赤字の会社は売れる?負債があっても売却できる条件・方法・注意点を徹底解説!


ウチみたいに赤字続きの会社でも、売れるんだろうか?
近年、黒字企業だけでなく「赤字の会社」を売却したいという相談が急増しています。
経営が厳しい中でも、「従業員の雇用を守りたい」「事業の可能性はまだある」といった思いから、廃業ではなく“第三者への承継(M&A)”を選ぶ経営者が増えているのです。
とはいえ、赤字の会社が本当に売れるのか?どのような条件なら買い手がつくのか?
そして「売却したら借金はどうなるのか?」といった不安や疑問も尽きないはずです。
そこで本記事では、赤字でも売れる会社の条件・売却方法・注意点まで、
「赤字会社 売却」と検索したあなたが本当に知りたいことを、わかりやすくまとめました。

下記の表に、赤字会社の状況ごとに売却と廃業どちらがおすすめかをまとめました。
あなたの状況・希望 | 売却がおすすめ | 廃業がおすすめ |
---|---|---|
事業にはまだ価値があると思う | ✅ | |
顧客・社員・取引先に迷惑をかけたくない | ✅ | |
自分が事業に疲れ切っているが、続けてほしいと思っている | ✅ | |
売却益を得て、次のキャリア資金にしたい | ✅ | |
赤字・債務超過が深刻で、買い手がつきそうにない | ✅ | |
店舗・設備などに価値がほとんど残っていない | ✅ | |
早く整理して身軽になりたい | ✅ | |
後継者がいない・人材も育っていない | △ (売却可能性はある) | ✅ (状況による) |
赤字でも会社は売却できる?→可能。ただし条件次第

赤字だと、やっぱり会社を売るのは難しいのかな…
そう思っていませんか? 実は、赤字でも会社売却は可能なんです!ただし、売却を成功させるには、いくつかの条件があります。
ここでは、「赤字会社を売却する際に重視されるポイント」や「赤字でも売れる会社と売れない会社の違い」などについて解説していきます。

下記の動画では、赤字でも高額売却できる会社の共通点について解説されています。
赤字=即アウトではない→見るべきは「将来性」「資産価値」「買い手視点のメリット」
赤字だからといって、すぐに売却を諦める必要はありません。

買い手は、以下のようなポイントを重視して判断します。
これらの要素を総合的に判断し、買い手にとって魅力的な会社であれば、赤字でも売却できる可能性は十分にあります。
赤字でも売れる会社と売れない会社の違い
では、具体的にどんな会社が売れるのでしょうか?

以下の表に、売れる会社と売れない会社の違いをまとめました。
比較項目 | 売れる赤字会社 | 売れない赤字会社 |
---|---|---|
将来性 | 市場が伸びている/改善余地あり | 業界全体が衰退/改善見込みがない |
顧客基盤 | リピート率が高く、顧客リストが整備されている | 顧客情報が属人的、取引が不安定 |
技術・ノウハウ | 他社にない強み・差別化要素がある | 一般的で再現性がない、ブラックボックス化している |
人材 | 鍛えられた従業員やキーパーソンが残っている | 離職率が高い/属人化が進んでいる |
財務管理 | 赤字でも数値管理ができている(改善の糸口が見える) | 数字が雑/債務超過が悪化している |
経営姿勢 | 誠実な情報開示、協力的な姿勢 | 隠ぺい・虚偽・不誠実な対応がある |
ご自身の会社がどちらに当てはまるか、チェックしてみてください。
買い手にとって魅力的なケース→顧客基盤、技術、人材、立地

特に、以下の要素を持っていると買い手にとって大きな魅力となります。
これらの要素を積極的にアピールすることで、赤字会社でも買い手を見つけやすくなります。
赤字会社がいくらで売却できるか計算したい方はこちら!
「うちの会社、赤字続きだけど、一体いくらで売れるんだろう…?」
赤字会社の売却価格は、黒字の会社に比べて算定が難しいのが現状です。しかし、諦めるのはまだ早い!いくつかの方法で、自社の価値を見出すことができるんです。
ここでは、赤字会社でも使える企業価値評価方法を3つご紹介します。

