事業譲渡のリスクとは?見落としがちな注意点と安全に進める対策を解説

企業にとって新たな成長戦略を描くための事業譲渡ですが、社内の体制を大きく変える決断でもあることから、当然リスクも多分に孕んでいます。
結論として、事業譲渡において発生する多くのトラブルは、情報漏洩といった管理の不徹底と準備不足から生じるものです。

十分なリサーチや専門家からのサポートもなく進めると、予期せぬリスクが生じ、事業全体に大きなダメージを与える可能性があります。
そこで今回の記事では、事業譲渡において想定外のリスクを未然に防ぐために対策すべきポイントと事前準備の重要性について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
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【結論】事業譲渡には特有のリスクがあるが、正しく対策すれば回避できる
事業譲渡は、会社売却や事業再編の手段として活用される一方で、株式譲渡とは異なる特有のリスクがあります。
たとえば契約の引き継ぎや従業員対応などに関しては、譲渡の対象や範囲を明確にしないと、売り手・買い手双方にトラブルが発生するおそれがあります。
また、譲渡益課税や競業避止義務といった論点を軽視したまま取引を進めると、想定外のコストや訴訟リスクに発展する可能性もあります。

しかし、これらのリスクは事前の契約設計によって、かなりの程度まで回避可能です。
弁護士や公認会計士、M&Aアドバイザーといった外部の専門家を上手く頼りながら事業譲渡の準備を進めることで、後々のトラブルを最小限に抑えられます。
以下からは事業譲渡においてよくあるリスクをカテゴリごとに整理したうえで、それぞれに対応する具体的な対策を深堀りしていきましょう。
事業譲渡でよくあるリスクとその対策【カテゴリ別】
事業譲渡におけるリスクは、法務や税務に限らず、人・経営・情報といった多面的な領域に広がっています。
事前準備が不十分なまま手続きを進めた結果、譲渡後に深刻な問題が表面化するケースも珍しくありません。

以下では、事業譲渡に伴いやすいリスクを5つのカテゴリに分け、それぞれに必要な対策と注意点を整理していきます。
カテゴリ | 想定されるリスク |
---|---|
法的リスク | 契約内容の不備・瑕疵担保責任など |
人的リスク | 従業員や経営陣との関係悪化 |
経営リスク | 買い手側の経営破綻や事業不適合 |
税務・会計リスク | 譲渡益課税やのれんの会計処理 |
情報漏洩リスク | 譲渡前の社内外への波及 |
法的リスク|契約内容の不備・瑕疵担保責任など
事業譲渡では、譲渡対象となる資産・負債・契約の範囲を明確に定義した上で、適切な契約書を取り交わす必要があります。
ここで特に問題となりやすいのが、譲渡対象外と思っていた債務が後から発覚するケースや、契約書の文言が曖昧で双方の解釈にズレが生じるケースです。
このトラブルが原因で、損害賠償や訴訟リスクに発展する可能性もあります。

また、売り手が一定期間責任を負う表明保証や瑕疵担保責任の範囲を事前に明文化しておかないと、譲渡後に瑕疵が見つかった際にトラブルの火種となります。
人的リスク|従業員や経営陣との関係悪化
事業譲渡では、対象事業に関わる従業員の移籍や役員の処遇が大きな焦点になります。
とくに譲渡のタイミングや内容が従業員に突然知らされた場合、大きな動揺や経営層への不信感を招き、大量離職につながるおそれもあります。
貴重な人材を流出させないためにも、事前に丁寧なコミュニケーションをとり、譲渡後の事業運営の安定化を図る姿勢が大切です。

人的リスクは、従業員の生活をも左右するデリケートな問題です。
決して軽視せず、買い手と売り手で連携して、互いに説明責任を果たす姿勢を心がけましょう。
経営リスク|買い手側の経営破綻や事業不適合
事業譲渡の成立後に発生し得るのが、買い手企業側の経営悪化や事業との相性不一致による経営不安です。
譲渡直後に親会社の経営戦略が変わり、当初予定されていた投資が打ち切られるといったケースも少なくありません。
加えて、基本合意書や最終契約書において、一定期間の支援継続や投資義務などの条件を盛り込むことで売却後の安定性を高めるのも有効でしょう。
税務・会計リスク|譲渡益課税やのれんの会計処理
株式譲渡とは異なり、事業譲渡では譲渡益に対する法人税や消費税が発生するケースが多く、税務上の影響が大きくなる傾向があります。

