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事業継承で損害が発生する原因とは?よくある失敗パターンと防ぐための対策を解説

事業継承で損害が発生する原因とは?よくある失敗パターンと防ぐための対策を解説

事業継承は経営のバトンを次世代へと引き継ぐ重要な局面ですが、進め方を間違えると深刻な損害を招く恐れがあります。

相続税や贈与税などの金銭的な負担に加え、従業員の離職や取引先との関係悪化といった“目に見えない損失”も発生しがちです。

また、後継者選びや関係者間の合意形成に失敗すれば、経営の停滞や組織の分裂を招くことにもなりかねません。

 

そこで本記事では、そうした事業継承に伴うリスクを「損害の種類」「よくある失敗パターン」「防止策」の3つに分けて解説します。

 

想定外の事態を防ぐためには、早い段階での準備と的確なリスクマネジメントが不可欠。損害を未然に防ぎ、円滑な承継を実現するためのポイントをしっかりと押さえておきましょう!

株式会社Camphor Treeでは、スタートアップ企業に特化した
「エグジット」・「資本政策」・「資金調達」に関するご支援を提供しております。

事業売却や資本政策にお悩みの方は、ぜひ無料相談からお気軽にご連絡ください。

目次

事業継承で発生しやすい損害の種類と金額イメージ

事業継承は単なる世代交代ではなく、企業にとって大きな転換点です。

経営資源の移転に伴ってさまざまなリスクが潜んでおり、準備不足のまま進めると深刻な損害を被るおそれがあります。

 

損害の種類は大きく分けて「金銭的損失」「人的損失」「信用損失」「無形損失」の4つ。これらは互いに連動しており、ある問題をきっかけに別のトラブルへ波及するケースも少なくありません。

損害の種類主な内容金額イメージ(中小企業想定)
金銭的損失相続税・贈与税、退職金
営業損失など
数百万円〜数億円規模
人的損失従業員・役員の退職
組織分裂
離職・補充コストで年数百万円〜
信用損失金融機関の格付け低下
取引停止
融資枠減少や売上損失に直結
無形損失ブランド毀損
技術・ノウハウの消失
修復困難
回復に数年を要する場合も

さらに事業継承のリスクは、金額換算が難しい無形資産にも及びます

たとえば、創業者とともに築き上げた信頼関係や社内文化が継承されずに崩れてしまうと、表面上の数値には損害が表れにくいですが、長期的にみると経営を圧迫する要因になります。

 

事業承継による損害を回避するためには、事前にこうした構造的なリスクを把握しておき、必要な準備を進めておくほかないのです。

金銭的損失|相続税・贈与税・退職金負担・営業損失など

事業継承で最も分かりやすく、かつ経営に直接的な影響を与えるのが金銭的損失です。

特に親族内承継では、自社株や不動産の相続・贈与に伴う税負担が数千万円規模に及ぶことも少なくありません。

後継者が納税資金を準備できていなければ、事業資産を切り売りして納税に充てざるを得ず、結果的に企業の資本基盤が大きく揺らいでしまう事態も起こり得ます。

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また、創業者が退任する際には退職慰労金として数百万円〜数千万円が支給されるケースもよくあります。損金算入が可能とはいえ、一時的に大きな資金が流出するため、キャッシュフローへの影響は無視できません。

 

加えて、事業承継のタイミングで経営体制が不安定になると、従業員の士気や業務効率が落ち、顧客離れや売上減少などの営業損失が表面化することもあります。

 

事業承継を成功させるには「いつ・誰が・どのように負担するのか」を具体的に設計しておかないと思わぬ損害を招くことになります。経営戦略の一環として、慎重に進めるべきテーマなのです。

人的損失|従業員・役員の退職や組織分裂

事業承継の過程では、経営体制の変化に伴って社内の人間関係や組織構造が大きく揺らぐこともあります。

後継者の経営手腕が不十分であったり、承継プロセスが不透明であったりすると、従業員との信頼関係が崩れ、従業員や役員の大量退職といった人的損失が発生しやすくなります。

