【利益の〇倍!?】M&Aの金額相場はいくら?売却する際の目安がわかる計算方法を紹介!

企業を売却する際、「いくらで売れるのか?」という金額相場は、経営者にとって最も気になるポイントでしょう。
M&Aの取引価格は、業種や企業規模、業績、成長性などさまざまな要因に影響されますが、一般的には「利益の〇倍」というような計算方法が使われます。
特に中小企業のM&Aでは「年商の1〜3倍」「営業利益の3〜5倍」が目安とされていますが、実際には個別の企業特性や交渉次第で金額が大きく変動することも。
本記事では、M&Aの金額相場を決定する際によく使われている計算方法や、売却価格アップのポイントを解説していきます。
あなたの事業はいくらで売れる!?M&Aする際の金額目安を30秒で計算!
M&Aで企業を売却・買収する際には、適正な売却価格を知ることが何よりも重要です。
M&Aでは 「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」 の3つの方法を用いて企業価値を算出します。
単純な売上や利益だけではなく、業種や収益モデルも加味して企業の価値を正しく評価しなければなりません。
評価方法 | 計算式 | 向いている事業 |
---|---|---|
コストアプローチ | 企業価値 = 総資産 - 負債 | 不動産・設備を持つ会社 財務が明確な企業 |
インカムアプローチ | 企業価値 = 年間純利益 × 倍率(3〜5倍) | 収益が安定している企業 (ECサイト、SaaSなど) |
マーケットアプローチ | 企業価値 = 類似企業の売却価格 × 売上(または利益)比率 | 成長市場・スタートアップ 同業他社の取引が多い事業 |
以下、それぞれの項目の見方について詳しく解説します。
コストアプローチ(純資産価値ベースの評価)

コストアプローチは、会社の「総資産-負債」を基準に評価する方法です。
総資産とは今ある現金・不動産・在庫などを指し、借入金、未払金などが負債にあたります。

簡単に言うと「今この会社を解散した場合、どれくらいの価値があるか?」を計算する方法ですね。
この計算方法では、純資産が大きい企業ほどコストアプローチで高値評価されやすい傾向にあります。
工場や倉庫など、既に資産をたくさん有している場合はコストアプローチで企業評価をするのが適しているでしょう。
この計算方法が向いているケース
・不動産や設備などの有形資産を多く持つ企業(工場、倉庫、土地など)
・財務状況が明確で、純資産の価値が売却価格のベースになりやすい企業
・利益は少なくても、資産価値が高い企業
インカムアプローチ(収益ベースの評価)

インカムアプローチは、会社の収益力をもとに評価する方法 です。
収益力は、年間純利益(営業利益 − 税金・経費)をもとに計算します。

「この会社が今後どれくらいの利益を生み出せるか?」を基準に計算するため、利益が安定している企業の評価に適しています。
なお倍率については、利益が安定している事業ほど高倍率(5倍以上)が適用されやすい傾向です。
資産を重視するコストアプローチとは異なり、売上は小さくても、利益がしっかりと出ている企業がより評価されます。
この計算方法が向いているケース
・ECサイト・SaaS・アフィリエイトサイトなど、収益が安定しているビジネス
・サブスクサービスや不動産事業など、毎月一定額の売上が出るビジネス
・利益率が高く、少ない投資で収益を生み出せる事業
マーケットアプローチ(市場価値ベースの評価)

マーケットアプローチは、同じ業界・規模の企業のM&A取引データをもとに評価する方法 です。
類似企業の売却価格 × 売上比率(または利益比率)を求めて算出します。

「他の企業(同業他社)ではいくらで売却されたか?」を参考にして、自社の価値を見積もります。
意見すると他の計算方法よりも評価が低くなるように思われるかもしれませんが、市場価値が高い業界や成長性のある業界では、マーケットアプローチのほうが有利です。
競合となる企業の目星をつけ、データを収集しながら計算をしてみましょう。
この計算方法が向いているケース
・業界内でM&Aが活発に行われている企業(IT企業、ECサイト、飲食店チェーンなど)
・スタートアップや急成長企業など、市場の需要が影響しやすい事業
・上場企業や競合企業のM&Aデータが入手できる場合
【早見表】M&Aの金額相場はいくら?業種別に目安を解説!
M&Aで損をしないためには、まず各業種における相場を把握しておくことから始めましょう。
自社にどれくらいの価値がつくのが妥当なのかを分かっていないと、「もっと高値で売れたのに…」と先々で後悔することになるかもしれません。