譲渡価格の設定次第では、予期せぬ納税負担が発生し、キャッシュフローに悪影響を及ぼす可能性もあるため慎重な試算が必要です。
また、買い手側においても、譲渡価格が時価を超える場合には「のれん(営業権)」として資産計上し、今後数年間での償却対応が必要となります。
情報漏洩リスク|譲渡前の社内外への波及
事業譲渡においては、情報管理がきわめて重要です。
譲渡の噂や未確定の情報が早期に流出すると、従業員や取引先の動揺を招き、社内外で不要な混乱を生むリスクがあります。
また、競合企業に意図せず情報が伝わってしまえば、取引先の引き抜きや顧客離れといった二次被害にもつながりかねません。
また、情報開示のタイミングや範囲について事前に合意しておき、必要に応じて外部専門家を介した調整を行うことで、情報漏洩リスクを最小限に抑えるのも有効です。
事業譲渡の際に見落とされがちな“隠れリスク”にも要注意
ここまで紹介したような法務・税務のリスクに加えて、事業譲渡では形式的には問題がなくても、実務上で大きな支障をきたすような思わぬリスクが潜んでいます。
特に中小企業やベンチャー企業においては、譲渡の完了後に初めて表面化し、結果として本来の目的であった事業の成長や承継がうまく進まなくなるケースも少なくありません。

以下では、事前対策が立てづらく、トラブルになりやすい3つの隠れリスクとその対応策について整理しておきます。
従業員・取引先の信頼低下による事業停止リスク
事業譲渡によって経営権が移る際、従業員や主要取引先の間に「この先どうなるのか」という不安が生じやすくなります。
突然譲渡を発表したり、コミュニケーションが十分でないまま引き継いでしまうと信頼関係が崩壊し、結果キーパーソンの退職や得意先の契約見直しといった形で、譲渡後の事業運営が頓挫するリスクもあります。
たとえば、「キーマンには事前説明を行い、移行後の役割や待遇について明確に示す」「取引先にも、必要に応じて買い手と連名での説明を行う」など、段階的かつ丁寧な対応が求められるでしょう。
のれん代やブランド価値の毀損
事業譲渡では有形資産に加えて、のれん(営業権)やブランドといった無形資産も譲渡対象となることが一般的です。
しかし、こうした価値は目に見えにくく、買い手による活用の仕方次第で毀損する可能性があります。
たとえば、旧来のブランドイメージと買い手企業の戦略が噛み合わない場合、顧客離れやサービス品質の低下を招き、譲渡価格に見合う効果を得られない事態に陥ることもあります。
競業避止義務の抜け漏れによる損害
事業譲渡の契約において意外と見落とされがちなのが、売却後の競業避止義務の設定です。
売り手側の創業者や経営幹部が譲渡後に同業種で再起業したり、既存顧客を引き抜いたりすることを防ぐ条項が盛り込まれていないと、買い手側は大きな損害を被るリスクがあります。
最終契約書の中に期間や地域、対象となる事業内容を具体的に記述し、競業避止義務や顧客勧誘の禁止期間などを明確に定めることで、万が一のトラブルも未然に防ぎやすくなります。

特にベンチャーM&Aでは、売却後に再チャレンジを志す創業者も多いため、双方にとって納得できる落としどころを見出す必要があります。
あなたの事業譲渡に潜むリスクをチェック
一見するとスムーズに事業譲渡が進んでいるように見えても、実は水面下でさまざまなリスクが進行しているケースもあります。
とくに初めてM&Aを経験する経営者様にとっては、気づかないまま放置していたリスクがクロージング間際に表面化し、交渉決裂や訴訟といった深刻なトラブルにつながるケースも少なくありません。