下記の表に、赤字会社でも使える企業価値評価方法についてまとめました。
アプローチ名 | 特徴 | 赤字企業への適用可能性 |
---|---|---|
コストアプローチ | 純資産(保有資産-負債)で評価 | ◎ 有効。赤字でも資産価値があれば使える |
インカムアプローチ | 将来の利益・キャッシュフローで評価(DCFなど) | △ 難易度高。赤字が続くと算定が困難 |
マーケットアプローチ | 類似企業の売却価格などと比較 | ○ 参考にはなるが、類似赤字企業が少なく参考事例が少ない場合も |

下記の動画では、コストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチについてまとめて解説されています。
【実用向き】コストアプローチ:赤字企業でも使える「純資産ベース」の評価方法
コストアプローチは、会社の資産から負債を差し引いた「純資産」をベースに企業価値を評価する方法です。
赤字会社は、収益性をベースにした評価(インカムアプローチ)が成り立ちにくいため、コストアプローチによる評価が実用的です。

コストアプローチには、主に以下の2つの方法があります。
コストアプローチの主な2つの方法
・簿価純資産法
貸借対照表に記載された金額(簿価)をそのまま使用する方法。
・時価純資産法
資産・負債を現在の市場価格(時価)で評価し直して算出する方法。
赤字企業の場合、簿価純資産がマイナスになっていることもありますが、時価評価を行うことで、隠れた資産価値が見つかる可能性もあります。例えば、不動産や有価証券などが、購入時よりも価値が上がっている場合などです。 資産の価額を時価で算出する際のポイントとしては、帳簿価格を時価に引き直すことが重要です。
逆に「保有資産(現金・不動産・在庫・債権)」などに価値があれば、清算価値ベースでも買い手がつく可能性があります。特に事業譲渡や清算型M&Aでは、事業の“切り出し価値”を測るために有効です。

コストアプローチについては、下記の画像にもまとめました。こちらも参考にしてみてください。

【補足】インカムアプローチ:将来の利益・キャッシュフローを基に企業価値を算出
インカムアプローチは、将来的にどれくらいの利益やキャッシュフローを生み出すか予測し、それを基に企業価値を評価する方法です。赤字会社には不向きと思われがちですが、将来的な事業計画や成長戦略によっては、高い評価を得られる可能性もあります。

例えば、以下のようなケースでは、インカムアプローチが有効となることがあります。
インカムアプローチが有効になるケース
・一時的な要因で赤字になっている
設備投資や新規事業立ち上げなど、一時的な要因で赤字になっている場合、将来的な収益改善が見込める可能性があります。
・技術力やノウハウがある
独自の技術力やノウハウを持っており、将来的に市場ニーズが高まることが予想される場合。
インカムアプローチでは、将来の予測に基づいて企業価値を算出するため、客観的なデータや根拠に基づいた事業計画が重要になります。ただし、インカムアプローチが有効になるケースは稀なため、赤字会社によってはやはり実用的とは言えないでしょう。

下記の画像にインカムアプローチについてまとめました。

【補足】マーケットアプローチ:同業他社の取引事例と比較して企業価値を算定
マーケットアプローチは、類似した規模や業種の会社との比較を通じて企業価値を評価する方法です。M&Aの事例や上場企業の株価などを参考に、自社の価値を相対的に判断します。
この方法は、客観的なデータに基づいているため、説得力のある評価額を提示しやすいというメリットがあります。ただし、類似する会社が少ない場合や、市場環境が大きく変動している場合には、適切な評価が難しいこともあります。
赤字会社の場合、類似企業も赤字である可能性が高いため、単純な比較は難しいかもしれません。しかし、事業規模や顧客基盤、技術力などを考慮し将来的な成長性をアピールすることで、買い手にとって魅力的な価値を示すことも可能です。
ただ、総合的に考えると赤字会社にとって実用的な方法とは言えないでしょう。