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これは単なる人材流出ではなく、企業が長年にわたって築いてきたノウハウが一度に失われるという重大なダメージです。特にベテラン社員が離脱したりすると、顧客との関係性や現場力の低下を招き、事業運営が立ち行かなくなる可能性もあります。

 

また、経営方針や組織の文化が急に変わる場合も注意が必要です。創業者がカリスマ的なリーダーシップで牽引してきた企業ほど、抜けた後の求心力が弱まり、組織が分裂しやすくなります。

 

役員同士の対立や派閥化が進み、経営判断のスピードが鈍化すると、最悪の場合には事業そのものが崩壊するリスクも否定できません。

 

信用損失|金融機関の格付け低下、取引停止など

事業承継によって経営者が変わることは、社内だけでなく、社外にも大きな影響を与えます。

とりわけ注意が必要なのが信用損失です。金融機関や主要取引先などのステークホルダーが、経営体制の変更に対して不安を抱くことにより生じる信用低下を指します。

たとえば、長年の信頼関係で融資を受けていた金融機関が、後継者の実績や将来性に不安を感じ、信用格付けを引き下げたり追加融資を控えたりといった対応を取る可能性もゼロではありません。

また、取引先に「経営が変わってから体制が不安定になった」「以前の方が良かった」などと見なされると、契約の打ち切りや発注の縮小を告げられることもあるでしょう。

 

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特に中小企業においては、創業者個人の信用力に依存している場面が多く、後継者が金融機関や取引先と十分な関係性を築けていない場合、引き継ぎがうまくいかないケースも珍しくありません。

 

信用損失は一度生じると、資金繰りの悪化や売上の減少といった二次的な損失を引き起こすリスクがあります。回復にも時間を要するため、後継者を中心とした対外的な信頼構築を前もって進めておきましょう。

無形損失|ブランド価値・ノウハウの喪失

事業承継に伴って生じる無形損失は、数字にこそ表れにくいものの、企業の競争力を根底から揺るがす深刻な損失です。

ブランドの信頼性や企業文化、職人技や技術ノウハウなど、長年積み重ねてきた“目に見えない価値”の喪失がこれに該当します。

 

たとえば、創業100年を超える老舗時計メーカーでは、ファミリービジネスにこだわって甥に経営を任せた結果、本業とは無関係の新事業に注力するようになって伝統ブランドが商機を逸し、最終的に倒産へと至った事例があります。

ブランドとは単なるロゴやネーミングではなく、「この企業なら信頼できる」という顧客の感覚的な価値に他なりません。

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また、職人技や現場の勘といった属人的なノウハウも、形式知として文書化されていなければ承継とともに一気に失われます。

後継者が別業界から来た場合や内部事情に精通していない場合、企業としての強みを理解・継承できずに競争力が低下するケースも少なくありません。

 

事業継承でよくある損害のパターンとは?具体例も交えて解説

業績悪化|後継者の経営力不足で売上・利益が低下したケース

事業承継においてもっとも多いトラブルの一つが、後継者の経営力不足による業績の悪化です。

特に創業者が強いリーダーシップで企業を牽引してきた場合、後継者が同じように組織をまとめるのは簡単ではありません。

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・後継者がワンマン経営を行い、従業員が大量退職した
・創業者から息子へ事業承継したものの、後継者が現場やベテラン社員の意見を聞かずに経営を独断で進行した

・後継者を信用できず幹部社員が次々と辞め、引き継ぎも不十分だったため業務が回らなくなり、売上が大幅に減少した。

このような事例は、後継者の能力そのものよりも、引き継ぎ方や承継プロセスの設計に問題がある場合が多く見られます。

社内分裂|幹部や従業員の反発で大量退職が発生したケース

事業継承を通じてトップや役員チームが変わる場合、従業員からは必ず前の経営者と比べられます。

「誰が次の経営者にふさわしいか」という評価が社内外で分かれると、承継の進め方を誤ると組織に亀裂が入ることも。

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・社内で支持する後継者候補が分かれ、派閥が生まれる
・創業者が長男を後継者に据える方針を取った結果、実務の中心を担っていた弟や他の役員から反発が起こる