以下では、譲渡プロセスの中で見落とされがちなポイントをチェックリスト形式で紹介します。
▼1つでも当てはまったら要注意!失敗リスクが高い事業譲渡の特徴
- 譲渡スケジュールや条件があいまいなまま進んでいる
- 従業員や取引先への説明タイミングをまだ決めていない
- 買い手候補の信用調査を十分に行っていない
- 契約書の作成をテンプレートで済ませようとしている
- 誰にも相談せずに独自で進めている
ご自身の状況と照らし合わせながら、今どのような注意点があるのかを知り、早期に対策へとつなげていただくことをおすすめします。
譲渡スケジュールや条件があいまいなまま進んでいる
通常、事業譲渡の手続きには数カ月〜半年以上の時間を要します。
その中で、売却条件やクロージング時期、譲渡範囲などの基本事項があいまいなまま交渉を続けていると、双方の認識のズレが後々深刻なトラブルを招く可能性があります。
従業員や取引先への説明タイミングをまだ決めていない
従業員や取引先に対して、事業譲渡の情報開示をどのタイミングで行うのかは早い段階から決めておく必要があります。
開示のタイミングを誤ると、従業員の大量離職や顧客の離反、取引先との関係悪化などを招き、事業の継続性に大きな影響を与えるリスクがあるからです。
キーパーソンには早期に情報を共有し、役割や待遇の説明もセットで行うことで、社内の動揺を最小限に抑えるなどの工夫が必要です。
買い手候補の信用調査を十分に行っていない
当然のことではありますが、事業譲渡を進める上で買い手候補の選定は慎重に行う必要があります。
特に気をつけたいのが、財務状態や経営姿勢、将来ビジョンなどの信用調査が不十分なまま話を進めてしまうことです。

一見すると非の打ち所がない相手に見えても、実際には財務に問題があったり、買収後の運営方針が自社の文化や事業特性に合わなかったりするケースもあります。
こうしたミスマッチを防ぐには、「逆デューデリジェンス」と呼ばれる買い手調査を行うのが効果的です。
逆デューデリジェンスで見極めるべきポイント
・相手企業の決算書類
・過去の取引実績
・社内外からの評判など
⇒少しでも「うちとは合わないかも」と思う要素があれば深堀り調査する
契約書の作成をテンプレートで済ませようとしている
事業譲渡契約は、各企業の状況や譲渡条件によって個別性が非常に高く、一般的なテンプレートでは重要な条項が抜け落ちてしまう可能性があります。
たとえば表明保証や競業避止義務、従業員の処遇など、企業によって内情が異なる項目が曖昧に設定されていると、取引後に紛争へと発展するリスクもあります。
とくに独自技術や特許技術を有している企業においては、普段の契約実務とは異なる専門性が求められるため、書式の整備だけでなく売り手として守るべきリスクを最小限に抑える契約設計が不可欠です。

契約書絡みのトラブルを避けるには、M&Aに精通した弁護士のチェックを受けるのが確実でしょう。
誰にも相談せずに独自で進めている
いかに経営ノウハウに精通していても、M&Aについては未経験・未知の領域であるという方は大勢います。
「社内に相談できる人がいない」「外部に知られたくない」という理由で、譲渡交渉を一人で抱え込んでしまうケースも少なくありませんが、これは非常に危険です。

法務・税務・人事など多くの専門領域が絡むM&Aにおいて、独自判断だけで進めるのはきわめてリスクが高く、結果として重大な見落としが発生することがあります。
最も注意すべきは、知らず知らずのうちに自社にとって不利な条件を呑まされていた…という事態に陥ることです。
譲渡対象に含まれる資産や契約、従業員の取り扱いが不明瞭なまま交渉が進んでしまい、後から「想定していなかった義務を負うことになった」「本来譲りたくなかった資産まで対象に含まれていた」といった深刻なトラブルに発展しかねません。
専門家の関与なくM&Aを独自で進めることは、取引失敗や損害賠償リスクの温床となると言っても過言ではないのです。
事業譲渡に関するリスクを防ぐための対策
ここまで解説してきたように、事業譲渡にはさまざまなリスクが伴います。しかし、いずれも事前に的確な対策を講じておけば、かなりの程度まで回避は可能です。