下記の画像にマーケットアプローチについてまとめました。

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廃業と売却、どちらが正解?→状況別に最適な選択肢をまとめました
赤字が続くと、どうしても「もうダメだ…廃業しかないのか…」と考えがちですよね。でもちょっと待ってください!廃業”だけ”が選択肢ではありません。状況によっては、会社を売却する方が良い場合もあるんです。
ここでは、廃業と売却、それぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたの会社にとってどちらが最適な選択肢なのかを一緒に考えていきましょう。

以下の表に、赤字会社の状況ごとに売却と廃業どちらがおすすめかまとめました。。
あなたの状況・希望 | 売却がおすすめ | 廃業がおすすめ |
---|---|---|
事業にはまだ価値があると思う | ✅ | |
顧客・社員・取引先に迷惑をかけたくない | ✅ | |
自分が事業に疲れ切っているが、続けてほしいと思っている | ✅ | |
売却益を得て、次のキャリア資金にしたい | ✅ | |
赤字・債務超過が深刻で、買い手がつきそうにない | ✅ | |
店舗・設備などに価値がほとんど残っていない | ✅ | |
早く整理して身軽になりたい | ✅ | |
後継者がいない・人材も育っていない | △ (売却可能性はある) | ✅ (状況による) |
売却するべきケース:“事業の価値”が残っているなら検討の余地あり
ズバリ言うと、赤字でも、「事業の価値」が残っているなら、売却を検討する価値は大いにあります。

売却を検討する余地があるのは、以下のようなポイント含んでいる場合です。
判断ポイント | 解説 |
---|---|
顧客・従業員・ノウハウ・立地などに価値がある | 買い手にとってシナジーが見込める資産や組織がある場合、赤字でも売却の可能性あり。 |
買い手が見つかりそうな業種・エリアである | 人気業種(介護・IT・飲食など)や都市圏では買い手ニーズが高く、売却成功率が高い。 |
雇用や取引を継続させたい | 従業員や取引先を守るために、第三者への承継(M&A)が適している。 |
赤字でも将来性がある(収益改善の余地あり) | 一時的な赤字でも、再建できる見込みがあるなら買い手が興味を持つ。 |
売却益を元に次のキャリア・事業へ進みたい | M&Aによってキャッシュ化し、新たな挑戦や生活資金を確保できる。 |
これらの“事業の価値”は、廃業してしまうと全て失われてしまいます。売却することで、これらの価値を必要とする企業に引き継ぎ、新たな可能性を拓くことができるのです。
廃業するべきケース:事業継続が困難で“引き継ぐ価値”がない場合
残念ながら、どんな会社でも売却できるわけではありません。

以下のようなポイントを含んでいると、廃業を選択せざるを得ない場合があります。
判断ポイント | 解説 |
---|---|
売上がほとんどない/事業がすでに止まっている | 収益がなく、事業として成立していない場合は買い手がつきづらく、廃業が現実的。 |
設備やノウハウに価値が残っていない | 資産や人的リソースが乏しく、譲渡価値が見出されにくい場合は廃業の検討を。 |
後継者・社員も不在で引き継ぎ体制が整っていない | 経営の属人化が強く、引き継ぎ困難な場合はスムーズな事業承継が難しい。 |
多額の債務や訴訟など、買い手にとってリスクが大きい | 法的・財務的なリスクが重くのしかかる場合、M&Aではなく廃業による整理が妥当なことも。 |
一刻も早く事業を整理したいと考えている | 精神的・時間的に余裕がない場合、廃業手続きを選ぶ方が負担が少ないこともある。 |
これらのケースでは、無理に売却を目指すよりも、早めに廃業手続きを進める方が傷口を広げずに済むこともあります。ただし、本当に「引き継ぐ価値」がないのか、M&Aの専門家などに相談してみることをおすすめします。意外な活路が見出せるかもしれません。
赤字会社の売却方法→どのM&Aスキームを選ぶべき?
赤字会社の売却を検討する際、どのM&Aスキームを選ぶかは非常に重要です。スキームによって、売却後の会社の状況や、売却益にかかる税金などが大きく変わってくるからです。
ここでは、代表的な3つのスキームについて、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