・一部の従業員が継承の内容に納得できず、辞職を選んだり、引き継ぎが滞ったりして事業全体に影響が及ぶ

 

もちろん、親族内継承ではなくても、一般の企業でも社内分裂は起こり得ます。

経営層にとっては、単に経営権を移すだけかもしれませんが、組織全体の将来を考えるなら合意形成と信頼関係の維持に努めなければなりません。

その準備を怠ると、社内が二分され、経営基盤そのものが揺らぐリスクもあるため慎重な対応が必要です。

税負担|相続税の納税資金が確保できず資金繰りが悪化したケース

自社株や不動産に対して相続税が発生する場合は、納税資金をあらかじめ準備しておかないと企業資産を安価で売却せざるを得ないリスクがあります。

不動産評価の見込み違いや納税資金不足は遺産分割時のトラブルに直結しやすく、実際に資産を急遽処分して問題を乗り切った事例も多数報告されています。

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・自社株の評価額が想定以上に高く、相続税が数千万円単位で発生する

・納税資金の準備がなく、手持ちの不動産を安値で処分して資金を捻出せざるを得なくなる

・結果的に資産の大半を失い、会社の財務基盤も不安定に陥ったケースも。

国内の賃貸アパートなどの不動産を納税期限内に売却せざるを得ず、通常価格より市場価格を大幅に下回る状況での取引に追い込まれることもあります 。

 

相続後の企業運営にキャッシュ不足をもたらし、融資枠の圧縮や投資機会の喪失につながる可能性もありますので、税負担については専門家の力を借りて徹底的に対策しましょう。

家族トラブル|経営権の配分をめぐり親族間で訴訟に発展したケース

遺言書に不備があったり、株式分配が不透明であったりすると、親族間で訴訟にまで発展し、経営判断が滞るほど深刻な事態を招くことがあります。

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経営権の配分をめぐるトラブルでもっとも多いのが「遺言無効確認請求訴訟」です。

公正証書遺言であっても方式不備・記載ミスなどで無効と認定され、株式配分や経営権の帰属などを巡って争われるケースが増加していると報じられています。

こうした法的争いが起こると、取締役会の停滞を招き、結果として外部からの信頼も失うことになります。

信用低下|金融機関・取引先からの信頼を失い融資や取引停止となったケース

事業承継時に後継者が対外的な説明や紹介を怠ると、金融機関や取引先の信用に大きな影響が出る可能性があります。

経済産業省関連資料でも、承継計画の共有を怠ると取引先との信頼関係が崩れ、契約解除や取引停止のリスクが高まると明言されています 。
▶参照:中小企業庁 | 事業承継ガイドライン

また、承継直後に従業員の離職や取引停止が相次いだり、ベースバンクの与信評価が削減される事例もあります。

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・後継者の紹介不足で、主要取引先との契約が終了する
・後継者が主要取引先との関係を十分に築けていなかったため、担当変更や納期ミスが続出。
・創業者時代の信用が失われ、主力取引先から契約を打ち切られたことで、年商の2割を喪失した

事業継承で損害を防ぐ5つのポイント|原因別の具体策を紹介

ここまで解説してきたような損害のパターンを避けるためには、事前の対策を徹底しておくほかありません。

ここからは典型的な原因を5項目に整理し、それぞれに対する実践的な対策をご紹介します。

 

社内の混乱・対立・資金不足を未然に防ぐためにも、早いうちから実行に移しましょう。

① 継承計画の不備|誰に・いつ・どう引き継ぐかが曖昧

事業継承が混乱を招く典型例が、計画を曖昧にしたまま進めてしまうことです。

後継者の選定、承継時期、引き継ぎ方法の設計といった核心部分が不透明なまま時間だけが過ぎると、いざ承継のタイミングで利害関係者の理解が得られず、混乱や反発を招くことになります。