重要なのは「誰に・何を・いつ・どう伝えるか」という実務面の設計力。
譲渡後の混乱や信頼喪失を防ぐためには、企業の実情に即した準備が不可欠です。
ここからは、事業譲渡において特に重要な4つの対策ポイントを紹介します。
どれも基本的なことのように見えて、実は現場では見過ごされがちな要素です。円滑かつ安全に事業譲渡を進めるためにも、改めて確認しておきましょう。
譲渡範囲・資産の棚卸しを徹底する
事業譲渡において最も基本でありながら、意外と見落とされやすいのが譲渡対象の範囲です。
設備・在庫・契約関係・従業員・知的財産など、「何を譲渡し、何を残すのか」を明確にしないまま進めると、譲渡後のトラブルにつながりかねません。
中でも、ライセンスや取引契約、商標の扱いについては特に注意が必要です。

譲渡前には社内のすべての資産・契約・人的リソースについて棚卸しを行い、譲渡対象をリストアップしておきましょう
譲渡の前に棚卸ししておくべき項目(一例)
・現在の従業員リストと雇用形態
・継続中の契約書(売買・業務委託・ライセンスなど)
・保有資産(不動産・備品・在庫・IT機器)
・知的財産(商標・ドメイン・ソフトウェアなど)
契約書に表明保証条項をしっかり盛り込む
事業譲渡契約書では、単に譲渡内容を記載するだけでなく、取引の安全性を確保するために表明保証条項を設計しておくことが求められます。
これは売り手が買い手に対して「現時点で、特定の事項に関して虚偽がない」と保証するもので、万が一虚偽や重要な事実の見落としがあった場合には、損害賠償の対象となる極めて重要な条項です。
表明保証の対象となる項目
・訴訟・紛争の有無
・税務上の未納・申告漏れの有無
・労務問題や労使トラブルの有無
・知的財産権の所有・侵害リスクの有無
これらを契約書に盛り込むことで、買い手に安心感を与えると同時に、取引後の想定外のリスクを防ぐことにつながります。

曖昧なままの契約は後々の火種になるため、必ずM&Aに精通した専門家と一緒に契約内容を精査しましょう。
従業員・取引先への丁寧な引き継ぎ対応
単に資産を引き渡すだけではなく、現場で働く従業員や、日々関係を築いている取引先との信頼関係の引き継ぎも重要になります。

どれほど条件が整っていても、関係各位からの信頼が損なわれれば、事業は成長しないどころか存続も危ぶまれる事態になりかねません。
従業員には個別で説明と質疑応答の場を設けたり、取引先には買い手と連名での説明を実施したりして、一人ひとり丁寧に対応をするよう徹底しましょう。
M&Aに強い専門家を早期に活用する
事業譲渡のように多岐にわたる論点を扱う取引では、「誰と進めるか」が成否を大きく左右します。
いくら経営ノウハウがあっても、M&A特有のアプローチに精通していなければ、肝心な場面で適切な判断ができないこともあります。

M&Aに強い専門家へ早い段階から相談しておくと、想定されるリスクに対して対策を講じることができ、譲渡に関わる判断もスムーズになります。
▼専門家から受けられる支援(一例)
- 譲渡条件や希望に合った買い手の選定
- デューデリジェンスや契約交渉の戦略設計
- 税務・法務・労務など複雑な論点の整理と助言 ほか
事業譲渡のリスクを最小限にするために「M&A仲介会社」が最適な理由
事業譲渡を成功に導くうえでは、買い手との交渉や契約書の設計、従業員・取引先への対応など、専門的なスキルやノウハウが求められるシーンが多々あります。
これらを経営者自身がすべて担うことは、時間・労力の面でも限界がありますし、最大のミッションである意思決定に集中するためにも外部の支援が不可欠です。
中でもM&Aに特化した仲介会社なら、過去さまざまな事例をもとに実情に即したサポートをしてくれますし、譲渡プロセス全体を俯瞰的にマネジメントできます。
さらに、M&A仲介会社を使えば、手間がなくなるだけではなく多数のメリットがあります。
買い手との交渉をプロに任せることで条件面の失敗を防げる
事業譲渡では、買い手候補との交渉を通じて譲渡価格や支払い条件、引き継ぎ体制などの重要事項を固めていきますが、ここで判断ミスをすると後のトラブルを生む原因になります。
「譲渡価格は適正か」「業績連動などの条件が不利ではないか」など、交渉の一つひとつが企業価値に直結するからこそ、冷静かつ戦略的な視点が求められます。