下記の表に、各スキームの特徴や向いているケース、注意点についてまとめました。
売却方法 | 特徴 | 向いているケース | 注意点 |
---|---|---|---|
株式譲渡 | 法人全体を売却(資産・負債込み) | 財務がある程度整っており、法人格ごと引き継ぎたい場合 | 負債も含めて引き継がれるため、買い手側にリスクが大きい |
事業譲渡 | 会社の一部(収益事業など)だけ売却 | 会社全体では売れないが、一部に価値ある事業・資産がある場合 | 法人は残るため、残務処理(清算・債務整理など)が必要 |
清算型M&A | 会社を解散・清算しつつ、資産・事業を第三者に売却 | 債務が大きく、会社ごと譲渡するのが困難な場合 | 精算に時間とコストがかかるが、残債を処理できるメリットも |
スポンサー型M&A | 倒産寸前・再建中の企業に支援企業が出資・再建する | 債務超過・破綻リスクの高い赤字企業 | 経営権を手放す必要あり。スポンサーとの条件交渉が鍵 |

下記の動画では、赤字会社のM&Aスキームについて解説されています。
株式譲渡:法人そのものを引き継ぐ(資産・負債込み)
株式譲渡は、株主が保有する株式を買い手に譲渡することで、会社そのものを売却する最も一般的なM&Aスキームです。会社の資産・負債、権利義務などを包括的に引き継ぐため、手続きが比較的簡単で、中小企業のM&Aでよく用いられます。

下記の表に、株式譲渡のメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
手続きが比較的簡単 | 簿外債務や偶発債務も引き継ぐリスクがある |
包括的な承継が可能 | 買い手企業は、不要な資産や事業も引き継ぐことになる |
売却益に対する税率が低い(個人の場合) | 売り手側の税務リスクがある場合も |
赤字会社の場合、買い手は将来性やシナジー効果などを期待して買収するため、株式譲渡を選択するケースが多く見られます。ただし、負債やリスクも引き継ぐことになるため、デューデリジェンス(買収監査)を慎重に行う必要があります。
事業譲渡:収益性の高い一部の事業だけ売却
事業譲渡は、会社が持つ事業の一部または全部を、買い手に譲渡するスキームです。会社全体ではなく、特定の事業だけを売却したい場合に有効です。例えば、赤字事業を切り離して、収益性の高い事業だけを残したい場合などに利用されます。

下記の表に、事業譲渡のメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
不要な事業を切り離せる | 個別の資産・契約の移転手続きが必要 |
買い手は必要な事業だけを選べる | 税務上のメリットが少ない場合がある |
売り手企業に事業再編の余地が残る | 従業員の移籍手続きが必要 |
赤字会社が事業譲渡を行う場合、買い手は収益性の高い事業や、自社の事業とのシナジー効果が期待できる事業を重点的に評価します。そのため、売却対象となる事業の強みや将来性を明確にアピールすることが重要です。
清算型M&A/スポンサー型M&A:再建型スキームの活用
清算型M&Aとスポンサー型M&Aは、経営不振や債務超過に陥った会社を再建するためのスキームです。
清算型M&Aは、会社を清算する手続きの中で、資産を売却して債権者に弁済するものです。一方、スポンサー型M&Aは、スポンサー企業からの資金援助や経営支援を受けながら、事業再生を目指すものです。