 

社内の混乱・対立・資金不足を未然に防ぐためにも、早いうちから実行に移しましょう。

▼損害を避けるための対策

  • 計画は最短でも実行5年前から策定する
  • 「いつ」「誰が」「何を引き継ぐか」を常に明示する
  • 親族・幹部・取引先の順に情報共有し、不安や誤解の芽を事前に潰す
  • 定期的に計画を見直し、経営環境や家族構成の変化に柔軟に対応する

こうした段階をきちんと踏むことで、後継者・従業員双方の理解を得やすくなり、承継に伴う心理的抵抗感は大幅に軽減できます。

② 後継者の育成不足|ノウハウや判断力が身についていない

後継者が事業を引き継いだものの、実務経験や人材マネジメントの力量が不足していたことで経営が迷走する――こうしたケースは決して少なくありません。

現経営者が「何とかなるだろう」と経験で乗り切ってきた分、暗黙知の多い経営ノウハウが後継者にうまく伝わっていないと問題がますます深刻になります。

▼損害を避けるための対策

  • 数年単位で段階的に役割を拡大するOJT方式の育成をとる
  • 年次事業計画の作成や経営会議にも参加させる
  • 取引先や金融機関との関係引継ぎを早めに実施し、信頼を構築させる
  • ビジョンや企業理念についても時間をかけて継承する

このように体系的な育成施策を組むことで、後継者に必要な経営ノウハウや知見を醸成し、承継後の“空洞状態”を防ぎましょう。

いきなりプロジェクトリーダーなどを任せるのではなく、経営会議への同席やキーパーソンとの面談を通じて、徐々に経営者としての役割を体験させていく工夫が必要です。

③ 関係者との合意形成の失敗|株主・家族・従業員の不満を放置

事業承継は経営者と後継者だけで完結するものではありません。実際には、株主・家族・従業員・さらには主要な取引先まで、事業承継に関係するステークホルダー全員の納得が必要です。

 

誰か一人でも強い反対意見を持つと、それが火種となって組織の分裂や訴訟問題に発展するリスクがあります。


合意形成においては、感情論に陥らないための設計が必要です。

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特に親族や株主が複数人いる場合、自力で社内調整をするのは限界があります。

第三者である弁護士や承継コンサルタントを交え、客観的な立場で話し合いを進めることで、摩擦を最小限に抑えつつ透明性ある合意形成に取り組みましょう。

④ 節税・資金対策の不備|相続税・贈与税・借入金の整理が甘い

自社株式の評価が高額になる中小企業では、事業承継のタイミングで数千万円〜数億円規模の相続税・贈与税が発生するケースもあります。

納税資金の準備が不十分なまま承継を進めた結果、不動産の緊急売却や融資による資金調達を余儀なくされ、会社の経営に深刻なダメージを与える事例も散見されます。

▼損害を避けるための対策

  • 相続税試算・生前贈与スキームの設計を専門家と共同で行う
  • 「小規模宅地等の特例」「事業承継税制」などの制度を組み合わせられないか検討する
  • 借入金の返済・借換スケジュールを承継前に整理し、返済能力とのバランスを調整
  • 5年単位の資金シミュレーションでシナリオ別にキャッシュフローを可視化しておく

物件・株式・設備などを急いで売らなければならない…なんてことにならないよう、承継後も健全な財務状況を保てる環境を整えましょう。

⑤ 専門家の関与が遅れた|弁護士・税理士・仲介会社への相談が後手に回る

専門家への相談料を出し惜しみして、「とりあえず社内で進めてみて分からなかったら相談する」というスタンスで事業承継に着手すると、いつか必ず行き詰まります。

途中で問題が発覚してから専門家に相談するというパターンでは、既に損失が発生してしまって手遅れになるケースがほとんどです。

中でも注意すべきは税務・法務面。知識が不足したまま契約書を交わしてしまった場合、後から多額の損害が発生することもあります。

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損害回避のカギは、承継準備の早期段階から弁護士・税理士・M&A仲介などの専門家を巻き込み、総合的なスキームを設計することです。