あくまで目安ではありますが、以下に各業種での売却価格の相場を一覧でまとめました!
ぜひ今後の事業計画の参考にしてください。
業種 | M&A売却価格の相場 | 評価のポイント |
---|---|---|
IT・SaaS企業 | 年間売上の 2〜10倍 | サブスクリプション型は高評価、成長率がカギ |
ECサイト・D2C | 年間利益の 1.5〜4倍 | 売上安定性・リピーター率・在庫リスクが影響 |
アフィリエイトサイト | 月間純利益の 12〜36ヶ月分 | SEO評価・検索順位・収益の持続性 |
Webメディア・ブログ | 月間純利益の 12〜30ヶ月分 | PV数・広告収益モデル・コンテンツ資産価値 |
飲食店(単独店舗) | 年間利益の 1〜3倍 | 立地・ブランド力・固定費のバランス |
飲食チェーン | 年間利益の 3〜6倍 | 多店舗展開・フランチャイズ化の可能性 |
美容・エステサロン | 年間利益の 2〜5倍 | 会員数・リピート率・ブランド力 |
クリニック(医療・歯科) | 年間利益の 3〜7倍 | 診療報酬・患者数・設備投資の影響 |
調剤薬局 | 年間利益の 4〜8倍 | 保険調剤の安定性・地域の競争環境 |
学習塾・スクール | 年間利益の 2〜5倍 | 生徒数・エリアの需要・講師の質 |
士業(会計事務所・法律事務所) | 年間売上の 0.8〜2倍 | 顧客リストの質・継続案件の多さ |
介護・福祉施設 | 年間利益の 3〜8倍 | 介護報酬・地域の需要・人材確保 |
物流・運送業 | 年間利益の 2〜6倍 | 契約企業の安定性・車両資産の価値 |
製造業(中小企業) | 年間利益の 3〜7倍 | 設備資産・受注先の安定性・業界の将来性 |
建設・リフォーム業 | 年間利益の 2〜5倍 | 受注状況・職人の確保・許認可の有無 |
不動産業(仲介・管理) | 年間利益の 3〜6倍 | 管理戸数・売買手数料収入・エリアの成長性 |
不動産賃貸業 | 純資産価値+年間利益の 5〜12倍 | 物件価値・稼働率・管理コスト |
広告代理店・マーケティング会社 | 年間利益の 2〜5倍 | クライアントの安定性・契約の継続性 |
人材紹介・派遣会社 | 年間利益の 3〜7倍 | 派遣スタッフ数・契約企業の安定性 |
農業・食品加工業 | 年間利益の 2〜6倍 | ブランド価値・販路の広さ・生産能力 |
M&Aの売却価格を決定する要素とは?
先ほど業界別の価格の目安をご紹介しましたが、もちろんこの相場よりも高い価格が出せないという訳ではありません。
M&Aにおいて売却価格を決定するには、収益性の他にもさまざまな要素が加味されています。
要素 | 評価のポイント | 高値売却のポイント |
---|---|---|
収益性(利益) | 売上・利益の安定性 | 直近の利益を最大化し、成長傾向を示す |
成長性(将来性) | 業界の市場成長率、新規事業の展開可能性 | 拡大戦略やビジネスの可能性を明確にする |
事業の安定性 | 取引先の依存度、リピート率 | 売上の分散化、契約の長期化を図る |
資産価値(純資産) | 不動産・特許・ブランド力 | 知的財産やブランドの価値を強調する |
引き継ぎやすさ | マニュアル化・属人化の有無 | 業務を標準化し、買い手が運営しやすい状態にする |
買い手の需要 | M&A市場のトレンド、業界動向 | 買い手が多いタイミングで売却する |
どのように事業を改革させれば価格が伸びるのか、それぞれのポイントを見ていきましょう。
1. 収益性(利益)
買い手が最も重視するのは、やはり「この事業がどれだけ利益を生み出せるか?」 という点です。
特に、営業利益や純利益が安定している企業ほど高く評価される傾向があります。
評価のポイント
・過去3〜5年間の売上・利益の推移(増加 or 減少傾向)
・売上だけでなく、利益率(営業利益率・純利益率)も重要
・黒字経営を続けている企業は買い手にとってリスクが少なく、高額売却しやすい
また、もし突出した利益がなくても成長中の業界である場合は、将来性を見込んで高く評価される可能性もあります。
2. 成長性(将来の事業展開の可能性)
直近の利益だけでなく、「この事業が今後どれだけ成長できるか?」 も売却価格に影響します。
たとえ利益が低くても、市場が成長中なら高額売却のチャンスです。
評価のポイント
・業界全体の成長率(市場規模が拡大しているか)
・新規事業の展開余地(事業のスケール可能性)
・競争優位性(独自の強みや技術、ブランド力)
買い手が将来の成長を期待できる事業は、プレミア価格がつく可能性もあります。
3. 事業の安定性(リスクの少なさ)
