盤などを迅速に獲得できる点こそ、M&Aの大きなメリットと言えるでしょう。

3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

デジタル技術の進化に伴い、DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業にとって不可欠となっています。

しかしDXを推進するには、多額の投資や専門人材の確保が必要となります

 

例えば、歴史の長い製造業がDX推進のためにIT企業を買収するケースも増えています。

デジタルに疎い上層部やDXとは何なのかさえ知らない人ばかりの職場で、DX化はできません。

そのため、DXに必要な技術や人材を持つIT関連企業を買収することで、効率的にDXを推進しようとする企業が増加しているのです。

4.海外進出・外資系企業の参入

グローバル化の進展に伴い、海外進出を目指す企業や日本市場への参入を図る外資系企業も増加しています。

自社を拡大させるよりも、現地企業との提携や買収をするほうがスムーズに事業拡大につながるケースがあるからです。

逆もまた然りで、外資系企業が日本企業の買収をすることで、日本市場への足掛かりを築こうとしています。

info

国境を超えてM&Aをすることを「クロスボーダーM&A」といいます。

5.M&A支援制度の拡充

少子高齢化や地方の過疎化などを受けて、政府はM&Aを促進するための様々な支援制度を各市町村で導入しています。

事業承継補助金を設けたり、M&Aを専門に仲介するプラットフォームを普及させたりして、売り手と買い手のマッチングを支援しているのです。

各都道府県や市区町村が主体となって運営している「事業承継・引継ぎ支援センター」なども支援活動の一環として挙げられます。

国が主体となって、M&Aにかかる費用負担の軽減や手続きの簡素化などが図られており、M&Aを検討する企業が増加しています。

今後も少子高齢化や人材不足が進むであろう日本において、M&Aは活路を開く手段として注目されているのです。

“後継者不足”の業界は、特にM&Aが増加する可能性も

"後継者不足"の業界は、特にM&Aが増加する可能性も

少子高齢化の進行や親族内承継の減少などにより、昨今では多くの企業が後継者不足に悩まされています。

そして後継者不足が生じている業界ほど、M&Aの成約件数も増えてきている動きがあるため、今後の運営方針に悩んでいる経営者の方は必見です。

以下、いくつかの業界における後継者不足とM&A増加の現状を分析していきます。

今後、特に後継者不足が加速すると考えられる業界
  • 建設業
  • 製造業(町工場・中小メーカー)
  • 運送業(物流業)
  • 介護業界
  • 小売業(地方の商店・専門店)

建設業

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・職人の高齢化が進んでおり、若手の育成が追いついていない。
・2024年問題(働き方改革関連法)により、長時間労働の是正が求められ人手確保が困難に
・利益率が低い若い世代が継ぎたがらない。

建設業では、熟練した技術者の高齢化と若手不足が深刻な問題となっています。

施工管理技士や土木測量技術者などの高度な専門知識と経験が求められる現場において、後継者の育成は時間を要する課題です。

そのため、事業承継を円滑に進める手段としてM&Aが注目されており、中小規模の建設会社を中心に増加傾向にあります。

info

実際にあった事例として、事業の継続を希望する建設会社と隣接業種である測量会社とがM&Aを行い、シナジー効果を図ったという例もあります。

▶詳細:事業承継の支援 支援事例(大分県事業引継ぎ支援センター)

 

また、既存顧客が多い地域密着型の建設会社を買収し、IT活用やDXで効率化を図るケースも増えています。

人手不足の解消と後進育成を同時に進められるM&Aは、建設業の将来を支え得る手段と言えるでしょう。

製造業(町工場・中小メーカー)

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・技術の属人化が進み、後継者に引き継ぎにくい
・設備投資負担が大きい
・製造業への就職希望者が減少

建設業と並んで、製造業も技術の属人化が進みやすく後継者を確保するのが難しい業種と言われています。

長年培ってきた技術やノウハウを持つ町工場や中小メーカーも、高度な技術を持つ熟練工の高齢化に伴い、技術伝承が困難になって事業継続の危機に瀕している企業が少なくありません。

また、設備が必須となる製造業は維持費用も掛かりやすく、資金繰りの不安から廃業を選ぶ経営者も多くなっています。

 

このような状況下で、大手メーカーでは下請け企業を買収してグループ化することで、技術の継承を図る動きが増えています。

日本の「ものづくり」技術は海外企業からみても価値が高く、高品質な技術を求めて地方の中小メーカーが買収されるケースも増加傾向にあります。

運送業(物流業)

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・ドライバーの高齢化が進んでおり若手の採用が難しい
・2024年問題(時間外労働の上限規制)により、収益モデルが崩れつつある
・燃料費や維持費の高騰により経営負担増