専門家からのアドバイスをいかに取り入れるかで、承継全体の成否が左右されると言っても過言ではありません。

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ここまで解説してきたように、事業継承にはさまざまなリスクが潜んでおり、専門知識が何もない状態で進めてしまうのは極めて危険です。

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事業継承の損害に関するよくある質問

最後に、事業継承の損害について抑えておきたいポイントをQ&Aにまとめました。

Q. 損害が出た場合、経営者個人に法的責任はありますか?

 

通常、会社の損害は法人に帰属するため、経営者個人が直ちに法的責任を負うことはありません。

ただし、明らかに経営判断の過失や義務違反が認められる場合、株主代表訴訟などのリスクが生じることもあります。

特に相続人間で争いがある場合は、遺留分や株式の取り扱いを巡って個人責任の所在が問われるケースも。事前にリスクを洗い出し、経営判断が正当だったことを裏付ける記録を残しておくのが有効です。

Q. 家族間トラブルで会社経営に支障が出たらどう対処すべき?

 

家族間の対立は、感情が入り込んで経営の意思決定や組織運営が揺らぎやすくなります。当事者同士での解決は難しいことが多く、弁護士や事業承継の専門家による第三者調整が効果的です。

また、あらかじめ遺言や合意書を整備し、経営権の帰属や株式の取り扱いを明確化しておくこともトラブル防止につながります。

感情に訴えるのではなく、法的根拠に基づいた中立的な合意形成を目指すべきです。

Q. 後継者の判断ミスで損害が出たら責任は誰が負いますか?

 

後継者の判断ミスによる損害は、原則として会社の責任として処理されます。

ただし、明らかな経営判断の失当や取締役としての注意義務違反が認められた場合には、会社から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

判断ミスを未然に防ぐには、継承前から専門家による支援体制を整え、重要な意思決定において後継者一人の責任にならないような体制づくりを行う必要があります。事業承継後、教育期間中の支援体制もリスク軽減においては大切です。

Q. 損害が発生したあとに相談しても間に合いますか?

 

相談が遅れるほど選択肢が狭まり、損害が拡大するリスクは高まりますが、状況によっては損害を最小限に食い止める手段が残されている場合もあります。

たとえば、税務面では更正の請求や救済措置が可能なケースもありますし、法的紛争では調停・仲裁による早期解決が図れることも。

もちろん早期の段階で相談するのが理想ですが、問題発生後でも適切な専門家に相談すれば、挽回の可能性はあります。

Q. 継承を第三者に依頼すれば損害を防げますか?

 

必ずしもすべての損害が防げるわけではありませんが、親族間の対立や後継者不足のリスクを回避するためには第三者承継はとても有効です。

最大のメリットは、第三者であれば経営経験や専門知識のある人材を確保しやすく、事業の安定性や継続性を保ちやすいこと。

とはいえ、従業員や取引先との関係、ブランド価値の引き継ぎなどにおいて課題も生じるため、自社のことをしっかり理解して行動してくれる専門家とマッチングする必要があります。

Q. 税金による損害を最小限にするにはいつから対策すべきですか?

 

原則として「早ければ早いほど良い」とされています。一般的には、事業承継を検討し始めた段階できれば5年以上前から準備を進めることが推奨されています。

財産評価の見直し、自社株の分散、納税資金の確保などは時間をかけて調整しなければなりません。

税金周りのことが後手に回ると、多額の課税や資産の急な処分に追い込まれるリスクもありますので、信頼できる税理士やコンサルタントの力を借りて計画的に対策しましょう。

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