当たり前の話ではありますが、経営者はローリスク・ハイリターンの事業を好みます。
特に経営者としての経験が少ない場合や、M&Aをするのが初めての買い手の場合は、事業の安定性を重視しているケースが多めです。
評価のポイント
・売上の依存度(特定の取引先・クライアントに依存していないか)
・従業員の定着率(優秀な人材が残るか)
・契約の継続性(リピート顧客が多いか、長期契約があるか)
「このクライアントに契約を切られたら倒産する」といった状況にある場合は買い手に避けられがちです。
リピート客が増えたり、収入源を増やしたりできるようなビジネスを考えましょう。
4. 資産価値(純資産・ブランド)
企業が持つ 「資産」 も、売却価格に影響します。
以下のように、既に高い価値のあるモノやブランド力を有している会社は、事業規模に関係なく高評価される傾向にあります。
評価のポイント
・不動産や設備などの有形資産(工場・オフィス・店舗など)
・知的財産(特許・商標・独自技術)
・ブランド価値(業界での知名度・信頼性)
特許取得の実績やリピーターが多いブランドを有する会社など、唯一無二の価値があると必然的に評価も高くなるのです。
5. 業務の引き継ぎやすさ(運営のしやすさ)
買い手は後の経営を引き継ぐ身でもあるので、「今の事業をスムーズに引き継げるか?」 も重要な評価ポイントです。
運営が複雑だったり、特定の従業員や経営者の手腕に依存したりしていると、評価が下がる可能性があります。
また、専門性が高くて技術や経験を要する業務など、引き継げるようになるまで時間がかかる事業も忌避されがちです。
評価のポイント
・業務マニュアルが整備されているか(買い手がスムーズに運営できるか)
・属人化していないか(特定の個人に依存しすぎていないか)
・社内の仕組みが標準化されているか(ルール・プロセスが明確か)
たとえば、「長年勤務してくれているパートさんに任せっきり」といった状況では、退職や休職があった場合に事業が崩壊してしまいます。
なるべく早めに動き出して、誰でも引き継げる仕組みを整えるようにしましょう。
6. 買い手の需要(市場環境)
最終的に、M&Aの売却価格は「市場の需要」によっても決まります。
この点については自社では変えようのない要素ですので、常に市場の状況を見極め、今が売却に最適なタイミングかどうかを冷静に判断する必要があります。
評価のポイント
・M&A市場の動向(今、買収が活発な業界か)
・買い手のニーズが高いか(競争が激しい業界は高額売却しやすい)
・M&Aのタイミング(景気・業界トレンドの影響)
売却希望者が多くても、買い手が少なければ価格は下がります。
市場の状況にアンテナを張り、買い手が多くつくタイミングを見極めましょう。
相場よりも高くM&Aするポイントとは?
売却要素が決まる仕組みが分かってきたところで、まとめも兼ねて高く売却するポイントをご紹介します。
ポイント | 高値売却の理由 | 具体的な対策 |
---|---|---|
収益の安定化・成長性向上 | 成長中の事業は買い手にとって魅力的 | 直前期の売上・利益を最大化し、成長傾向を示す |
SEO評価・ブランド力向上 | 長期的な集客が見込めると高評価 | 被リンク強化・SNS活用・ブランド認知度アップ |
引き継ぎやすい仕組み作り | 買い手のリスクを減らし、スムーズな運営が可能 | 業務マニュアル作成・属人化を防ぐ・外注化の活用 |
市場の需要に合わせた売却 | 需要が高いタイミングで売却すると競争が生まれやすい | M&A市場のトレンドを把握し、最適な時期を狙う |
M&A仲介の活用 | 適切なサポートを受けることで、より高値での売却が可能 | 仲介会社と連携し、買い手との交渉を有利に進める |
どのように事業を改革させれば価格が伸びるのか、それぞれのポイントを見ていきましょう。
1. 収益の安定性と成長性を示す
M&Aでは直近の収益だけでなく、将来にわたって安定した利益を生み出せるかが重要視されます。
特に、過去3〜5年の売上・利益が安定 or 増加傾向にある企業は高値で売却しやすいです。
直前期(6〜12ヶ月)の売上・利益を伸ばし、成長中の企業としてアピールできるタイミングを狙いましょう。
利益率を向上させ、より効率的かつ安定的な事業運営を示すことで、買い手にとって魅力的な企業を目指すのがポイントです。
2. SEO評価・ブランド力を向上させる
ウェブサイトやメディア系のM&Aでは、SEOの強さやドメインの評価が価格に大きく影響します。
被リンクやSEO対策を強化し、Google検索順位を安定させることに重点を置きましょう。
また、飲食・小売・サービス業などでも、ブランド力の高さが売却価格を押し上げる要因として重視されがちです。