運送業・物流業ではドライバー不足が深刻化しており、後継者不足も相まって、事業継続が困難な企業が増えています。

厚生労働省から発信されているように、トラック・バス・タクシーなどのドライバーの時間外労働の条件規制は今後厳しく強化されていく見込みです。

https://youtu.be/6SAGDIfCSUA

そのため業界では、経営効率の改善や人材確保が急務とされており、その手段の一つとしてM&Aが活用されるケースが増えています。

大手物流企業が中小の運送会社を買収すれば、最小限のリソースで効率的なルート網を構築できるようになります。

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また同業種だけでなく、たとえばIT化による業務効率化を専門としている企業が、既存の物流企業の活性化を図り買収するパターンもあります。

介護業界

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・給与水準が低く離職率が高いため経営が不安定
・利用者の需要に対して人材供給が追いつかない
・施設の維持コストが高く、単独経営が難しい

高齢化社会の進展に伴い、介護業界の需要は高まっていますが、知っての通り人材は深刻なほど不足しているのが現状です。

介護士の高齢化と若手不足、低賃金による離職率の高さなどが後継者不足を招いています。

それでもなお事業の継続を図るため、M&Aによる事業承継や統合が検討されるケースが増えているようです。

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たとえば、大手介護事業者が中小施設を買収して経営基盤を強化したり、異業種(IT企業や不動産会社)が介護業界に参入し、買収を進めたりする動きもあります。

介護は今の日本においてなくてはならない業界ですから、M&Aによってなんとか後継者を確保していきたいところですね。

小売業(地方の商店・専門店)

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・ショッピングモールやECサイトの台頭により、個人経営の店が苦境に
・後継者がいないため、廃業を選ぶケースが多い
・地域密着型の店舗はM&Aしづらいため買い手が少ない

昨今の消費者の購買行動の変化やECサイトの台頭などにより、地方の商店や専門店では厳しい経営環境に直面しています。

「赤字続きでオーナーの体力も続かなくなってきた」「子どもが継ぎたがらない」など、さまざまな課題が山積みとなり、泣く泣く廃業を選ぶ企業も少なくありません。

そんな中、M&Aは事業継続のための選択肢の一つとして注目されており、「地域社会に密着した事業を継続させたい」という買い手が名乗りを上げる事例も増えてきています。

▶参考:事業承継・引継ぎ支援センター 事例紹介

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フランチャイズ展開を進める企業が地域の商店を買収し、ブランド力を活かして経営改善させる例もあります。
地方創生・地域活性化を目的とした売買が発生するのも、地方でのM&Aならではの傾向です。

2024年以降のM&Aの事例をピックアップ

2024年以降のM&Aの事例をピックアップ

「事業継承」「事業の新規開拓」という言葉だけを聞いても、あまりピンとこない方もいるかもしれません。

そこで、誰でも名前を知っているような有名企業がM&Aをした事例を見ていきましょう。

2024年以降の成約に絞り、最新の事例をご紹介します。

1. キリンホールディングスによるファンケルの買収

時期2024年6月
買い手
売り手
買い手:キリンホールディングス
売り手:ファンケル
M&Aの目的・コスト削減と商品開発
・健康食品事業の強化
参考記事NHK | キリンHD “ファンケルへのTOB成立” 完全子会社へ

キリンホールディングス(HD)は2023年、健康食品事業の強化を目的として、ファンケルの完全子会社化を目指しました。

健康志向の高まりを背景に、キリンはファンケルの製品ラインナップを取り入れることで、ヘルスケア事業の強化を図ったと発表されています。

2021年に約30%の株式を取得していましたが、買収を進めて、最終的な買収株式数は42.72%に達しました。

info

キリンHDの南方社長は、ファンケルの統合によってコスト削減と商品開発を進め、ヘルスサイエンス事業の成長を図るとしています。

2. ブラックストーンによるインフォコムの買収

時期2024年6月
買い手
売り手
買い手:ブラックストーン(米投資ファンド)
売り手:インフォコム
M&Aの目的・インフォコムの非公開化
・ITサービス事業における新規事業の創出
参考記事ロイター | ブラックストーンが日本で過去最大の買収、「めちゃコミ」のインフォコム

2024年6月、米国の投資ファンドであるブラックストーンは、電子コミック配信サービス「めちゃコミック」を運営するインフォコム株式会社を買収することで合意しました。

この買収は、インフォコムの非公開化を目的としており、 電子コミック事業における知的財産の拡充やアニメ化・グッズ展開など多方面への展開、さらには海外進出を視野に入れています

特に、メディア事業とITサービス事業の両面での競争力を重視し、非公開化によって中長期的な成長戦略の推進を目指しているとのことです。

 

投資ファンドが企業の成長ポテンシャルを見極め、非公開化を通じて長期的な価値向上を図るためのM&Aの一例として、非常に参考になる事例ですね。

3. ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスによるいなげやの買収

時期2024年11月
買い手
売り手
買い手:ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス
売り手:いなげや
M&Aの目的・競争激化への対応
・新たなビジネスモデルの構築
参考記事日本M&Aセンター | ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス、いなげやを株式交換により完全子会社化

2024年、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは、食品スーパー「いなげや」を株式交換により完全子会社化しました。

このM&Aの背景には、首都圏における競争激化と市場環境の変化があります。

統合によって、U.S.M.Hはグループ全体で1兆円規模の事業体を形成し、デジタル化・商品開発・人材育成・決済インフラなどを強化

さらに、イオングループのリソースを活用し、スケールメリットを最大限に活かした新たなビジネスモデルの構築を目指しています。

M&A仲介のおすすめ企業3選!