下記の表に、清算型M&Aとスポンサー型M&A、それぞれの目的や特徴、メリット・デメリットをまとめました。
清算型M&A | スポンサー型M&A | |
---|---|---|
目的 | 会社清算による債務整理 | 事業再生による企業価値向上 |
特徴 | 資産売却による債権者への弁済 | スポンサーからの資金・経営資源の投入 |
メリット | 債務超過からの解放 | 事業継続の可能性 |
デメリット | 従業員の雇用維持が難しい | スポンサーの意向に左右される |
赤字会社の場合、通常のM&Aスキームでの売却が難しい場合でも、これらの再建型スキームを活用することで、会社を立て直したり、従業員の雇用を維持したりできる可能性があります。ただし、債権者との合意形成やスポンサー企業の選定などが重要になります。

下記の表に、赤字会社の状況別におすすめのスキームをまとめました。
状況 | おすすめスキーム |
---|---|
法人全体を譲渡したい+赤字だが将来性がある | 株式譲渡 |
一部の収益事業にしか価値がない | 事業譲渡 |
多額の債務があるが、資産整理しつつ価値を残したい | 清算型M&A |
自力再建が難しいが、事業を残したい | スポンサー型M&A(民事再生型など) |
赤字会社の売却を成功させるポイント
赤字会社の売却は、一筋縄ではいかないかもしれませんが、以下のポイントを押さえることで成功に近づけることができます。買い手にとって魅力的な会社であることをアピールし、スムーズなM&Aを実現しましょう。

下記の動画内では、業績悪化企業がM&Aに取り組む際のポイントについて解説されています。
キャッシュフローと収益構造の見直す
まず、現状のキャッシュフローと収益構造を徹底的に見直しましょう。無駄なコストを削減し、収益改善の余地を探ります。具体的な改善策を実行することで、会社の立て直しを図るとともに、買い手に対して「改善努力をしている」という姿勢を示すことができます。

例えば、以下のような対策が考えられます。
無駄なコストを減らす対策
・不採算部門の縮小・撤退
・仕入れコストの見直し
・業務効率化による人件費削減
・新規顧客獲得のためのマーケティング強化
「赤字=悪」ではなく、将来性や他社とのシナジーを示す
赤字であることは事実ですが、それをネガティブに捉えるのではなく、将来性や他社とのシナジー効果を積極的にアピールしましょう。赤字の理由を明確に説明し、今後の成長戦略や市場のポテンシャルを示すことで、買い手の不安を払拭することができます。

具体的には、以下のような点を強調すると良いでしょう。
将来性や他社とのシナジー効果をアピールする際のポイント
・独自の技術やノウハウ
・特定の分野での高いシェア
・成長市場への参入可能性
・買い手企業との事業上の相乗効果
財務だけでなく、人的資産・顧客基盤をアピールする
財務状況だけでなく、人的資産や顧客基盤などの目に見えない資産も積極的にアピールしましょう。優秀な人材や、長年培ってきた顧客との信頼関係は、会社の大きな財産です。これらの強みを伝えることで、買い手にとっての魅力度を高めることができます。

例えば、以下のような情報を開示すると効果的です。
目に見えない資産をアピールするために効果的な情報
・従業員のスキルや経験
・顧客の属性や購買履歴
・顧客満足度調査の結果
・独自の企業文化や風土
税務・会計の整理を徹底し、信頼性を高める
税務・会計の整理を徹底し、財務情報の透明性を高めることは、M&A交渉において非常に重要です。正確な財務諸表を提示し、税務上のリスクを解消することで、買い手の信頼を得ることができます。
不透明な会計処理や税務上の問題を抱えていると、M&A交渉が難航するだけでなく、減額交渉や契約破棄につながる可能性もあります。