ブランド価値の高い企業を買収することで、新規顧客を一気に引き込めるケースもあるので馬鹿にできません。
SNSフォロワーを増やしたりメルマガ読者を獲得したりして、業界内での知名度を高める施策に取り組んでみましょう。
3. 事業の引き継ぎやすさを高める
買い手目線になって考えてみると、「この事業をスムーズに引き継げるか?」 は非常に重要なポイントです。
運営の手間が少なく、誰でも継続できる仕組みが整っている事業であれば、買い手にとってのリスクが少ないので高額で売却しやすくなります。
業務マニュアルを作成したり、一部の業務を外注化・自動化したりして、運営の手間を最小限に抑えるのが得策です。
4. M&A市場のトレンドを把握し、需要が高いタイミングで売却する
M&Aの売却を成功させるにはコツがあります。
というのも、売却価格の相場は市場の需要によって大きく変動するため、自社の業種・業界が注目されているタイミングで売却すると価格が上がりやすくなります。

初めてだと要領が掴みにくいかと思いますが、売却時には以下のポイントを意識してみましょう。
高値売却のポイント
・M&A市場のトレンドをチェックし、需要が高まっている業界を狙う
・決算期や景気動向を考慮し、最適な売却タイミングを見極める
・複数の買い手と交渉し、競争を生むことで価格を引き上げる
自社の需要が高まり、競争が生まれているタイミングが狙い目です。
5. M&A仲介会社を活用し、適切な売却戦略を立てる
M&Aの交渉をするには専門知識が必要なため、初心者が自力で取引を進めるのは不可能に近いです。
高額売却を狙う場合は、複数の買い手と交渉できる体制を整えることがカギとなりますので、ノウハウを熟知している仲介会社やアドバイザーを頼るのが確実です。
損をするリスクを低減することで、より高値での売却を目指しましょう。
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・株式価値の無料算定
・デューデリジェンスのサポート
・伴走型コンサルティング(企業の状況や成長戦略に関する知見の提供)
M&Aする際にかかる諸費用の相場(売り手向け)
補足になりますが、M&Aを進める際には売却価格だけでなく、発生する諸費用もしっかり把握しておかなければなりません。
事前に予算が分かっていないと、想定以上のコストがかかってしまい、最終的な収支がマイナスになった…なんて事態にも陥ってしまいます。
以下に、M&Aで発生する主な費用と相場をまとめました。
費用の種類 | 概要 | 相場の目安 | 発生 タイミング |
---|---|---|---|
M&A仲介手数料 | 仲介会社を利用する場合の成功報酬 | 売却額の 3%〜10% | 売却成立時 |
売買手数料(M&Aプラットフォーム) | M&Aマッチングサイトを利用した場合の手数料 | 売却額の 3%〜5%(または固定費10万〜50万円) | 売却成立時 |
着手金(仲介会社) | 一部の仲介会社で発生する、契約時の初期費用 | 0円〜100万円 | 仲介契約時 |
デューデリジェンス(DD)費用 | 買い手側が実施する企業調査の負担分 | 50万〜500万円 | 企業調査時 |
法務・契約書作成費用 | 売買契約の作成やリーガルチェック | 30万〜200万円 | 売却契約締結時 |
税務・会計アドバイザリー費用 | 税理士・会計士による税務対策 | 50万〜300万円 | 売却契約締結時 |
サイト・事業移行費用 | ドメイン・サーバー移行、事業システム移行 | 5万〜50万円 | 売却後、引き継ぎ時 |
税金(譲渡所得税 or 法人税) | 売却益に対する課税 | 売却益の約20〜45%(法人は23〜30%) | 売却後、確定申告時 |