M&A仲介のおすすめ企業3選!

ここまでM&Aが注目を集めている理由や事例について学び、実際に買収や売却・譲渡に興味がでてきた方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、M&Aに強い専門の仲介会社を3社ピックアップしてご紹介します。

M&Aを専門家の協力無しに成功させることはまず不可能です

今からご紹介する内容を参考にしながら、自社の規模や計画にマッチした仲介会社を見つけて相談してみましょう。

弊社

株式会社日本M&Aセンター

日本M&Aセンター
引用:日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、中堅・中小企業の友好的なM&A支援に特化した独立系仲介会社です。

1991年創業の大手仲介会社で、全国の地方銀行の約9割、信用金庫の約8割、1,051の会計事務所と提携することで、国内最大級のM&A情報ネットワークを構築。

国内7拠点に加え、シンガポール・インドネシア・ベトナム・マレーシア・タイにも拠点を持ち、M&A成約実績で業界トップの地位を確立しています。

またM&A仲介だけでなく、企業評価、PMI(買収後の経営統合)支援、企業再生支援、上場支援など、多岐にわたるサポート体制を整えていることも強みです。

 

とにかくたくさんの選択肢の中から、最適な譲渡・譲受先を見つけ出したいという方におすすめです。

株式会社ペアキャピタル

株式会社ペアキャピタル
引用:株式会社ペアキャピタル

株式会社ペアキャピタルは東京・恵比寿に本社を構え、名古屋、大阪、福岡、北海道、さらに台湾にも拠点を展開しているM&A仲介会社です。

M&Aアドバイザリー業務やM&Aプラットフォーム事業を主力とし、特に中堅・中小企業の事業承継や成長支援に注力しています。

ペアキャピタルの最大の特徴は、大手金融機関出身者など経験豊富な専門家が集結し、企業の財務状況や人材など多角的な視点から企業価値を評価してくれるところ。

そして、成功報酬型の手数料体系を採用しているため、M&Aの検討段階にある企業でも利用しやすい仕組みを備えています。

独自のM&Aプラットフォーム「AMAPE」を運営し、譲渡案件の掲載機能などを通じて、売り手・買い手双方の情報非対称性を解消する取り組みも行っています。

M&Aの増加理由について調べる人からよくある質問

M&Aの増加理由について調べる人からよくある質問

最後に、M&Aの増加理由に関して気になる情報をまとめました。

Q.M&Aをするメリットとデメリットを教えてください

M&Aのメリットとデメリットは、買収する企業(買収者)と買収される企業(被買収者)の両方にとって、そしてそれぞれの状況によって大きく異なります。

メリットデメリット
売り手側・財務状況の改善や事業拡大を図れる
・後継者問題を解消できる
・企業文化の変化や事業縮小の可能性がある
・技術の流出リスクがある
買い手側・市場シェア拡大
・新規事業参入
・シナジー効果による収益向上
・買収額&統合コストがかかる
・人事統合の摩擦が生じやすい

上記以外にも、買収対象企業の負債やリスク、買収後の統合プロセスにおける課題など、さまざまな要素が成功・失敗を左右します。

M&Aを検討する際には専門家の意見を聞きながら、慎重な検討が必要です。

Q.M&Aの手続きの流れを教えてください

M&Aの手続きは、大きく分けて6段階あります。

なお、以下はあくまでも一般的な流れであり、実際には案件によって異なる場合があります。

 

M&Aの主な流れ

①対象企業の選定…買収候補となる企業を選定
②接触・交渉…買収対象企業へのアプローチ、買収条件の交渉
③デューデリジェンス…買収対象企業の財務状況や法令遵守状況等を調査
④契約締結…買収契約書の作成・締結
⑤決済…買収代金の支払いと株式の譲渡
⑥統合…買収後、両社の人員配置や新体制での運営を開始

中でもデューデリジェンスは、M&Aの成否を大きく左右するきわめて重要な工程です。

弁護士、税理士、会計士などの専門家のサポートを受けながら、入念なリスク回避のもと準備を進めましょう。

 

M&Aの流れについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶参考:M&Aの進め方をフロー図で徹底解説!売り手・買い手別の注意点も紹介

Q.M&Aは株価に影響しますか?

M&Aにおいては、買収される企業の株価に大きな影響を与える可能性があります。

一般的には、買収発表後に買収価格以上の価格で取引されることが多く、株価が上昇する傾向にあります。

しかし実際のところは、買収額や資金調達方法、買収後のシナジー効果などによって変動するため一概には言えません。

info

買収によって企業価値が向上すると期待される場合は株価上昇、逆にリスクが大きくなると判断された場合は株価下落の可能性があります。

M&Aの内容や市場の反応、企業の業績など、内容によってさまざまな事例があるため予測することはきわめて困難です。

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