具体的には、以下のような点に注意しましょう。
財務情報を整理する際の注意点
・未払いの税金や社会保険料がないか
・架空の売上や費用の計上はないか
・簿外債務はないか
・税務調査で指摘された事項はないか
専門家に相談する(M&A仲介・税理士・再生支援)
赤字会社の売却を成功させるためには、M&Aの専門家への相談が不可欠です。M&A仲介会社は、買い手探しから交渉、契約締結まで、M&Aに関する一連の手続きをサポートしてくれます。
また、税理士や再生支援の専門家は、財務・税務面の課題解決や、事業再生計画の策定を支援してくれます。専門家のアドバイスを受けることで、M&Aを有利に進めることができます。

下記の表に、それぞれのM&A専門家の得意分野やサポート内容についてまとめました。
専門家 | 得意分野 | 主なサポート内容 |
---|---|---|
M&A仲介会社 | M&A全般 | 買い手探し、交渉、契約締結、デューデリジェンス |
税理士 | 税務・会計 | 財務分析、税務申告、税務対策 |
再生支援専門家 | 事業再生 | 事業再生計画策定、資金調達支援、経営改善 |

下記の画像に、M&Aの相談はどこにするべきかをまとめました。こちらも合わせて参考にしてみてください。

赤字会社の売却に関するよくある質問(FAQ)
Q.買い手はなぜ赤字会社を買うのですか?
A. 赤字会社を買収する理由は様々ですが、主なものとして以下の点が挙げられます。
【赤字会社を買収する理由】
・繰越欠損金による節税効果
買収企業は、被買収企業の繰越欠損金を利用して、将来の利益を圧縮し、法人税を節税できる場合があります。
・事業シナジーの創出
買い手企業が既存事業との相乗効果を見込める場合、赤字であっても買収を検討する場合があります。例えば、顧客基盤、技術、人材、立地などが自社にとって有益な場合です。
・市場シェアの拡大
競合他社を買収することで、市場における自社のシェアを拡大できる可能性があります。
・新規事業への参入
既存の事業とは異なる分野に進出するために、その分野の会社を買収することがあります。
ただし、赤字会社を買収する際には、将来性やリスクを慎重に評価する必要があります。
Q.従業員は引き継いでもらえるのでしょうか?
A. 従業員の引き継ぎは、M&Aのスキームによって異なります。
株式譲渡の場合は、法人そのものが引き継がれるため、従業員の雇用契約も原則としてそのまま引き継がれます。一方、事業譲渡の場合は、個別の契約に基づいて従業員の雇用契約を引き継ぐかどうかを決定します。
従業員の雇用維持は、買い手にとっても重要な要素となることが多いため、事前にしっかりと協議することが重要です。
Q.赤字でも譲渡益が出た場合は税金が発生しますか?
A. はい、赤字会社を売却した場合でも、譲渡益が発生すれば税金がかかります。
譲渡益とは、売却価格から会社の取得費(資本金など)や売却にかかった費用を差し引いた金額です。法人税、地方法人税、法人事業税などが課税されます。税率は、会社の規模や売却益の金額によって異なりますので、税理士などの専門家にご相談ください。
Q.赤字の会社を売ると信用情報に傷がつきますか?
A. 赤字会社を売却すること自体が、直接的に信用情報に傷をつけるわけではありません。
しかし、売却の理由や売却後の会社の状況によっては、間接的に影響が出る可能性はあります。例えば、経営不振による売却の場合、取引先や金融機関からの評価が下がることも考えられます。
ただし、M&Aによって経営が改善され、財務状況が健全化すれば、信用は回復する可能性があります。
Q.倒産前に売却するのは違法ではありませんか?
A. いいえ、倒産前に会社を売却すること自体は違法ではありません。
むしろ、倒産してしまうと会社全体の価値が失われてしまうため、売却によって少しでも価値を残す方が、債権者や従業員にとってもメリットがある場合があります。
ただし、売却価格が不当に安かったり、特定の債権者のみに有利になるような売却は、詐害行為として問題になる可能性があります。弁護士やM&A専門家などの専門家と連携し、適正な手続きで売却を進めることが重要です。