その点M&A仲介会社なら、第三者の立場で売り手と買い手の中間に立ち、双方の意見を調整しながら最適な合意点を導くサポートができます。
交渉に不慣れな中小企業やベンチャー企業でも、感情的な衝突や不当な条件を避けられるという大きな利点があります。
譲渡対象の整理や資料準備を支援してくれるから抜け漏れを防げる
財務諸表、契約書類、従業員リスト、顧客データ…事業譲渡には様々な資料を準備する必要があります。
しかし、初めての譲渡では「どの資料をどう準備すればよいか」が分からず、情報の漏れや不備が交渉の足かせになることも少なくありません。

譲渡範囲ごとに資産・契約・従業員などをリストアップしたり、買い手からの印象を良くする資料づくりをしたりといった、面倒な工程も仲介会社に任せられるケースがあります。
円滑なクロージングへとつなげるのはもちろん、買い手からの信用も高められるというメリットがあります。
専門家と連携して進めてくれるから法務・税務のリスクにも強い
事業譲渡では、契約条項の法的整合性や譲渡益に関する税務処理など、専門性の高い論点が無数にあります。
表明保証の範囲や競業避止義務の設定を誤ると、後に損害賠償問題へと発展するリスクもゼロではありません。
そこで頼るべきなのが、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家と連携して対応してくれるM&A仲介会社です。

弊社MA Frontierでも、成長戦略・事業再編・承継対策など、目的に応じた最適な事業譲渡スキームをご提案しております。
弁護士・公認会計士・M&A専門コンサルタントなど各分野のプロフェッショナルがチームを組み、リスクを最小限に抑えながら安全に事業譲渡を進めたい経営者の皆さまを全力でサポートしています!

「社内に法務部門がない」「税務の最適化ができていない」「従業員や取引先への影響が不安」など、起業によって課題はさまざまです。
当社では、法務・財務・税務の観点から譲渡プロセスを多面的に精査し、あらゆるリスクを事前に把握・管理できる体制をご提供しています。
なお、売主様には着手金・中間報酬・月額報酬が一切かからない「完全成功報酬制」を採用しており、費用面でも安心してご相談いただけます。

契約書や表明保証条項の整備も、専門家チームが丁寧に支援いたしますので、「どこに落とし穴があるか分からない」という方もご安心ください。

この他にも、以下のようにさまざまなご依頼を承っておりますので、まずは無料相談にてお気軽にご相談くださいませ!
M&A Frontierで対応しているサービス
・候補先企業の探索・選定
・株式譲渡・事業譲渡などのスキームに関するご提案
・各種書式・契約書の準備
・株式価値の無料算定
・デューデリジェンスのサポート
・伴走型コンサルティング(企業の状況や成長戦略に関する知見の提供)


サポートなく事業譲渡や売却を進めることで、下記のようなリスクが発生する可能性があります。このような不安やリスクを回避するためにも、弊社の無料相談をお気軽にご利用ください。

事業譲渡のリスクについてよくある質問
最後に、事業譲渡のリスクに関してよくある質問にまとめて回答します。
Q. M&Aと事業譲渡ではリスクに違いがありますか?

M&Aという言葉は、広義には企業間の合併や買収全体を指し、その中に「株式譲渡」や「事業譲渡」などのスキームが含まれます。
このうち事業譲渡は、会社全体ではなく特定の事業単位だけを切り出して譲り渡す形式です。
そのため、譲渡対象の範囲や資産の引き継ぎ方に明確な線引きが必要となり、法務や実務の手間が増える傾向にあります。
具体的には、取引先との契約や従業員の雇用契約は、原則として個別に承継の手続きを行わなければなりません。
また、譲渡範囲があいまいなまま進めると「譲るつもりだった資産が含まれていなかった」「引き継がれたと思っていた契約が無効だった」といったトラブルが起きやすくなります。
株式譲渡では企業そのものが移転するためこうしたリスクは相対的に少なく、事業譲渡の方がより細やかなリスク管理が重要になるといえるでしょう。
Q. 契約トラブルを防ぐために、契約書で必ず盛り込むべき項目はありますか?

トラブルを防ぐためには、契約書内で明確性と責任範囲を確保しておくことが重要です。
特に事業譲渡では、譲渡対象が部分的であるため、誤解を防ぐための記述が必要になります。
▼契約書に盛り込むべき項目
- 譲渡対象の詳細な記載(資産・契約・人員・知的財産など)
- 対価の金額・支払条件・タイミング
- 表明保証条項(後述)
- 競業避止義務の有無とその期間・範囲
- 引き継ぎ義務や引渡しの具体的手順
- 瑕疵担保責任・損害賠償に関する規定
- 準拠法・裁判管轄(紛争が起きた場合の対応)
これらを記載しておくことで、万が一譲渡後に齟齬が発生しても、契約内容を根拠にして責任の所在を明確にできます。
Q. 譲渡契約における「表明保証」とは何ですか?

「表明保証」とは、売り手が買い手に対して、自社の状況について正確で虚偽のない情報を提供することを契約上で保証する条項です。
これは事業譲渡に限らず、すべてのM&A契約において極めて重要な位置づけにあります。
たとえば「現在、当社に未払い税金や訴訟案件は存在しない」「本契約により第三者の権利を侵害することはない」といった事実を売り手が表明保証すると、もし譲渡後に虚偽の記載や重大な見落としが発覚した場合に買い手は損害賠償や契約解除を求めることができます。
このように、表明保証は買い手の安全を担保するものであり、逆に売り手にとっては将来のリスクを背負うものでもあるため、適切な記載に留めることが重要です。
契約書作成時には必ず弁護士と協議し、自社の状況に即した文言で交渉を行うべきとされています。
Q. 赤字事業や不採算部門でもリスクなく譲渡できますか?

赤字事業や不採算部門でも事業譲渡自体は可能ですが、「リスクがない」と言い切るのは難しいのが実情です。
買い手にとって将来的な収益性や事業の見通しが不透明な場合、譲渡条件が厳しくなったり、法的な責任範囲の明確化を強く求められたりする傾向があります。
譲渡後に想定外の債務や瑕疵が発覚した場合、損害賠償請求につながる可能性があるため売り手にとってもリスクはあります。
特に赤字部門では、財務・税務・労務の面で整理が不十分なケースも多く、事前の棚卸しやリスク開示が極めて重要になります。
リスクを抑えるには、M&Aアドバイザーの支援を得ながら、赤字の背景や改善の可能性を一つひとつ明確にして買い手と誠実にコミュニケーションを重ねるしか道はありません。
Q. 譲渡後に想定外の債務が発覚した場合はどうなりますか?

譲渡後に想定外の債務やトラブルが発覚した場合、契約書に盛り込まれた表明保証や損害賠償請求の条項に基づいて対応が行われます。
たとえば、「譲渡対象には未払いの社会保険料はない」と契約書で保証されていたにもかかわらず、譲渡後に過去数年分の滞納が判明した場合、買い手が補填を求めることになります。
このようなケースでは、売り手に重大な財務的・信用的ダメージが及ぶ可能性があるため、事前のリスク調査(デューデリジェンス)の段階から債務状況を伝えなければなりません。
ただし、表明保証に上限額や請求可能期間を設けておくことで、売り手側の責任負担を少しでも軽減することは可能です。
弁護士と連携し、万一の備えとして予見可能なリスクと対応条項をあらかじめ明文化しておくと良いでしょう。
Q. 小規模事業でもリスク対策は必要ですか?

規模の大小に関わらず、事業譲渡では契約上の義務や法的責任が発生すると企業存続に関わる事態に発展しかねません。
むしろリソースの限られた小規模企業こそ、一度のミスが大きな損失につながる可能性があるため、より慎重な対応が求められます。
特に注意が必要なのは、家族経営に近い形態の店舗型ビジネスを譲渡する場合や、口約束だけで事業を譲ってしまうケースです。
書面を残さず進めてしまうのは非常にリスクが高いため、絶対に避けましょう。
Q.事業譲渡をした場合、従業員はどうなりますか?また退職金は支払われますか?

事業譲渡では、従業員の雇用契約は自動的には引き継がれません。
買い手企業と従業員とが個別に雇用契約を結ぶ必要があり、従業員本人の同意がなければ転籍(雇用移転)はできないので注意しましょう。
また、譲渡によって従業員が退職する場合には、退職金の支払いが必要になるケースもあります。
ただし、労働条件や退職金規程の内容によって扱いが異なるため、事前に専門家と協議しておくことが重要です。